映画『八月の声を運ぶ男』公開記念舞台挨拶オフィシャルレポート
8⽉22⽇(⼟)に映画『⼋⽉の声を運ぶ男』 の公開記念舞台挨拶が実施された。
⻑崎に暮らし、⽇本全国を渡り歩いて被爆者の声を集め続けたジャーナリスト・伊藤明彦⽒の実話をベースにした映画『⼋⽉の声を運ぶ男』。
全国公開翌⽇の8⽉22⽇にはTOHOシネマズ⽇⽐⾕にて公開記念舞台挨拶が実施され、主演の本⽊雅弘、共演の阿部サダヲ、そして柴⽥岳志監督が参加した。
満員御礼で実施されたこの⽇、被爆者の「声」を録⾳し続けるジャーナリスト・辻原保を演じた本⽊は「本作は劇場版としてすべての⾯で迫って来ます。全⾝の五感を委ねてゆっくりとご鑑賞ください」と挨拶。
⻑崎で被爆し、重い後遺症を背負って⽣きる男性・九野和平役の阿部は「僕は昨⽇の初⽇に、この劇場で観ました。観終わった後に皆さんがどのような感想をお持ちなのかと思って、御夫婦をビルの⼊り⼝付近までつけました」とまさかのお忍び鑑賞を明かして、本⽊や柴⽥監督を驚かせていた。
あいさつ
本作で令和7年度(第76回)芸術選奨放送部⾨⽂部科学⼤⾂賞を受賞した柴⽥監督は「この作品は去年の8⽉にテレビで放送されました。戦後80年以上経って被爆者がだんだん少なくなっていく中で、伝えるということはどういうことなのかに向き合って作りました。テレビドラマを観た⽅も映画から⼊る⽅も含めて、どのようにお感じになったのか感想をお聞かせいただけたら嬉しいです」と反響に期待を寄せていた。
本⽊も改めて、本作の劇場公開に声を弾ませ「伊藤明彦さんの『未来からの遺⾔-ある被爆者体験の伝記』を原案に、伊藤さんの持っていた信念が劇場版という形で、⻑く観ていただける作品としての道筋が開けたと思うと嬉しく感じます」と感無量の様⼦。
「伊藤さんの費やした8年という年⽉をすべて詰め込むことは出来ないけれど、伊藤さんの願いのようなものを感じながら、ひた向きな強さを込めたいと思いました」と撮影時の⼼境を述べていた。
本⽊雅弘、阿部サダヲ 30年ぶりの共演
本⽊と阿部は映画『トキワ荘の⻘春』以来、約30年ぶりの共演。
本⽊は阿部について「阿部さんは30年前からインパクトが変わらない。相変わらずタフでチャーミングで、⾔うなれば愛すべき珍獣」とユニークな表現で賞賛。そして今回の共演での阿部については「切なさが伝わるような、ある種の埋まらない部分を表現しなければいけない役どころ。その辺りが、声の出し⽅を含めてチューニングが上⼿だった」と⼤絶賛だった。
これに阿部は「ぜひとも太字で"愛すべき珍獣"と記事に書いてください︕」とマスコミにお願いをするほど⼤喜び。そして「本⽊さんも30年前と変わりません。今回の作品と『トキワ荘の⻘春』のセットが似ているところもあって、部屋の中、正座でノートを書いている本⽊さんを⾒ると『トキワ荘の⻘春』の寺さんだと思ったりしました」と、時を経てからの共演に感慨ひとしお。
本⽊は30年という⽉⽇に⽬を細めながら「お互いに時を経て親として⼦育ても頑張っていますので、その辺の話を何かのチャンスでお話し出来たらなあと思います」と、またの再会を待ち望
むコメントを寄せた。
【⼦どもたちに"伝えていきたい" "継承"したいこと】
続いて、本作のテーマが"伝える"ということで、「家族に継承していきたい事」を聞かれた阿部は「僕は⾃由に⽣きているので、⾃由にやりなさいという事でしょうね。⾃分の思った通りにやればいいじゃないかと。あとこれからどうやったら渋⾕は完成するのかな...って」と、まさに⾃由奔放にトークを広げ、本⽊を始め観客からも⼤きな笑いが巻き起こった。
⼀⽅、本⽊は「私にはネガティブ思考なところがあって、⼦供たちにはそれが遺伝してしまっているので、その辺は反⾯教師にしてもらって。ポジティブ思考で⽣きて欲しい」と呼び掛けた。
さらに俳優として活躍⽬覚ましい⻑男UTAとの向き合い⽅を聞かれると「別の作品の話をするのもなんですが、Netflixで『ガス⼈間』、『ガス⼈間』が配信されていますけれど」と⻑男の俳優デビュー作のタイトルを2度連呼して「私は15歳からこの世界に⼊った事もあり、学校できちんと歴史を学んだりしておりません。でも様々な作品に出会って、それに関連する本を読むことによって歴史や⼈間の奥底に潜むもの、奇妙さ、そして良さ⾯⽩さ魅⼒を作品から教えてもらいました。だからこれから息⼦のUTA⽒も⾊々な役を頂く事によって、そこで⼈間の幅を広げていって欲しいと思います」と⽗としてのアドバイスをUTA氏に送っていた。
結びのメッセージ
そして本作が終戦の⽉である8⽉に全国公開された意義について、
本⽊は「8⽉とはお盆のお参りをするだけではなく、⽇本の歴史を振り返る⽉でもあり、それはこれからもずっと変わらない。それぞれの世代でそれぞれの深さで想いを馳せることによって、それが最終的に未来の平和に繋がっていけばいいと思います。今回の作品のモデルになった伊藤さんが望んでいたことの⼀端をこの映画も担っていると思いますし、それを観てくださる皆さんもその⼒の⼀つになっていると思いますので、その輪を広げていただければ嬉しいです」と期待を込めていた。
阿部も「この作品で描かれているのは本当にあった事ですから、お⼦様にも観ていただけたら良いと思います。知っていただく、という事も⼤切です」と呼び掛けて、柴⽥監督も「今年で戦後 81 年。戦争が我々⽇本⼈の中から遠くなっていく時代です。でもそんな時に改めてこのような作品が、広島、⻑崎、そして⽇本全国で公開される意義はとても深いものです。この 8 ⽉という⽉が、戦争を振り返るとても良いきっかけになると思うので、節⽬節⽬でこの作品が多くの⼈の⼼に届くよう成⻑していってもらえれば」と祈念した。