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WBO世界S・フェザー級暫定王座決定戦 オスカル・バルデス対リアム・ウィルソン

小柄なファイター vs 大柄なスイッチヒッター
バルデスの強打が炸裂か

 2階級制覇の実績を持つオスカル・バルデス(33=メキシコ)と、オーストラリアの期待を背負うリアム・ウィルソン(28=オーストラリア)がWBO世界S・フェザー級暫定王座決定戦で拳を交える。正王者のエマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)が5月に1階級上のライト級でWBO王座決定戦に出場するためにとられた措置だ。
 バルデスがこの階級で2度目の戴冠を果たすのか、それともウィルソンが初の王座獲得を成し遂げるのか。オッズは10対3、経験と攻撃力で勝るバルデス有利と出ている。

2度の五輪出場 プロでは2階級制覇のバルデス

 バルデスは2008年北京大会、2012年ロンドン大会と2度のオリンピック出場後、21歳でプロに転向した。トップランク社の期待に応え連戦連勝、2016年にはWBO世界フェザー級王座を獲得した。6度防衛後に王座を返上してS・フェザー級に上げ、3年前にはミゲール・ベルチェルト(メキシコ)を劇的な10回KOで斬って落としてWBC王座を獲得、2階級制覇を成し遂げた。ただ、翌2022年にはWBO王者のシャクール・スティーブンソン(アメリカ)との統一戦で完敗(12回判定負け)。昨年8月にはスティーブンソンの後継王者となったナバレッテに挑んだが、やはり大差の判定で敗れている。
 33戦31勝(23KO)2敗の戦績が示すとおりの強打者で、中近距離での打撃戦を好む。ただし、最近はスティーブンソンやナバレッテのように体格で勝る相手に空回りさせられる試合が目立つようになっている。今回が再起戦でもある。

ナバレッテからダウンを奪って株を上げたウィルソン

 ウィルソンもアマチュアを経て2018年6月にプロデビュー。オーストラリアの国内王座やIBFユース王座を獲得するなど9連勝を収めたが、3年前に世界ランカーのジョー・ノイナイ(フィリピン)に4度のダウンを喫して5回TKOで敗れた。8ヵ月後の再戦で体重超過の宿敵を2回KOで下してWBOアジアパシフィック王座を獲得し、同時に世界15傑入りを果たした。昨年2月、WBO世界S・フェザー級王座決定戦でナバレッテと対戦。4回には痛烈なダウンを奪ったものの徐々に失速し、9回TKO負けを喫した。このとき、もともとはバルデスがナバレッテと対戦する予定だったが、負傷したためウィルソンに出番が回ってきたという経緯があった。
 戦績は15戦13勝(7KO)2敗。再起戦でWBOインターナショナル王座を獲得するなど2連勝と復調している。

仕掛けるバルデス 迎え撃つウィルソン

 バルデスは身長166cm/リーチ168cmとS・フェザー級では小柄な部類に入るが、プレッシャーをかけながらインファイトに持ち込む攻撃型で、左フックには一撃で仕留める破壊力もある。
 対照的にウィルソンは身長176cm/リーチ178cmと体格に恵まれている。ナバレッテからダウンを奪った左フックと右ストレートが主武器で、構えを左右にスイッチすることもある。
 バルデスがプレッシャーをかけ、ウィルソンが迎え撃つ展開になるものと思われる。早い段階でバルデスに接近を許すようだとウィルソンは厳しい状況に陥りそうだ。

<S・フェザー級トップ戦線の現状>

WBA:ラモント・ローチ(アメリカ)
WBC:オシャキー・フォスター(アメリカ)
IBF   :ジョー・コルディナ(イギリス)
WBO:エマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)

 この階級は現時点では飛び抜けた存在がおらず混戦状態といえる。エクトル・ルイス・ガルシア(32=ドミニカ共和国)に競り勝ってWBA王座を獲得したラモント・ローチ(28=アメリカ)は2019年11月にはジャメル・ヘリング(アメリカ)に敗れており、もう少し実績を積まないと評価を定められない。
 同じことはWBC王者のオシャキー・フォスター(30=アメリカ)にもいえる。昨年2月の決定戦でWBC世界フェザー級王者のレイ・バルガス(メキシコ)に勝って戴冠を果たし、メキシコに赴いて行った初防衛戦では最終12回に劇的な逆転TKO勝ち。それを機にブレークするかと思われたが、V2戦ではエイブラハム・ノバ(30=アメリカ)を持て余し、2対1の判定勝ちを収めるのがやっとだった。
 IBF王者のジョー・コルディナ(32=イギリス)は2年前、尾川堅一(36=帝拳)を2回KOで下して王座を獲得したが、初防衛戦を前に負傷のため返上。昨年4月、挑戦者としてリング上がり、シャフカッツ・ラヒモフ(29=タジキスタン)に勝って返り咲きを果たした。5月18日にサウジアラビアでアンソニー・カカチ(35=イギリス/アイルランド)の挑戦を受ける予定だ。
 WBO王者のエマヌエル・ナバレッテ(29=メキシコ)は5月18日にアメリカのカリフォルニア州サンディエゴでデニス・ベリンチク(35=ウクライナ)とWBO世界ライト級王座決定戦を行うことになっている。勝てば4階級制覇となる。S・フェザー級王座を保持したままライト級王座の決定戦に出場するため、今回のオスカル・バルデス対リアム・ウィルソンの暫定王座決定戦が行われることになった。ナバレッテがライト級王者になった場合はS・フェザー級王座を返上し、暫定王者(バルデス対ウィルソンの勝者)が正王者になるものと思われる。
 しばらくは混戦状態が続くものと思われるだけに、元王者の尾川、力石政法(29=LUSH緑)が割って入るチャンスは十分にありそうだ。

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