【ライヴレポート】WOWOWで9月22日に生中継した鈴木雅之の70歳の誕生日当日の東京国際フォーラム ホールA公演のライヴレポートをお届け!
今年、古希とソロデビュー40周年を迎えた鈴木雅之。記念すべき70歳の誕生日当日に開催された全国ツアー東京公演は、6人のディーヴァをスペシャルゲストに迎えた華やかな祝祭に!
日本の音楽シーンに君臨するラヴソングの王様、マーチンこと鈴木雅之。今年70歳=古希とソロデビュー40周年のダブルアニバーサリーを迎えた記念として、3月にデュエットベストアルバム『MARTINI DUET DELUXE』をリリース。「渋谷で5時」が渋谷の夕方5時のチャイムを鳴らし、渋谷区観光協会アンバサダーに就任することも発表された。6月からは地元・JR大森駅の構内時報アナウンスを1年間担当するなど、話題満載の中で全国ツアーに出た。
実姉である鈴木聖美が初めて全日程に参加する今年のツアーは、6月から11月まで全国30都市38公演。キャリア史上最大規模のロングランが組まれた。その中で6人のディ―ヴァをスペシャルゲストに迎えた誕生日当日9月22日の東京国際フォーラム ホールA公演には、満場の5千人の大観衆が詰めかけた。関東を直撃した台風25号の影響で前日はさまざまなイベントや行事が中止となっていたが、この日は台風も去って東京は爽やかな秋晴れに。これには彼も「自慢じゃないが、晴れ男ですから」と胸を張っていた。

定刻の18時を迎えて場内が暗転すると、ミラーボールが煌びやかな彩光を放つ。その中を、オープニングSEとして「Celebration」(Kool & The Gang)が流れ、華やかな祝祭の始まりを告げる。カジノのルーレットをモチーフにしたセットの中央から颯爽と現れた彼は、名刺代わりとも言える代表曲「違う、そうじゃない」をスリリングに歌い上げる。男女の機微を歌で綴る、まさに"ラヴソングの王様"の真骨頂だ。

「今夜はみんなと一緒に、最後までデュエットしていきたいと思います」そう叫ぶと、最初のスペシャルゲスト渋谷凪咲を呼び込む。古希のテーマカラーである紫を取り入れた渋谷が下手から登場すると、その可愛らしい姿に大歓声が沸き上がる。かつて菊池桃子と歌った平成の名曲が令和版シティポップに装いを新たにした「渋谷で5時(2026 Ver.)」で、二人は声を合わせる。渋谷のスィートヴォイスを鈴木が優しくナビゲートする展開が微笑ましい。

次に呼び込んだのは、黒いシルクのドレスに身を包んだ篠原涼子だ。レーベルメイトでもあり「いつか一緒にデュエットをしよう」と鈴木が声を掛けていたが、長い年月を経て今年ついに実現した。篠原の主演ドラマ「パンチドランク・ウーマン―脱獄まであと××日―」主題歌として発表された「Canaria」は、いきものがかりの水野良樹が作詞・作曲。哀しさと寂しさを歌声で重ね合わせていく二人。男と女のもつれ合う愛を繊細に描く絶妙なブレンドに痺れた。

続いて、「マイ・ソウル・シスター」と紹介された鈴木聖美が、紫のドレスに黒のアクセントをあしらった衣装で登場。姉弟で息の合ったトークを繰り広げた後、「鈴木聖美と鈴木雅之が同じステージにいるということは、あの歌をやらないわけにはいかない」と、昭和から平成、そして令和へと歌い継がれるデュエットソングの定番曲「ロンリー・チャップリン」で二つの歌声を鳴り響かせる。幼少期の頃から声を合わせて来たからこその名演だった。ソウルの女王と呼ぶに相応しい、天まで届くかのような圧倒的な存在感。彼女の40周年が今から楽しみになるパフォーマンスだった。

ツアーグッズ紹介コーナーを経て、「ここからビートのある曲で楽しむのはいかがでしょうか!」と叫ぶと、TVアニメ「かぐや様は告らせたい」シリーズのテーマ曲たちへ。「アブナイキオク」を歌うと、鈴木愛理を呼び込む。水色のフリルのワンピースにシルバーのネックレスを身につけた鈴木愛理と「DADDY!DADDY!DO!」で声を合わせる。海を渡り世界を席巻した"アニソン"に共鳴するオーディエンスの熱量が凄まじい。「ずっと大好きです!」と言って両手でハートマークを作りマーチンに贈る彼女。場内のテンションは最高潮だ。

