WBO世界ライト級タイトルマッチ アブドゥラー・メイソン対アルバート・ベル
22歳の王者メイソンの初防衛戦
コルディナの代役に29戦無敗のベル
20戦全勝(17KO)の戦績を残しているWBO世界ライト級王者、アブドゥラー・メイソン(22=アメリカ)が、29戦28勝(9KO)1無効試合のWBO6位、アルバート・ベル(33=アメリカ)を相手に初防衛戦に臨む。当初は元IBF世界スーパー・フェザー級王者のジョー・コルディナ(34=イギリス)がメイソンに挑む予定だったが、ビザの問題でアメリカ入国が困難になったためベルが代役を務めることになった。
21歳で戴冠を果たした才能の塊メイソン
メイソンはアマチュアで全米ジュニア五輪や全米ユース選手権で優勝するなど80戦65勝15敗の戦績を残し、2021年11月に17歳でプロデビュー。2年前のヨハン・バスケス(32=ドミニカ共和国)戦で2度のダウンを喫するなど危ない試合もあった(2回逆転KO勝ち)が、まずは順調に成長してきたといっていいだろう。
昨年4月にNABF北米王座とNABO北米王座を同時に獲得し、6月の初防衛戦では世界挑戦経験者のジェレマイア・ナカティラ(36=ナミビア)に5回TKO勝ちを収めている。その5ヵ月後、体重超過のキーション・デービス(27=アメリカ)が失ったWBO王座の決定戦に出場し、17戦全勝(15KO)のサム・ノークス(28=イギリス)に12回判定勝ちを収めて戴冠を果たした。
身長175㎝、リーチ188㎝のサウスポーで、スピード、パンチの切れ、瞬間の閃きなど、まさに才能の塊といえる逸材だ。バスケス戦で露呈した打たれ脆さは気にかかるが、その後の4試合ではディフェンス面の強化が一定の成果を見せているといえそうだ。
調整を2週間早めて初の世界挑戦に臨むベル
挑戦者のベルはアマチュアで全米ゴールデングローブ大会優勝という実績を残し、2013年6月にプロ転向を果たした。スーパー・フェザー級時代にはWBC米大陸王座、NABO北米王座を獲得したほか元世界王者や世界挑戦経験者らを撃破。2023年夏から2024年夏にかけてWBO1位にランクされたが、挑戦の機会に恵まれなかった。
2025年にライト級に転向し、昨年8月にはIBFインターナショナル王座とNABF北米王座を獲得している。6月下旬になって代役の話がまわってきたが、もともと7月18日にアンディ・クルス(30=キューバ)とIBF王座への挑戦者決定戦を行う予定だったため、調整を2週間早めて初の世界挑戦に臨む選択をした。
ベルの最大の特徴は身長183㎝、リーチ185㎝という恵まれた体である。メイソンに挑む予定だったコルディナが身長、リーチとも175㎝だから、いかにベルが大きいか分かるだろう。その体格を生かして左ジャブを飛ばし右に繋げる攻撃パターンを持っている。31パーセントのKO率が示すようにパワーが売りの選手ではないが、相手にとっては戦いにくいタイプといえよう。基本は右構えだが、過去には左構えで戦ったこともある。
王者の圧勝が濃厚 それでも挑戦者の右には要注意
スピードと攻撃力ではメイソンが勝るが、だからといって簡単に自分のペースで戦えるかとなると疑問が生じる。やはりベルの長い左ジャブを掻い潜り、中近距離の戦いに持ち込む必要があるからだ。さらにベルの右は握りが甘いためかチョップ気味になる傾向があるが、軌道が読み切れないパンチが多い。その点はメイソンも注意が必要だろう。
オッズは10対3、王者有利と出ている。メイソンの才能、勢いを考えれば当然だろう。しかし、コルディナ戦のオッズが8対1だったことを考えると、対戦相手が変更になったことでメイソンのリスクは大きく跳ね上がったともいえる。
<TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表>
| <メイソン> | <ベル> | |
| 生年月日/年齢 | 2004年4月5日/22歳 | 1993年1月21日/33歳 |
| 出身地 | ベッドフォード(アメリカ オハイオ州) | トレド(アメリカ オハイオ州) |
| アマチュア戦績 | 80戦65勝15敗 | |
| プロデビュー | 2021年11月 | 2013年6月 |
| 獲得世界王座 | WBOライト級 | |
