WBA、WBO世界スーパー・ウェルター級タイトルマッチ ザンダー・ザヤス対ジャロン・エニス
(写真左より)ザンダー・ザヤス、ジャロン・エニス
23歳の2団体王者 vs 万能型スイッチヒッター
オッズは4対1 エニス有利
23歳のスター候補、WBA、WBO世界スーパー・ウェルター級王者のザンダー・ザヤス(プエルトリコ)が、すでに2階級制覇を成し遂げている万能型スイッチヒッターのジャロン・エニス(29=アメリカ)の挑戦を受ける。オッズは4対1、攻撃力をはじめ総合的に勝るエニス有利と出ている。
王座統一で自信を増したザヤス
ザヤスはアマチュアを経て2019年10月に17歳でプロに転じ、プロモート契約を交わすトップランク社の庇護もあり順調に勝利を重ねてきた。元世界王者のパトリック・テイシェイラ(ブラジル)や世界ランカーのスラワ・スポーマー(キルギス/ドイツ)を下したあと昨年7月、WBO王座決定戦でホルヘ・ガルシア(メキシコ)に勝って戴冠を果たした。そこで自信を増したのか次戦ではWBA王者のアバス・バラオウ(ドイツ)との統一戦に臨み、12回判定勝ちで2団体王者になった。戦績は23戦全勝(13KO)。
身長178㎝、リーチ188㎝と体格に恵まれた右のボクサーファイター型で、スピードを生かしながら立ち位置を変えつつテンポよく戦うことが多い。パワーは平均の域を出ないが、なかなか躍動感のある選手だ。
攻防に必要な戦力をフル装備したエニス
エニスは全米ゴールデングローブ大会優勝などアマチュアで61戦(58勝3敗=敗北はすべてゲイリー・アントゥアン・ラッセルに喫したもの)を経験後、2016年4月に1回KO勝ちでプロデビュー。以来、10年のキャリアで36戦35勝(31KO)1無効試合という戦績を残している。元世界王者のセルゲイ・リピネッツ(カザフスタン)、世界挑戦経験者のフランクリン・ママニ(ボリビア)、トーマス・デュロルメ(グアダルーペ/プエルトリコ)、世界ランカーのカスティオ・クレイトン(カナダ)らを下したあと2023年1月にカレン・チュカジャン(ウクライナ)との決定戦を制してIBF暫定世界ウェルター級王者になった。正王者に昇格後の昨年4月、WBA王者のエイマンタス・スタニオニス(リトアニア)に圧勝して王座統一も果たした。2王座を返上してスーパー・ウェルター級に上げ、次戦でWBA暫定王座を獲得。今回の試合を前に暫定王座を返上した。
身長178㎝、リーチ188㎝とザヤスと同じ体格のスイッチヒッターで、スピードとテクニック、パンチ力などをフル装備した万能型といえる。
ジャブを起点にした攻撃でエニスが王者を圧倒か
エニスの挑戦を受けたザヤスの心意気は高く評価しなければならないが、オッズが示すように厳しい予想は避けられない。テンポの速い攻撃が売りのザヤスだが、エニスがそれに戸惑うとは思えない。エニスが左右どちらの構えでスタートするのか分からないが、いずれにしても速くて伸びのあるジャブにザヤスは苦しめられそうだ。そのうえで意外性のある角度から繰り出されるフック、アッパーの洗礼を受ける可能性が高い。
<TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表>
| ザンダー・ザヤス | ジャロン・エニス | |
| 生年月日/年齢 | 2002年9月5日/23歳 | 1997年6月26日/29歳 |
| 出身地 | サンファン(プエルトリコ) | フィラデルフィア(アメリカ) |
| アマ実績 | 2018年全米ユース選手権W級優勝 | 2015年全米GG大会LW級優勝 |
| プロデビュー | 2019年10月 | 2016年4月 |
| 戦績 | 23戦全勝(13KO) | 36戦35勝(31KO)1無効試合 |
| KO率 | 57% | 86% |
| 獲得世界王座 | WBA、WBO Sウェルター級 | WBA、IBFウェルター級 |
| WBA暫定Sウェルター級 | ||
| 身長/リーチ | 178cm/188cm | 178㎝/188㎝ |
| 戦闘スタイル | 右ボクサーファイター型 | スイッチヒッター |
<スーパー・ウェルター級トップ戦線の現状>
WBA:ザンダー・ザヤス(プエルトリコ)
WBC:セバスチャン・フンドラ(アメリカ)
暫定 :バージル・オルティス(アメリカ)
IBF :ジョシュ・ケリー(イギリス)
WBO:ザンダー・ザヤス(プエルトリコ)
ザンダー・ザヤス(プエルトリコ)、セバスチャン・フンドラ(アメリカ)、バージル・オルティス(アメリカ)、そしてイギリスのジョシュ・ケリーと、なかなか個性的な選手が王座を占めているが、こうしたなか「実力NO.1は誰か」と問われたら、ジャロン・エニス(アメリカ)で一致するのではないだろうか。36戦35勝(31KO)1無効試合の戦績が示すとおりの強打者で、体のサイズ、スピード、テクニック、ボクシングIQ、パンチ力と総合的に極めて高い戦力を備えている。加えて左右どちらの構えでも戦えるとあって、対戦を避けたい相手といえる。
