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「ブンデスでは『デュエル王』って言われたけど...」遠藤航が語る自身の強みとは?【WOWOW独占インタビュー《前編》】

 過去6度のUEFAチャンピオンズリーグ制覇(UEFAチャンピオンズカップ含む)や19度の国内リーグ制覇など、数多の栄光を掴んできたイングランド屈指の名門クラブ、リヴァプール。ここで今シーズンから新たにプレーする選手のひとりが、日本代表MF遠藤航だ。昨夏、中盤のメンバーを大幅に入れ替えたチームにおいて、移籍初年度にして欠かせない選手となっている。

 UEFAヨーロッパリーグ Matchday 3のトゥールーズ戦で加入後初ゴールを決めると、華麗な同点弾を挙げた12月3日のフラム戦(プレミアリーグ第13節)を皮切りに、以降の試合でレギュラーに定着。

 直近ではリーグカップ決勝でチェルシーとの激闘を制し、加入後初のタイトルを手にした。タフな120分間を戦ったうちの1人で、現地でも称賛を集める日本人ミッドフィルダーに、WOWOWが昨年11月に独占インタビューを行った。ドイツとイングランドの違い、世界で戦う日本人選手について、ヨーロッパのカップ戦への想いなどを自身の口から語ってくれた。(全3編。中編:クロップ監督とアンフィールド / 後編:ELへの想い に続く)

「個の能力の高さ、スピード感の違いは感じました」

──シーズン開幕をドイツで迎えてすぐにイングランドに渡りました(シュトゥットガルトでカップ戦1試合に出場したのち、昨年8月18日に移籍)。突然環境が変わってプレー面での適応に苦労もあったと思いますが、初日のトレーニングのことを覚えていますか?

「練習からクオリティもインテンシティも高かったし、選手ひとりひとりの能力の高さは初日から感じました。試合が近かったのでそこまでハードではなかったですけど、ポゼッションの練習だったり攻から守の切り替えの練習だったりをこなした感じですね」

──ドイツでもそれなりにインテンシティは高かったと思いますが、それを上回る強さがありましたか?

「そこは衝撃を受けたところで、みんな人にいけるというか。ボールを奪いに行くチャレンジをしろっていうのは監督が求めていたり、チームとして当たり前にやっていることではあるので。ドイツでもかなり強く当たるのはどの選手も特徴としていましたが、より個の能力の高さだったり、スピード感の違いは感じました」

──一段階上の舞台に来たという感覚はありましたか?

「リヴァプールというクラブは世界でもトップクラブだと思うので、この場に来れてすごく嬉しいし、それを実感した瞬間だったと思います」

──移籍のときは不安を抱いたりするものですか?

「不安はないですね、自分が求めていた環境なので。シュトゥットガルトに移籍した時もですし、遡ればプロになるタイミングとか、ちょっと自分よりもレベルの高い選手たちと質の高い練習をすることによって自分の成長があると思うんです。(移籍当時)30歳にしてまた新しい環境に、レベルの高い環境に身を置けたのはすごく、自分にとっては嬉しいことだと思います」

──日々共に過ごす人たちは世界のトップの選手達だと思います。実際プレーをしてみて一番インパクトのあった選手は誰ですか?

「みんなそれぞれ凄い特徴を持った選手が多いですけど、僕が最近よく言うのはアリソン。彼のシュートストップ能力の高さとか反応の良さは、今までやったGKの中でも凄いなと感じます。ベンチから見たり試合で一緒にプレーするなかで、失点になりそうな場面でもしっかりと防ぐシーンがこの数カ月で何度も見られる、かなりいい選手で衝撃を受けました」

──後ろに彼のような選手がいることは、戦っている側としても安心や信頼を得られるものですか?

「GKはそこが大事な要素のひとつというのは彼も分かっていると思いますし、チームに安定感をもたらす存在であるのは間違いないです」

「『じゃあ日本人ってフィジカル的に劣るのか』って」

──遠藤航という選手の武器は?