| 戦績 | 20戦全勝(17KO) | 29戦28勝(9KO)1無効試合 |
| KO率 | 85% | 31% |
| 世界戦 | 1戦1勝 | |
| 身長/リーチ | 175㎝/188㎝ | 183㎝/185㎝ |
| 戦闘スタイル | 左ボクサーファイター型 | 右ボクサーファイター型 |
<ライト級トップ戦線の現状>
WBA:ジャーボンテイ・デービス(アメリカ)
WBC:空位
暫定:ハディエル・エレラ(キューバ)
IBF:レイモンド・ムラタラ(アメリカ)
WBO:アブドゥラー・メイソン(アメリカ)
つい3年ほど前まではジャーボンテイ・デービス(31=アメリカ)、シャクール・スティーブンソン(29=アメリカ)、ワシル・ロマチェンコ(38=ウクライナ)、デビン・ヘイニー(27=アメリカ)らがトップ戦線を賑わしていたが、引退や転級によりデービス以外のスター選手はこの階級から去っていった。残ったデービスも直近の試合で引き分けており、そのあと1年以上のブランクが続いている。
大きな救いはWBO王座に君臨する22歳のアブドゥラー・メイソン(アメリカ)や、WBC暫定王者のハディエル・エレラ(23=キューバ)、フロイド・スコフィールド(23=アメリカ)といった若くて才能に恵まれた選手が台頭してきている点だ。メイソンが20戦全勝(17KO)、エレラが18戦全勝(16KO)、スコフィールドが19戦全勝(13KO)と3人ともKO率も高い。
IBF王者のレイモンド・ムラタラ(29=アメリカ)も24戦全勝(17KO)と無敗をキープしている。今年1月に五輪金メダリストのアンディ・クルス(キューバ)に競り勝って評価を上げたばかりだ。8月には元WBC世界スーパー・フェザー級王者のロブソン・コンセイサン(37=ブラジル)の挑戦を受けることになっている。
追う一番手はムラタラと接戦を演じたクルスで、さらに8月にWBC王座の決定戦に出場するラモント・ローチ(30=アメリカ)とウィリアム・セペダ(30=メキシコ)が続く。
WBC世界フェザー級タイトルマッチ
ブルース・カーリントン対レネ・パラシオス
井上尚弥戦を希望のカーリントン
大一番への布石を打てるか
かねてから井上尚弥(33=大橋)との対戦を望んでいるWBC世界フェザー級王者のブルース・カーリントン(29=アメリカ)が、同級10位のレネ・パラシオス(25=メキシコ)を相手に防衛戦に臨む。「モンスター」を振り向かせるだけのパフォーマンスを披露することができるか。
カーリントンはアマチュア時代は全米選手権や全米ゴールデングローブ大会で3位という成績が最高だが、プロでは昨年7月に16戦目でWBC暫定世界フェザー級王座を獲得。次戦のカルロス・カストロ(メキシコ)戦で9回KO勝ちを収め正規王者になった。今年1月のことだ。スピードと切れのあるパンチを持つ選手で、特に左フックと右ストレートが強い。ただ、過去には被弾して窮地に陥ったこともあり、耐久力は十分に試されているとはいえない。戦績は17戦全勝(10KO)。
パラシオスは2019年8月にプロデビューし、引き分けを挟んで19連勝(10KO)を収めている。今年1月、カーリントンとも対戦経験(10回判定負け)のある世界ランカー、スライマン・セガワ(35=ウガンダ)に10回判定勝ちを収め、空位のNABF北米フェザー級王座を獲得し、同時にトップ10入りを果たした。サウスポーのボクサーファイター型で、左ストレートから返す右フックの上下打ちを得意としている。
オッズは8対1、スピードとパンチ力で勝るカーリントンが有利と見られている。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
エキサイトマッチ~世界プロボクシング
WBO世界ライト級タイトルマッチ
アブドゥラー・メイソン vs アルバート・ベル
WBC世界フェザー級タイトルマッチ
ブルース・カーリントン vs レネ・パラシオス
7/5(日)午前9:00頃~ 先行ライブ配信
7/6(月)午後9:00
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(写真左より)アブドゥラー・メイソン、ブルース・カーリントン Getty Images