身長197㎝、リーチ203㎝とヘビー級並みのサイズのサウスポー、WBC王者のフンドラも敬遠されるタイプといえる。以前はその実力に懐疑的な見方もあったが、ティム・チュー(オーストラリア)に2勝、キース・サーマン(アメリカ)にも6回TKOで完勝し、評価は上昇中だ。ただ、打たれた場合の耐久力には相変わらず疑問符がつく。WBC暫定王者のオルティスは24戦全勝(22KO)の魅力的なスラッガーだが、コンディション調整に何があり、試合数が少ないのが気になる。
今年1月、長期政権が予想されたバカラン・ムルタザリエフ(ロシア)を番狂わせで破ったIBF王者のケリーは7月に初防衛に成功したばかりだが、まだエニスらを脅かす存在とはいえない。
無冠組では元WBO王者のティム・チュー(オーストラリア)、前WBA王者のアバス・バラオウ(ドイツ)、前出のムルタザリエフ、さらにテレンス・クロフォード(アメリカ)とオルティスを苦しめた元WBA王者のイスライル・マドリモフ(ウズベキスタン)
らが控えている。
IBF北米、WBC米国、NABO北米ミドル級王座決定戦
ジャハイ・タッカー対エウリ・セデーニョ
空位になっているミドル級のIBF北米王座、WBC米国王座、NABO北米王座をかけてジャハイ・タッカー(23=アメリカ)とエウリ・セデーニョ(26=ドミニカ共和国)が拳を交える。オッズは14対11でタッカー有利と出ているが、その接近した数字が示すように両者の総合力は拮抗しており接戦が予想される。
IBF9位、WBO13位にランクされるタッカーは腰を引き気味にした構えからテンポよく左右のパンチを繋いでいくタイプで、ポイントをピックアップしていく術に長けている印象だ。パンチ力に欠けるため迫力はもうひとつだが、将来を期待されているホープといえる。戦績は18戦16勝(7KO)1敗1分。
セデーニョは2021年に開催された東京五輪でミドル級ベスト8に食い込んだ元アマエリートで、2022年10月のプロ転向後も15戦14勝(12KO)1分と無敗をキープしている。80パーセントのKO率が示すとおりのサウスポーの強打者で、両脇を締めた構えでプレッシャーをかけ、至近距離で左右フック、アッパーを打ち込む好戦派だ。
現在はWBAとWBOで7位にランクされている。
左右に動きながらワンツー、または逆ワンツーでポイントを稼ぎたいタッカーと、自慢の強打で仕留めたいセデーニョ。スリリングな試合になりそうだ。
NABF北米ジュニア、WBO中南米、WBC米国シルバー スーパー・ライト級王座統一戦
エミリアーノ・バルガス対ブライス・ミルズ
元WBA、IBF世界スーパー・ウェルター級王者、フェルナンド・バルガスの三男、エミリアーノ・バルガス(22=アメリカ)が、自身の持つNABF北米ジュニアおよびWBO中南米スーパー・ライト級王座をかけ、同級WBC米国シルバー王者、ブライス・ミルズ(25=アメリカ)と対戦する。勝者が三つの王座を保持することになる。
すでにWBO2位、WBA12位、IBF13位、WBC14位にランクされるバルガスはスピードと思い切りのいい攻撃で人気を集め、その注目度に実力が追いついてきた印象だ。今年2月には南米およびアルゼンチンの元王者、アグスティン・キンタナ(アルゼンチン)と対戦。ときおり構えを左にスイッチするなどしてタフで危険な相手を攻め切り、9回終了TKO勝ちを収めた。戦績は17戦全勝(14KO)。
ミルズは6年のプロキャリアで23戦22勝(9KO)1敗の戦績を収めている攻撃型の選手で、ここ4年半で16連勝(6KO)と好調を維持している。器用さは感じられないが、しっかり踏ん張って右ストレート、左フックを強振する好戦派だ。
若さに加え徐々に経験値が上がってきたバルガスがミルズをどう攻め落とすのか注目したい。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
エキサイトマッチ~世界プロボクシング
WBA・WBO世界S・ウェルター級タイトルマッチ
ザンダー・ザヤス vs ジャロン・エニス
WBC米国・IBF北米・NABO北米ミドル級王座決定戦
ジャハイ・タッカー vs エウリ・セデーニョ
WBC米国シルバー・NABF北米ジュニア・WBO中南米S・ライト級王座統一戦
エミリアーノ・バルガス vs ブライス・ミルズ
8/17(月)午後9:00
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