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イギリス ミドル級タイトルマッチ ネイサン・ヒーニー対ブラッド・ポールズ

全勝の「ヒットマン」 vs 30歳の「爆弾」
オッズは3対1 ヒーニー有利

 18戦全勝(6KO)のイギリス ミドル級王者ネイサン・ヒーニー(34=イギリス)が、19戦18勝(10KO)1敗のブラッド・ポールズ(30=イギリス)を相手に初防衛戦に臨む。位置づけはイギリス・ダービーだが、ヒーニーはWBO5位をはじめIBF11位、WBA12位、WBC15位にランクされており、世界先陣争いも意味合いを含んだカードでもある。
 ヒーニーはアマチュアを経て2017年11月に28歳でプロデビューした。イギリスのホープの多くがそうであるようにヒーニーも負け越しの相手と戦いながら白星を重ね、2020年にマイナー団体IBOコンチネンタル S・ミドル級王座、翌年にIBOインターナショナル ミドル級王座を獲得。そして2023年11月、世界挑戦経験者のデンゼル・ベントリー(イギリス)が保持するイギリス ミドル級王座に挑むチャンスをつかんだ。強打とタフネスに定評のあるベントリーを相手にヒーニーは立ち位置を変えながら巧みに迎え撃ち、機を見て左ジャブ、鋭い右ストレートなどを打ち込んでジャッジにアピール。ひとりは114対114のイーブンと採点したが、残る二者から17対111、116対113で支持を受けて戴冠を果たした。今回が初防衛戦となる。
 身長185cm、リーチ188cmと体格に恵まれた右ボクサーファイター型で、「ヒットマン」のニックネームを持っている。
 ポールズは2015年12月にプロデビュー。こちらも7年間に11人の負け越し選手を含む16人を相手に勝利を重ねた。17戦目に10回判定負けを喫して勢いは止まったかと思われたが、再起2連勝と調子を取り戻している。昨年9月にはイングランドのミドル級王座を獲得している。
 ガードを高めにあげた構えから左ジャブ、クロス気味の右を狙うボクサーファイター型で、「Bomb」爆弾というニックネームがある。
 ヒーニーが左ジャブで突き放そうとし、ポールズが距離を潰しにかかる展開になるものと思われる。ヒーニーは体格で勝り直近の試合でベントリーを破っているため経験値でも上回るが、それ以外に大きな戦力差は見当たらない。オッズは3対1でヒーニー有利と出ているが、接戦になりそうだ。

<ミドル級トップ戦線の現状>


WBA:エリスランディ・ララ(キューバ/アメリカ)
WBC:カルロス・アダメス(ドミニカ共和国)
IBF   :ジャニベク・アリムハヌリ(カザフスタン)
WBO:ジャニベク・アリムハヌリ(カザフスタン)

 実績と実力では前WBC王者のジャモール・チャーロ(33=アメリカ)をトップに位置づけたいところだが、この3年間に1試合(S・ミドル級で10回判定勝ち)だけでは、現在の力量がどの程度なのか不明と言わざるを得ない。41歳になったWBA王者のエリスランディ・ララ(キューバ/アメリカ)は直近の試合でマイケル・ゼラファ(32=オーストラリア)に2回KOで快勝した。しかし、この試合が約2年ぶりの実戦だったことや、挑戦者の実力不足を考えると素直に喜べない面もある。
 IBF・WBO王者のジャニベク・アリムハヌリ(31=カザフスタン)は2022年、2023年とコンスタントに2試合ずつ世界戦をこなしている。決して知名度の高くないサウスポーの強打者という、相手に敬遠されがちな要素が多い点が気になるところだが、現に、昨年10月のWBC王者との統一戦以降、次戦が決まっていない。試合枯れで時間を浪費することだけは避けてほしいものだ。
 WBC暫定王者から正王者に昇格したカルロス・アダメス(29=ドミニカ共和国)も昨年6月の防衛戦を最後にリングに上がっていない。
 こうしたなか6月にWBA2位、WBC5位、IBF5位のオースティン・ウィリアムス(28=アメリカ)対WBO1位、WBC2位のハムザ・シェラーズ(24=イギリス)という好カードが行われる。16戦全勝(11KO)サウスポーのオースティン、19戦全勝(15KO)長身パンチャー、シェラーズ――勝者が王座挑戦に大きく前進する注目ファイトである。5人の王者たちの活動が不活発だけに、トップ戦線を大いに刺激してほしいものだ。

ヘビー級10回戦
ジョー・ジョイス対カッシュ・アリ

連敗脱出を図る元暫定王者ジョイス
格下を圧倒できるか

 2022年9月から2023年4月までの半年強、WBO暫定世界ヘビー級王者の肩書を持っていたジョー・ジョイス(38=イギリス)が、元IBF欧州ヘビー級王者のカッシュ・アリ(32=イギリス)と対戦する。
ジョイスはサウスポーのツァン・チレイ(中国)に6回TKO負けで暫定王座を失い、5ヵ月後の再戦では右フックを浴びて3回KOで敗れた。この2戦で評価は急落。一時はWBC王者のタイソン・フューリー(イギリス)、3団体統一王者のオレクサンダー・ウシク(ウクライナ)らとの対戦も期待されていたが、連敗によってトップ戦線から大きく後退した。38歳という年齢を考えると、これ以上の敗北は選手生命を左右することになりそうだ。戦績は17戦15勝(14KO)2敗。
 アリは23戦21勝(12KO)2敗の戦績を残している中堅で、2021年にはIBF欧州ヘビー級王座を獲得した実績を持っている。しかし、昨年7月には6勝1敗の無名選手に6回判定負けを喫しており、こちらも近況は芳しいとはいえない。
 再起戦同士のカードだが、地力となると2016年リオデジャネイロ五輪銀メダリストにして元WBO暫定王者のジョイスが一枚上であろう。馬力で押し込みながら重量感のあるパンチで仕留める可能性が高そうだ。

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