スーパー・ウェルター級12回戦 エロール・スペンス対ティム・チュー
(写真左より)エロール・スペンス、ティム・チュー、ジャモール・チャーロ、スティーブン・フルトン
究極のサバイバルマッチ
オッズは5対4 スペンス有利だが...
元WBA、WBC、IBF世界ウェルター級王者のエロール・スペンス(36=アメリカ)と、前WBO世界スーパー・ウェルター級王者で現WBO1位、WBC5位、IBF6位のティム・チュー(31=オーストラリア)がトップ戦線残留をかけて対戦する。テレンス・クロフォード(アメリカ)に9回TKO負けを喫してから3年になるサウスポーのスペンスと、1年半の短期間に3敗するという低迷期を脱した感のあるチュー。究極のサバイバルマッチだ。
3年のブランクを経て再起するスペンス
スペンスはスパーリングパートナーを務めたフロイド・メイウェザー(アメリカ)から「彼こそが私の後継者だ」と太鼓判を押されたとおり、2017年の戴冠から2年ほどは圧倒的な強さを見せつけた。しかし、自らの不注意で交通事故を起こしたり網膜剥離に罹患したりという不運が重なり活動は停滞。それでも2022年4月にはWBA王者のヨルデニス・ウガス(キューバ)を圧倒して3団体王座の統一に成功した。
ところが、2023年7月のクロフォード戦ではまったく見せ場がないまま9回TKOで完敗。王座を陥落するとともに評価も急落した。その後、何度か再起戦の噂が立ちはしたが実現には至らず、ブランクは3年になろうとしている。戦績は29戦28勝(22KO)1敗。
世界戦3連敗後、再浮上中のチュー
一方、元世界スーパー・ライト級王者のコンスタンチン・チュー(ロシア/オーストラリア)を父に、現世界ランカーのニキータ・チュー(オーストラリア)を弟に持つチューは、2023年3月にWBO暫定世界スーパー・ウェルター級王座を獲得し、のちに正王者に昇格。そのまま長期政権を築くかと思われたが、1年後に超長身サウスポーのセバスチャン・フンドラ(アメリカ)に僅差の12回判定負けを喫してV3に失敗。
次戦ではIBF王者に3回TKOで惨敗を喫した。さらに再起戦を挟んでフンドラとの再戦に臨んだが、今度は7回終了TKOの完敗という結果に終わっている。
その後、ミドル級のWBOインターナショナル王座を獲得するなど2連続判定勝ちを収めている。戦績は30戦27勝(18KO)3敗。
攻撃力のある万能型同士の一戦
サウスポーのスペンスとオーソドックスのチュー。構えは左右異なるが、ともに攻撃力のある万能型といえる。
まず注目したいのは3年ぶりのリングとなるスペンスの動きと反応だ。実戦の勘を取り戻すまでに時間を要したり相手の攻撃に対応が遅れたりするようだと苦しい試合を強いられそうだ。
チューに関してはサウスポーに対する適応力をチェックしたい。2019年以降、チューが対戦したサウスポーはフンドラだけで、2試合とも極端に戦いにくそうだった。相手が超長身だからという点を割り引いて考える必要はあるが、サウスポーに対するアレルギーがあるようだとトラブルに陥る可能性が出てきそうだ。
オッズは5対4、スペンス有利と出ているように総合力に大きな差はないと思われる。スペンスが3年のブランクを良き休養として本領を発揮するのか、それとも地元の声援を背にチューが序盤から飛ばすのか。興味深いサバイバルマッチだ。
<TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表>
| <スペンス> | <チュー> | |
| 生年月日/年齢 | 1990年3月3日/36歳 | 1994年11月2日/31歳 |
| 出身地 | ロングアイランド(アメリカ ニューヨーク州) | シドニー(オーストラリア) |
| アマチュア実績 | 2012年ロンドン五輪8強 | |
| アマチュア戦績 | 147戦135勝12敗 | |
| プロデビュー | 2012年11月 | 2016年12月 |
| 獲得世界王座 | WBA S、WBC、IBFウェルター級王座 | WBO Sウェルター級 |
| プロ戦績 | 29戦28勝(22KO)1敗 | 30戦27勝(18KO)3敗 |
| KO率 | 76% | 60% |
| 世界戦の戦績 | 8戦7勝(4KO)1敗 | 6戦3勝(2KO)3敗 |
| 直近の試合 | 2023年7月(9回TKO負け) | 2026年4月(10回判定勝ち) |
| 身長/リーチ | 177㎝/183㎝ | 174㎝/179㎝ |
| 戦闘スタイル | 左ボクサーファイター型 | 右ボクサーファイター型 |
| トレーナー | デリック・ジェームス | |
| ニックネーム | 「The Truth(本物)」 | 「Phoenix(不死鳥)」 |
<スーパー・ウェルター級トップ戦線の現状>
WBA:ジャロン・エニス(アメリカ)
WBC:セバスチャン・フンドラ(アメリカ)
