IBF世界ミニマム級タイトルマッチ ペドロ・タドゥラン対クリスチャン・バルナン
日本で戴冠果たしたタドゥランのV2戦
挑戦者は12戦全勝の同胞
昨年7月、滋賀県大津市で重岡銀二朗(ワタナベ)を9回TKOで破って戴冠を果たし、今年5月、大阪で行われた再戦で12回判定勝ち、初防衛に成功したペドロ・タドゥラン(28=フィリピン)のV2戦。IBF最上位の3位にランクされる12戦全勝(7KO)のホープ、クリスチャン・バルナン(25=フィリピン)を相手に力の差を見せつけることができるか。
IBF王座を2度獲得しているタドゥラン
2015年5月にプロデビューしたタドゥランはフィリピンの国内王座を獲得後の2018年8月、相手国タイに乗り込んでワンヘン・メナヨーティン(タイ)の持つWBC王座に挑んだが12回判定負け。1年後、今度はIBF王座決定戦に出場し、4回終了TKO勝ちで戴冠を果たした。この王座はV2戦でレネ・マーク・クアルト(フィリピン)に僅差の判定で敗れて失った。1年後の再戦ではタドゥランが2度のダウンを喫し、さらに両者がバッティングで減点を科されるなど大荒れの試合のすえクアルトが7回負傷判定勝ち、タドゥランは返り咲きを阻まれた。その後、IBF王座はクアルトからダニエル・バジャダレス(メキシコ)、さらに重岡銀二朗、そしてタドゥランへと引き継がれてきたわけだ。
タドゥランは攻撃型のサウスポーで、前傾姿勢でフェイントをかけながら前進、相手を追い詰めていく。インファイトに持ち込んだあとも攻撃のなかでカウンターをとれるのも強みといえる。戦績は23戦18勝(13KO)4敗1分。
強豪との対戦経験皆無のバルナン
タイ、メキシコ、日本で世界戦の経験を持つ王者と比べるとバルナンの戦歴が見劣りするのは仕方ないだろう。その分、25歳という若さと潜在的な能力に期待がかかる。バルナンは2021年12月にプロデビューし、12戦すべてフィリピン国内で行ってきた。世界的な強豪との対戦は皆無で、2年前にミニマム級のWBOアジアパシフィック ユース王座を獲得したのが唯一の実績といっていいだろう。
この階級では168cmと恵まれた身長の持ち主で、適度に足をつかいながら距離を計り、相手の出端に左フックと右ストレートのカウンターを合わせることが多い。ただ、そのボクシングがタドゥランのようなサウスポーのファイターに通用するかどうかは蓋を開けてみないと分からない。
攻める王者 カウンターを狙う挑戦者の構図か
攻撃力、経験値で勝るサウスポーの王者が積極的に仕掛け、バルナンが動きながら迎え撃つチャンスを待つ展開が予想される。序盤でタドゥランが主導権を握るようだと一方的な試合になるかもしれない。距離を詰めてからの波状攻撃で中盤までに攻め落としてしまう可能性は十分にある。バルナンは足をつかって距離を保った状態でカウンターを打ち込みたいが、7度の世界戦を経験している王者がそれを簡単に許すとは思えない。
<ミニマム級トップ戦線の現状>
WBA S :オスカル・コヤソ(プエルトリコ)
:松本流星(帝拳)
WBC :メルビン・ジェルサレム(フィリピン)
IBF :ペドロ・タドゥラン(フィリピン)
WBO :オスカル・コヤソ(プエルトリコ)
ミニマム級は47.6kgが体重上限の最軽量クラスだが、現役の4王者はいずれも比較的高いKO率を残している。WBAスーパー王座とWBO王座を持つオスカル・コヤソ(28=アメリカ/プエルトリコ)が13戦全勝(10KO)、9月にWBA王座を獲得した松本流星(27=帝拳)が7戦全勝(4KO)、WBC王者のメルビン・ジェルサレム(31=フィリピン)が28戦25勝(12KO)3敗、そしてIBF王者のペドロ・タドゥラン(28=フィリピン)が23戦18勝(13KO)4敗1分――ジェルサレム以外はKO率が50パーセントを超えている。また、同じくジェルサレムを除く3王者がサウスポーであるという点も付記しておきたい。
現時点で最も高い評価を受けているのは2団体王者のコヤソだ。2023年5月にジェルサレムを7回終了KOで下してWBO王座を獲得すると、昨年11月にはWBA王者のノックアウト・CPフレッシュマート(35=タイ)に7回TKOで圧勝、王座統一を果たした。7度の世界戦で7勝(6KO)という数字を残している。
高田勇仁(27=ライオンズ)との王座決定戦で5回負傷判定勝ちを収めてWBA王者になった松本もサウスポーの強打者で、まだまだ伸びしろを残している選手だ。
WBC王者のジェルサレムは重岡優大(ワタナベ)から、そしてIBF王者のタドゥランは重岡銀二朗(ワタナベ)から王座を奪ったあと順調に防衛を重ねている。
OPBF東洋太平洋王者の石井武志(26=大橋)、北野武郎(21=大橋)、10月に日本王座を獲得した森且貴(25=大橋)、前出の高田ら日本勢の動向にも注目していきたい。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
エキサイトマッチ~世界プロボクシング
IBF世界ミニマム級タイトルマッチ
ペドロ・タドゥラン vs クリスチャン・バルナン
11/24(月・休)午後9:00
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