「最近ブンデス(リーガ)では『デュエル王』って言われて、デュエルがフォーカスされがちですけど、平均値が高いのは自分の一番のストロングポイントだと思います。もちろん守備への貢献はしないといけないけど、攻撃での縦へのボールだったり、周りの選手をどう生かすかだったり、平均的な(能力の)高さは自分の隠れた良さだと思います」

「オール3をオール4に、オール4をオール5にしていくみたいな作業ですね。その中でもちろん守備的MFとして守備的なストロングポイントは出さなきゃいけないし、日本に守備的MFの良さを発信したいからこそ『デュエル王』みたいな形で発信したというのはあります」

──「デュエル王」はかなり浸透したんじゃないでしょうか?

「それは嬉しく思いますし、自分みたいなタイプの選手が日本人で出てほしいです。守備的MFとしての価値は、自分がいることによって少しは示せているのかなと思います」

──日本人は比較的、前線の選手のほうがヨーロッパで活躍をしてきました。これまでの見方を変えるようなパフォーマンスをしていると思います。

「自分の中で『じゃあ日本人ってフィジカル的に劣るのか』って疑問に思ったのがきっかけで、意外と通用する部分はあると思います。対人で勝つにはただ単純に体をぶつけるだけではなくて、ポジショニングの良さだったり頭の良さが必要になってくるので。そのあたりを活かせれば日本人だとしても、フィジカル的な部分を含めて海外の選手たちを上回る可能性は十分にあるんじゃないかなと思います」

──
ヨーロッパのカップ戦は初挑戦となります。テレビでCLやELをご覧になっていて、実際にピッチに立ってみて感覚の違いなどはありましたか?

「あまりないですね。リヴァプールの一員としてプレーしているという感覚が一番大きくて、それがELだろうがCLだろうがあまり関係ないです。常に勝利を求められるクラブに来たという実感でいます」

──ヨーロッパリーグ グループステージMatchday 3のトゥールーズ戦でのパフォーマンスは際立っていたように思います。クロップ監督も「遠藤の前方へのパスが素晴らしかった」と語っていました。

「あの試合に関しては自分の良さをしっかり出せたと思います。守備的なところだけではなくて、監督が言ったようなパスとか、攻撃的な部分での貢献は意外と目に見えづらいですけど。普段からシュトゥットガルトや代表でやってきたことを出せた試合だと思うし、リヴァプールではそれが求められるのを分かっているからこそ、より縦の意識は高くなったと思います」

──それまでの試合との違いは?

「意識は何も変わってないですね。周りの選手も『遠藤の良さってなんなの?』みたいなところを、一緒にやっていく中で少しずつ分かってくれていると思うので、それが大きいのかなと個人的には思います。ボールが来るようになって、自分が顔を上げたタイミングで周りの選手が動き出してくれるようになって、周囲との関係性が合ってきているのかなという。他の試合でも自分が意識していることはあまり変わってないです」

 昨年11月のインタビューなので、遠藤はまだ完全にフィットしたとはいえない状況にあり、リーグ戦では途中出場が多い境遇にあった最中。それでも自身の強みを最大限に発揮することへの意識は変わらないとし、チームメイトの理解を得られてきていることを実感していたようだ。

 中編ではリヴァプールのアンカーに求められる守備のタスク、そこに対する意識を明かしている。また遠藤からみたアンフィールドの凄さや、ユルゲン・クロップ監督のマネジメントについても語っている。

【UEFAヨーロッパリーグ ベスト16 リヴァプールの配信予定】

3月8日(金)午前2:30 1st leg スパルタ・プラハ vs リヴァプール(解説: 安永聡太郎/ 実況:安井成行)

3月15日(金)午前4:45 2nd leg リヴァプール vs スパルタ・プラハ(解説: 安永聡太郎/ 実況:安井成行)

中編:クロップ監督とアンフィールド を読む
後編:ELへの想い を読む

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