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WBOオリエンタル S・バンタム級タイトルマッチ サム・グッドマン対マーク・シュライブス

井上尚弥への挑戦権保持者グッドマン
元オーストラリア国内王者を圧倒か

 井上尚弥(大橋)が4団体統一王座に君臨するS・バンタム級でIBFとWBOで1位にランクされるサム・グッドマン(25=オーストラリア)が、オーストラリアの元バンタム級国内王者のマーク・シュライブス(30=オーストラリア)を相手にWBOオリエンタル S・バンタム級王座の防衛戦に臨む。年内にも井上への挑戦を実現させたいグッドマンにとっては圧勝がノルマといえる試合だ。

2023年に強豪を4連破して飛躍したグッドマン

 グッドマンはアマチュアで世界ユース選手権バンタム級3位やオセアニア選手権優勝といった実績を残し、2018年4月に19歳でプロに転向した。3年後にフェザー級の国内王座を獲得したあとS・バンタム級に階級を落とし、WBOオリエンタル王座、IBFインターコンチネンタル王座をコレクションに追加。2022年には世界挑戦経験者のフアン・ミゲール・エロルデ(フィリピン)を8回TKOで退け、さらに昨年3月には元世界王者のTJドヘニー(アイルランド)にも大差の10回判定勝ちを収めて両王座の防衛を果たした。勢いを増したグッドマンは次戦でIBFのS・バンタム級挑戦者決定戦に出場し、元WBA同級暫定王者のライース・アリーム(アメリカ)に12回判定で競り勝った。4ヵ月後、世界挑戦経験者のミゲール・フローレス(メキシコ/アメリカ)も下すと、12月にはWBO14位のゾン・リュウ(中国)にも12回判定勝ちを収めた。元世界王者ふたり、世界挑戦経験者、現役世界ランカーを撃破と、2023年はグッドマンにとって飛躍の一年となった。戦績は17戦全勝(7KO)。直近の5戦は強豪相手にすべて判定勝ちだが、この間に経験値とスタミナは格段にアップしたといえる。
 身長169cm、リーチ169cmのグッドマンは正統派の右ボクサーファイターで、必要とあれば執拗に左ジャブを突き、機を見て右ストレートに繋ぐ攻撃パターンを持っている。さらに左ショートや左フック、左ボディブローを繰り出すなど手数も多い。

2度の長期ブランクから復帰したシュライブス

 シュライブスもアマチュア出身者で、16歳だった2009年にはオーストラリアのジュニア選手権L・フライ級で優勝している。2012年10月にプロデビューし、12年間で15戦13勝(9KO)2敗の戦績を収めている。キャリアの割に試合数が少ないのは2013年から2016年までの3年半と2020年から2023年にかけての2年半の長期ブランクがあるからだ。この間、2018年にはオーストラリアのバンタム級国内王座を獲得し、翌2019年には世界挑戦経験者のノルディ・マナカネ(インドネシア)に1回TKO勝ちを収めている。
 しかし、2020年12月のIBFパンパシフィック、WBOグローバル フェザー級王座決定戦でボディブローを浴びて5回KO負け。2年半後の復帰戦では3度のダウンを喫して1回TKO負けを喫している。実力面で底を見せた印象は拭えないが、身長160cm、リーチ164cmのシュライブスにとってフェザー級は体格的なハンディキャップが大きかったともいえそうだ。昨年12月、バンタム級の体重で再起戦に臨み5回KO勝ちを飾っている。
 ワンツー、左フック、右クロスという攻撃パターンを持ったボクサーファイター型だが、守りにまわると気弱な一面を見せ、ブロック主体の防御にも甘さが残る。

会見の席で"場外戦" 序盤からグッドマンが圧倒か

 この両者は発表会見の席で互いを罵り、あげくに小突き合い、最後はグッドマンが右の平手打ちをするという"場外戦"を展開している。敵意がそのままリング上に持ち込まれる可能性が高く、初回からテンポの速い攻防が予想される。
 体格に加えスピード、攻撃のバリエーションなどで勝るグッドマンが主導権を握るものと思われる。シュライブスは右クロスや左フックなどでグッドマンの左ジャブを止めたいところだが、難しい作業になることは間違いない。強豪相手に判定勝ちが続いていたグッドマンにとっては久々にKO勝ちのチャンスといえそうだ。

<S・バンタム級トップ戦線の現状>

WBAスーパー:井上尚弥(大橋)
WBC    :井上尚弥(大橋)
IBF       :井上尚弥(大橋)
WBO    :井上尚弥(大橋)

 WBC・WBO王者のスティーブン・フルトン(29=アメリカ)を8回TKO、WBA・IBF王者のマーロン・タパレス(31=フィリピン)を10回KOで下し、S・バンタム級転向から2試合で階級平定を果たした井上尚弥(30=大橋)が1強状態を築いている。5月6日に元バンタム級、S・バンタム級王者で現WBC1位のルイス・ネリ(29=メキシコ)の挑戦を受けるが、よほどのアクシデントがないかぎり王座の移動はないだろう。現時点での海外のスポーツブックのオッズは10対1で王者有利。それほど井上の力量が抜きん出ているといえる。
 フルトンのフェザー級転向が確実視されているため、2番手争いはネリ、元王者のムロジョン・アフマダリエフ(29=ウズベキスタン)、IBFとWBOで1位にランクされるサム・グッドマン、少し離れて元3階級制覇王者のジョンリエル・カシメロ(35=フィリピン)か。
 井上は「2024年は年間3試合したい」とプランを話しており、このままいけば5月にネリとのWBC指名試合を消化し、9月にWBA指名挑戦者のアフマダリエフを迎え、12月に2団体で1位のグッドマンと防衛戦を挙行するという流れが考えられる。
 元WBA暫定王者のライース・アリーム(33=アメリカ)や、中嶋一輝(30=大橋)と新鋭ジャフェスリー・ラミド(24=アメリカ)を倒して健在を印象づけた元IBF王者のTJドヘニー(37=アイルランド)、井上に善戦したタパレスも返り咲きを狙うことになるだろうが、現4団体統一王者との力量差は小さくない。

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