「さあ、もっと行こうか!」と叫んだ彼は、伊原六花を呼び込む。舞台セット下手から登場した白いノースリーブドレス姿の伊原の手を取りエスコートする鈴木。そのダンディズムには伊原も満面の笑顔だ。お互いを激しく高め合うような「ラブ・ドラマティック」で、ボルテージはさらに過熱していく。40周年のポーズと共に鈴木を祝福し下手へ下がっていく彼女に、大きな拍手が起こった。

続いて、薄ピンクのファーとオフホワイトのワンピース姿の野宮真貴がセット中央から登場し、槇原敬之の「冬がはじまるよ」を共に歌う。2017年に彼女のアルバム『野宮真貴、ホリデイ渋谷系を歌う。』で鈴木雅之が客演し、『MARTINI DUET DELUXE』にも収録された冬の定番曲だ。ほぼ同時期にデビューし、この10年の間に何度か共演してきた"ラヴソングの王様"と"渋谷系の女王"のデュエットはやはり絶品の味わいだった。

そして、いよいよコンサートも終盤へ。1990年代のヒットシングル「もう涙はいらない」「恋人」でソロシンガーとしての足跡を辿ると、本編最後はデビューシングル「ガラス越しに消えた夏」。内面からあふれ出る思いを全身全霊を込めて歌う姿がそこにあった。「ソロデビューしてからしばらくは全国ツアーを行なうことが出来なかった」「「恋人」をリリースしてようやくソロシンガーとして認められた」と語った鈴木雅之が40周年を機に自らの原点を再確認するようなマーチン・クラシックスだった。

アンコールでは、鈴木雅之もバンドメンバーもトランプの絵柄をコラージュした衣装で再登場する。サプライズゲストとして佐藤善雄と桑野信義を呼び寄せてラッツ&スターの「め組のひと」へ。1980年代を席巻したディスコ&ソウルに会場中の全員が大熱狂だ。佐藤のベースヴォーカルから放たれるスキャットも桑野のトランペットも懐かしい振付もすべてが瑞々しく心に沁みた。全員で「め!」を決めた後、感動のサプライズが。6人のディーヴァがバースデーケーキを下手から運んできて、"Happy Birthday Dear Martin!"の大合唱だ。6人とも古希に合わせて紫のツアーTシャツを着て、さらに白い手袋を着けているのが嬉しい。記念撮影の後、大滝詠一が作詞・作曲した「夢で逢えたら」を全員で歌う。鈴木雅之を中央に、上手に渋谷凪咲、篠原涼子、野宮真貴、下手に鈴木聖美、鈴木愛理、伊原六花が並ぶ実に豪華な風景だった。

最後に、令和8年熊本地震で被災した人たちへの思いを語った鈴木。8月に予定していた熊本公演は中止にせざるを得なかったが、ツアーファイナル直前で振替公演を行なうことを報告。古希を迎えて「これからは誰のために生きるのかが大事になる」と、会場のファンたちに70代への決意を語り万感の一夜を締め括った。全23曲、約2時間50分の熱演。鈴木雅之が目指してきた"古希ソウル"が見事な結晶となって輝きを放った素敵な夜だった。

WOWOWオンデマンドでは、この夜の模様を10/21(水)までアーカイブ配信中だ。また9月22日には、計4枚組のアナログボックス「MARTINI RECORDS COLLECTION」が発売された。本作に収録されているコンピレーションアルバム「MASTERPIECES」の音源は配信もスタート。本作には「違う、そうじゃない」「恋人」「もう涙はいらない」といった1990年代のヒット曲や、「DADDY ! DADDY ! DO ! feat. 鈴木愛理」「渋谷で5時(2026 Records Ver.) feat. 渋谷凪咲」という近年のコラボ曲、多様なカバー曲などが収録されている。
ライブ写真撮影:西槇太一、高田梓
【番組情報】
鈴木雅之 taste of martini tour 2026 Step123 season2 "70 / 40th anniversary"

WOWOWオンデマンドで10/21(水)までアーカイブ配信中
<配信URL>
https://wod.wowow.co.jp/program/207425
鈴木雅之 taste of martini tour 2024 ~Step123 season2 "Snazzy"~ Special Edition

10/15 (木)午後7:30
※放送・配信終了後~3週間アーカイブ配信あり
<番組サイト>
https://www.wowow.co.jp/detail/199950
ライブ写真撮影:西槇太一、高田梓