暫定:バージル・オルティス(アメリカ)
IBF:ジョシュ・ケリー(イギリス)
WBO:ジャロン・エニス(アメリカ)
ジャロン・エニス(アメリカ)の参入によって一気に活気づいた印象だ。WBA王座とWBO王座を保持していたザンダー・ザヤス(プエルトリコ)も若くて才能を感じさせる好選手だが、エニスはその上を行く特別な選手といえる。以前から対戦が期待されているWBC暫定王者のバージル・オルティス(アメリカ)との対戦が待ち遠しい。オルティスが調整試合を挟むのではないかと見られているが、一方で早ければ年内にも実現する可能性があるとも伝えられる。37戦36勝(32KO)1無効試合のエニス、24戦全勝(22KO)のオルティス。KO決着間違いなしの好カードだ。
そのエニスはオルティス戦後にWBC王者のセバスチャン・フンドラ(アメリカ)との3団体王座統一戦にも興味を抱いている。フンドラは秋に防衛戦を計画しており、それをクリアした場合は交渉のテーブルにつくものと思われる。IBF王者のジョシュ・ケリー(イギリス)は今年1月、長期政権が予想されたバカラン・ムルタザリエフ(ロシア)とのダウン応酬の接戦を制して殊勲の戴冠を果たしたが、まだ評価を定める段階とはいえない。初防衛戦、その先にセットされそうなムルタザリエフとの再戦をクリアできるか。
加えて、ヨエニス・テレス(キューバ)、アバス・バラウ(ドイツ)、前出のザヤスの元王者組、テレンス・クロフォード(アメリカ)とバージル・オルティスと接戦を演じたイスライル・マドリモフ(ウズベキスタン)、さらに今回のエロール・スペンス(アメリカ)対ティム・チュー(オーストラリア)の勝者らが今後のトップ戦線を賑やかにしていきそうだ。
スーパー・ミドル級10回戦
ジャモール・チャーロ対コーエン・マズーディール
スーパー・ウェルター級とミドル級で世界王座に君臨した実績を持つジャモール・チャーロ(36=アメリカ 34戦全勝23KO)が、昨年5月以来、1年2ヵ月ぶりのリングに上がる。相手のコーエン・マズディアー(30=オーストラリア)は20戦15勝(6KO)4敗1分の戦績を残しているが、2年前にニキータ・チュー(オーストラリア)には9回TKO負けを喫しており、番狂わせの可能性は低そうだ。
もともとスピードとパンチ力に定評のあったチャーロだが、心身の不調に加えコロナ禍の影響もあって活動が不活発になり、2020年以降では今回が5戦目となる。どれだけ錆を取り除いているか、転向から3戦目となるスーパー・ミドル級にどれだけ馴染んでいるか、そんな点をチェックしたい。オッズは12対1、チャーロの圧倒的有利と出ている。
スーパー・フェザー級10回戦
スティーブン・フルトン対リアム・ウィルソン
井上尚弥(大橋)との試合で日本でも高い知名度のあるスティーブン・フルトン(32=アメリカ)が、再起戦で世界挑戦経験者のリアム・ウィルソン(30=オーストラリア)と対戦する。
スーパー・バンタム級とフェザー級の元世界王者でもあるフルトンは昨年12月、3階級制覇を狙ってオシャキー・フォスター(アメリカ)の持つWBC世界スーパー・フェザー級王座に挑むことになっていたが、前日計量で体重超過。これを受け統括団体であるWBCは「WBCライト級暫定王座決定戦」として試合を許可したが、フルトンは12回判定で完敗した。現在はスーパー・フェザー級でWBA6位にランクされている。
対するウィルソンは2023年2月にエマヌエル・ナバレッテ(31=メキシコ)、翌年3月にオスカル・バルデス(メキシコ)に挑んだ経験を持つ。ナバレッテ戦ではダウンを奪う健闘をみせたが、2試合ともTKOで敗れている。その後は5連勝と好調を維持している。現在はWBO2位、WBA7位、IBF9位の肩書を持つ。
オッズは11対4でフルトン有利と出ているが、これは元世界2階級制覇王者の実績を最大限に評価してのものと思われる。フルトンは身長169㎝/リーチ179㎝とフェザー級以下では大柄の部類に入っていたが、フォスター(174㎝/183㎝)並みの体格のウィルソン(176㎝/178㎝)は大きな壁になりそうな気がする。まずは序盤でフルトンのコンディションと持ち味のスピードとテクニックが健在かどうかをチェックしたい。戦績は、フルトンが25戦23勝(8KO)2敗、ウィルソンが21戦18勝(10KO)3敗。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
生中継!エキサイトマッチSP
S・ウェルター級12回戦
エロール・スペンス vs ティム・チュー
S・ミドル級10回戦
ジャモール・チャーロ vs コーエン・マズディアー
S・フェザー級10回戦
スティーブン・フルトン vs リアム・ウィルソン
7/26(日)午前10:00
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