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WBA・WBC世界L・フライ級タイトルマッチ 寺地拳四朗対カルロス・カニサレス

KO率61% vs KO率68%
統一王者 寺地のV4戦

 WBA・WBC世界L・フライ級王者、寺地拳四朗(32=BMB)が元WBA同級王者で現1位のカルロス・カニサレス(30=ベネズエラ)を迎えて防衛戦に臨む。2022年3月に奪回したWBC王座は4度目、8ヵ月後の統一戦で手に入れたWBA王座は3度目の防衛戦となる。

 寺地は2017年5月にWBC世界L・フライ級王座を獲得し、8度の防衛をマーク。しかし、2021年9月に矢吹正道(緑)に10回TKO負けを喫し、4年以上もキープした王座を失った。ここまでの第一次政権は左ジャブを駆使して距離を操り、そのうえで仕留める、あるいはポイントで引き離すといった内容の試合が多かった。
 以後は奪冠戦となった矢吹との再戦で3回KO勝ち、WBA王者の京口紘人(ワタナベ)に7回TKO勝ち、若く勢いのあるアンソニー・オラスクアガ(アメリカ)と元2階級制覇王者のヘッキー・ブドラー(南アフリカ)にともに9回TKO勝ちと、パンチ力を生かし打撃戦で打ち勝っている試合が目立つ。その分、被弾が増えたのも事実だ。京口戦やオラスクアガ戦のように勝敗が逆になっていても不思議ではない試合もあり、危ない橋を渡っている印象も強い。今回も寺地は「油断せずに自分のペースで戦えば自然とKO勝ちに繋がると思う」と話しており、打撃戦も辞さずの構えをみせている。
 カニサレスは日本にも馴染みの選手だ。2016年12月の初来日時にWBA世界L・フライ級王者の田口良一(ワタナベ)と12回引き分けたあと、2018年3月の再来日では小西伶弥(真正)に12回判定勝ちを収め空位のWBA同級王座を獲得。翌年5月、中国で木村翔(青木)を12回判定で退けて2度目の防衛に成功している。しかし、コロナ禍で試合間隔が空いたことが影響したのかV3戦でエステバン・ベルムデス(メキシコ)に6回TKO負けを喫して王座から陥落した。
 その後、元WBC王者のガニガン・ロペス(メキシコ)に4回KO勝ち、世界挑戦経験者のアルマンド・トーレス(メキシコ)に1回TKO勝ち、さらにWBA挑戦者決定戦でダニエル・マテジョン(キューバ)に8回負傷判定勝ちを収めて今回のチャンスをつかんだ。
 左フックや右ストレートを中心に打撃戦を好む傾向があるが、一方で木村戦で見せたように機動力を駆使したボクシングもできる。
 ふたりとも打ち合うこともできれば技術力を生かした戦いもできるため、まずはそれぞれがどんな戦い方を選択するかに注目したい。技術戦か、それとも打撃戦か。オッズは約6対1で寺地有利と出ている。

<寺地拳四朗> 世界戦全記録


2017年5月 ガニガン・ロペス(メキシコ)
(WBC世界L・フライ級王座獲得)
〇12回判定  
10月 ペドロ・ゲバラ(メキシコ) 〇12回判定 防衛1
12月 ヒルベルト・ペドロサ(パナマ) 〇4回TKO 防衛2
2018年5月 ガニガン・ロペス(メキシコ) 〇2回KO 防衛3
10月 ミラン・メリンド(フィリピン) 〇7回TKO 防衛4
12月 サウル・フアレス(メキシコ) 〇12回判定 防衛5
2019年7月 ジョナタン・タコニン(フィリピン) 〇4回TKO 防衛6
12月 ランディ・ペタルコリン(フィリピン) 〇4回TKO 防衛7
2021年4月 久田哲也(ハラダ) 〇12回判定 防衛8
9月 矢吹正道(緑) ●10回TKO WBC王座失う
2022年3月 矢吹正道(緑) 〇3回KO WBC王座奪回
11月 京口紘人(ワタナベ)
(WBAスーパー王座獲得=2団体王座統一)
〇7回TKO  
2023年4月 アンソニー・オラスクアガ(アメリカ) 〇9回TKO 統一王座防衛
9月 ヘッキー・ブドラー(南アフリカ)
※14戦13勝(9KO)1敗
〇9回TKO 統一王座防衛

<TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表> 


  寺地拳四朗 カルロス・カニサレス
生年月日/年齢 1992年1月6日/32歳 1993年3月11日/30歳(試合時)
出身地 城陽市(京都府) カラカス(ベネズエラ)
アマチュア戦績 73戦57勝16敗  
プロデビュー 2014年8月 2014年7月
身長/リーチ 164.5cm/163cm 160cm/164cm
プロ戦績 23戦22勝(14KO)1敗 28戦26勝(19KO)1敗1分
KO率 61% 68%
獲得世界王座 WBC、WBAスーパー L・フライ級 WBA L・フライ級
世界戦の戦績 14戦13勝(9KO)1敗 5戦3勝(1KO)1敗1分
戦闘スタイル 右ボクサーファイター型 右ボクサーファイター型

<L・フライ級トップ戦線の現状>


WBAスーパー:寺地拳四朗(BMB)
WBC                 :寺地拳四朗(BMB)
IBF                    :シベナティ・ノンティンガ(南アフリカ)
WBO                :ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)

 この階級は2団体王者の寺地拳四朗が主役といっていいだろう。一度は矢吹正道(31=緑)に敗れて王座を失ったが、半年後に奪回。その試合やWBAスーパー王者の京口紘人(30=ワタナベ)との統一戦を含め直近の4戦はすべてKO(TKO)で終わらせている。以前よりもリスクの高い打撃戦を好んでいる点は気になるが、その分、試合はスリリングだ。以前から4団体王座の統一を目標として挙げているが、WBO王者のジョナサン・ゴンサレス(32=プエルトリコ)の急病などで実現していない。モチベーションや年齢を考えるとフライ級への転向も視野に入ってきそうだ。
 IBF王者のシベナティ・ノンティンガ(25=南アフリカ)は14戦13勝(10KO)1敗の戦績を残している強打者だが、昨年11月にアドリアン・クリエル(25=メキシコ)に2回KO負けを喫している。再戦で10回TKO勝ちを収めて王座を取り戻したが、まだ評価は定まっていない。
 こうした王者たちの動きを見ているのがWBCとWBOで1位にランクされる岩田翔吉(28=帝拳)だ。2022年11月にWBO王者のゴンサレスに惜敗してから再起3連続KO(TKO)勝ちと好調を維持している。前WBC王者の矢吹正道も寺地との再戦で敗れてから3連続KO(TKO)勝ちを収めている。

S・バンタム級(54.8キロ契約)8回戦
那須川天心対ルイス・ロブレス
「神童」が3戦目で世界ランカーに挑戦

 昨年4月、キックボクシングからプロボクシングに転向した「神童」那須川天心(25=帝拳)が、WBAとWBOで世界バンタム級14位にランクされるルイス・ロブレス(25=メキシコ)に挑む。
 那須川は卓越したスピードと絶妙のカウンターを主武器とするサウスポーのボクサーファイター型で、判定勝ちに終わったデビュー戦と2戦目でもダウンを奪っている。すでに抜群の知名度を持つため一部には話題先行との声もあるが、近い将来に世界の大舞台に立つ可能性を秘めた逸材であることは間違いない。すでに2試合で大きな成長を見せており、その流れで今回の世界ランカーへの挑戦試合が組まれたといえる。
 ロブレスは18戦15勝(5KO)2敗1分の戦績を残している攻撃型の選手で、2018年から2021年にかけて12連勝を収めたこともある。その間、2019年9月には12回を戦い抜いて空位のWBC中米カリブ シルバー バンタム級王座を獲得している。また、10回引き分けに終わったが、2023年10月にはWBC中南米バンタム級王座に挑んだこともある。距離を縮めてワンツーを叩きつけてくるタイプで、体も頑丈だ。数多くの世界王者を育ててきたイグナシオ・ベリスタイン・トレーナーに師事していることも付記しておく必要があるだろう。
 接近戦を挑んでくると思われるロブレスに対し、那須川がスピードとカウンターでどう対応するのかが見どころといえそうだ。

S・バンタム級(54.5キロ契約)8回戦
与那覇勇気対辰𠮷寿以輝
好戦派同士の注目ファイト

 日本バンタム級10位の与那覇勇気(33=真正)と、元世界バンタム級王者、辰𠮷丈一郎を父に持つ辰𠮷寿以輝(27=大阪帝拳)が拳を交える。
 与那覇が「辰𠮷は知名度も実力もある正統派でパワーがあるが、自分もパワーには自信がある。ぶん殴り合いをして勝つ」と話せば、辰𠮷も「殴り合いなら負けない。最高の舞台で最高のド突き合いをして勝つ」と宣言。その言葉どおり初回からスリリングな戦いが見られそうだ。
 ただ、与那覇はアマチュアで63戦(50勝13敗)の経験があり、辰𠮷もプロで15戦無敗(14勝10KO1分)と好戦績を残しており、足を止めて我慢比べという単純な試合にはならないだろう。打撃戦への導火線ともいうべき互いの左ジャブがカギを握る試合になりそうだ。

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(C)NAOKI FUKUDA

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