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英連邦・WBCシルバー ミドル級タイトルマッチ
ハムザ・シェラーズ対リアム・ウィリアムス

24歳のホープ vs 31歳のベテラン
9対2のオッズが後押し 新旧交代か

 ミドル級でWBC4位、WBO5位、WBA11位にランクされるハムザ・シェラーズ(24=イギリス)が、世界挑戦の経験もあるWBO6位、WBC8位のリアム・ウィリアムス(31=イギリス)を迎え英連邦およびWBCシルバー同級王座の防衛戦に臨む。当初、この試合は2023年12月2日に行われる予定だったが、シェラーズが鼓膜を痛めたため延期された経緯がある。18戦全勝(14KO)の戦績を残している191cmの長身パンチャー、シェラーズが連勝を19に伸ばすのか、それとも「ザ・マシン(機械)」というニックネームを持つウィリアムスがベテランの意地を見せるのか。

 シェラーズは2017年9月に18歳でプロデビューした。2年ほどは負け越しの相手を選んで戦っていたが、2019年11月にWBO欧州S・ウェルター級王座を獲得すると陣営は強気のマッチメークに方針を転換。体の成長に合わせ2022年にはミドル級に転向し、WBCインターナショナル王座、WBCシルバー王座、さらに英連邦王座を獲得していった。今回はWBCシルバー王座が3度目、英連邦王座は初防衛戦となる。
 シェラーズの最大の特徴は191cmの長身にあるといっていいだろう。その恵まれた体からシャープで強い左ジャブを突き、相手が戸惑っているところに右ストレート、左フックを見舞う攻撃パターンを持っている。78パーセントのKO率が示すとおりパンチ力があり、特に2ラウンド以内のKOが8度もある。3試合前には攻め急いだところにカウンターを浴びてダウンしたことがあり、まだ耐久力に関しては試されていないといえる。

 2011年11月にプロデビューしたウィリアムスは引き分けを挟んで16連勝(11KO)を収めるなどして期待を集めた選手で、何度かの挫折を乗り越えて現在も世界挑戦圏内にいる。ウィリアムスが最も世界に接近したのは2017年4月8日であろう。この日、ウィリアムスはリアム・スミス(イギリス)の持つWBO暫定世界S・ウェルター級王座に挑むはずだったが、スミスが体重超過のため計量で失格。ウィリアムスが勝てば暫定王座獲得というルールで行われた試合でウィリアムスは着々と加点していった。しかし、9回にバッティングで右目上を大きくカットしてしまい、10回の開始を前に陣営はリタイアを決断。ウィリアムスにとっては不運な結果となった。
 2021年4月、ウィリアムスはデメトリアス・アンドラーデ(アメリカ)の持つWBO世界ミドル級王座に挑んだが、2回にダウンを喫したすえ大差の判定で敗れた。次戦でもクリス・ユーバンク・ジュニア(イギリス)に4度のダウンを喫して完敗。しかし、その後は2連勝と復調の兆しをみせている。
 距離を詰めて自慢の強打を打ち込む攻撃型だが、防御に関しては課題を残したままといえる。

 まず注目したいのはシェラーズの左ジャブだ。肘から先がスッと伸びるため相手は反応が遅れることが多い。このパンチをウィリアムスが被弾することなく接近できるかどうか。もしもシェラーズの左ジャブに悩まされるようならば甘いディフェンスを軽々と突破されてしまいそうだ。ウィリアムスが体を振って中近距離の戦いに持ち込めれば互角に戦うことはできそうだが、簡単な作業とはいえない。オッズは9対2、24歳のホープ有利と出ている。

<ミドル級トップ戦線の現状>

WBA  :エリスランディ・ララ(キューバ/アメリカ)
WBC  :ジャモール・チャーロ(アメリカ)
WBC暫定:カルロス・アダメス(ドミニカ共和国)
IBF     :ジャニベク・アリムハヌリ(カザフスタン)
WBO  :ジャニベク・アリムハヌリ(カザフスタン)

 サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)、ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)、ジャモール・チャーロ(アメリカ)、村田諒太(帝拳)らがトップを占めていた数年前と比較するとタレント不足の印象は拭えない。唯一残っているチャーロは昨年11月に戦線復帰したが、30歳から33歳までの充実期を棒に振ったことが惜しまれる。
 WBA王者のエリスランディ・ララ(40=キューバ/アメリカ)は3月にマイケル・ゼラファ(31=オーストラリア)の挑戦を受けることになっている。2022年5月からブランクが続いており、約2年ぶりの実戦となる。実力どおりならばララのスキルが挑戦者を抑え込んでしまうが、錆びていないか心配だ。
 IBFとWBOの統一王者、ジャニベク・アリムハヌリ(30=カザフスタン)は15戦全勝(10KO)のサウスポーの強打者で、まだ底を見せていない。コンスタントに年間2試合をこなしているが、できればこのペースを上げていってほしいものだ。
 WBC暫定王者のカルロス・アダメス(29=ドミニカ共和国)も高い潜在能力を持った選手だが、やはり昨年6月から試合枯れ状態になっている点が気になる。チャーロ、ララ、アリムハヌリ、誰と戦っても好勝負が期待できる。
 ランカーのなかでは18戦全勝(14KO)のハムザ・シェラーズに注目したい。191cmの長身から繰り出す左ジャブと右ストレートは魅力的だ。このほかベテランの域に入ってきたクリス・ユーバンク・ジュニア(34=イギリス)のほか20戦全勝(11KO)のメイリム・ヌルスルタノフ(30=カザフスタン)、16戦全勝(13KO)のイライジャ・ガルシア(20=アメリカ)ら期待のホープもいる。

英連邦・英国(決定戦)・WBOインターナショナル ライト級(決定戦)タイトルマッチ
サム・ノークス対ルイス・シルベスター

ライト・ヘビー級10回戦
アンソニー・ヤード対マルコ・ニコリック

英連邦シルバー フェザー級タイトルマッチ
マスード・アブドゥラ対クワイス・アシュファク

 プロデビューから12戦すべてKO勝ちという26歳の強打者、サム・ノークス(イギリス)が、これまたデビューから13連勝(4KO)の戦績を残しているルイス・シルベスター(25=イギリス)と対戦する。複数の地域王座がかかるだけに、シルベスターにとっては勝ったときのリターンが大きな試合といえる。勢いのある選手同士のカードだが、パンチ力で勝るノークスが6対1で有利とみられている。
 2度の世界挑戦経験を持つアンソニー・ヤード(32=イギリス)が、再起第2戦でマルコ・ニコリック(34=セルビア)と対戦する。WBAとWBOで4位、WBC5位、IBF7位のヤードは27戦24勝(23KO)3敗の戦績が示すとおりの強打者だが、2019年8月の世界初挑戦試合ではセルゲイ・コバレフ(ロシア)に11回TKOで敗れ、2023年1月のアルツール・ベテルビエフ(ロシア/カナダ)への挑戦では8回TKO負けを喫した。いずれも善戦といえる内容だったが、壁を破るまでには至らなかった。ニコリックはデビューから27連勝をマークしたこともある選手だが、直近の8戦に限ってみれば5勝3敗と好調はいえない状態といえる。ヤードの強打が炸裂しそうだ。
 マスード・アブドゥラ(30=イギリス)対クワイス・アシュファク(30=イギリス)は、アブドゥラの持つ英連邦シルバー フェザー級王座の防衛戦として行われる。3年前に27歳でプロデビューしたアブドゥラは9戦全勝(6KO)、アマチュア時代に2016年リオデジャネイロ五輪に出場した実績を持つアシュファクは14戦12勝(5KO)2敗。直近の試合でアブドゥラが元イギリス王者に7回TKO勝ちを収めているのに対し、アシュファクは英国S・フェザー級王座決定戦で12回判定負けを喫しており、勢いに差がある。オッズは6対1、アブドゥラ有利と出ている。

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