バルセロナ、チャビ監督と決勝Tへ。7季ぶり出場アーセナルとポルトの因縁とは?【CL ベスト16 1st legプレビュー】
WOWOWで独占生中継しているUEFAチャンピオンズリーグ 2023-24。日本時間2月14日(水)早朝に決勝トーナメントが開幕し、2022-23シーズン王者のマンチェスター・シティ、過去最多14度の優勝を誇るレアル・マドリードらが1st legで先勝を収めた。そして今週は7シーズンぶりにCLの舞台に帰ってきたアーセナル、今季限りでの退任が決まっているチャビ・エルナンデス監督率いるバルセロナなどが登場する。
2月21日(水)午前4:45 インテル vs アトレティコ・マドリード
ともにビッグクラブでありながら、意外にもUEFAチャンピオンズリーグでの対戦は初めてとなるカード。過去に公式戦で顔を合わせたのは2010年のUEFAスーパーカップ1回のみで、その際はレジェスとアグエロのゴールでA・マドリードが勝利した。
昨季は決勝まで進み、ビッグイヤーまであと一歩に迫ったインテル。リベンジを果たしたい今シーズンはさらにパワーアップした印象だ。グループステージではレアル・ソシエダに得失点差で及ばずも、6戦無敗の2位通過。国内リーグは24試合でわずか1敗と首位をひた走り、得点数、最少失点でともにリーグトップと、すでにスクデットが視界に入っている。19ゴールを挙げるラウタロ・マルティネスはもちろん、相棒のテュラム、ムヒタリアンらが絡む攻撃陣に加え、先日のローマ戦ではアチェルビ、バストーニのDF陣もゴールを決めた。多彩な攻撃パターンとソリッドな守備を擁するチームは、紛れもなく優勝候補の一角だろう。
優勢とみられていたグループEで納得の首位突破を決めたA・マドリードも、6試合を戦って無敗。かつては堅守のイメージが強かったディエゴ・シメオネのチームは、グループステージ全32クラブ中2位の17ゴールを記録している。攻撃陣を牽引したのはともに5得点を挙げたモラタとグリーズマン。前者は右ひざの負傷で1st legを欠場する可能性が高いものの、国内リーグ戦でもここまで合わせて24ゴールを決めているラ・リーガ屈指のデュオが、今後の戦いでもカギを握る。
完成度を増した昨季ファイナリストのインテルと、強力な矢を誇るアトレティコ。ベスト16のなかで最も興味深いカードといってもいい。
2月21日(水)午前4:45 PSV vs ボルシア・ドルトムント
欧州のトップリーグに属してなくとも、CLでの更なる躍進を期待させてくれるのがオランダの強豪PSVだ。プレーオフを勝ち抜いて出場した本大会グループステージでは、難敵が同居するグループBに入った。苦戦が予想されたが、6試合で敗れたのは敵地で戦ったアーセナル戦のみで、セビージャやRCランスに直接対決で勝ち越して堂々の2位通過を決めている。
そのPSV以上の難関を突破したのがボルシア・ドルトムント。パリ・サンジェルマン、ミラン、ニューカッスルと同組になった上に、Matchday 1でPSGに敗れスタートダッシュに失敗した。それでもその後は3勝2分と持ち直し、強豪が並み居るグループFを首位で突破してみせた。
前半戦は調子の上がらなかった国内リーグでも、ウィンターブレイク明けは6試合を戦って4勝2分、その間14ゴール2失点と良好。CL決勝トーナメントに向けてギアを上げてきたようだ。
PSVは国内リーグで開幕から未だ22戦無敗、成績は20勝2分に70得点10失点とどれを取っても圧巻の数字だ。注目はキャプテンでありエースのルーク・デヨング。ここまで公式戦34試合で27ゴールを挙げており、今季彼が点を取った試合でチームは負け知らず。MFフェールマンのパス、右ウイングのバカヨコのドリブルでチャンスを創出し、最後はルークで沈める。今季国内で無双する必殺の攻撃パターンがドルトムントを攻略するのか注目だ。
2月22日(木)午前4:45 ナポリ vs バルセロナ
アルゼンチンが生んだ伝説のプレーヤーに深く関わりを持つ2クラブが、その名を冠するスタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナで激突する。
グループCを戦ったナポリはレアル・マドリードとの対戦で2敗を喫するも、ブラガ、ウニオン・ベルリンと大きく差をつけて危なげなく決勝トーナメント進出を決めた。特徴的なのは得点者のバランスで、計10得点の内訳は8選手のゴールと2つのオウンゴールによるもの。オシムヘンの存在に頼ることなく、サブのシメオネやラスパドーリ、さらにはDFのディ・ロレンツォやウスティゴールなどどのポジションからでもネットを揺らせることを示している。
バルセロナは前評判通りにグループHを首位通過。それでもアウェイゲームで2敗を喫するなどやや苦戦を強いられた。ただ、ガビらが負傷の災難に見舞われた際に、その穴を埋めたのがラミン・ヤマル、フェルミン、マルク・ギウといったカンテラ育ちの逸材というのは、さすが "人材の宝庫" と言わざるを得ない。
また、この両雄にとって共通の大きなテーマといえば「監督」。シーズン開幕をリュディ・ガルシア体制で迎えたナポリは11月、成績不振を理由に指揮官を更迭。後任にはかつてナポリを率いたヴァルテル・マッツァーリを据えた。ただCLグループステージ突破こそしたもののリーグ戦は現在9位で、ガルシア前監督解任時の4位よりも順位を落としている。この監督交代が成功かと問われると疑問符がつく現状だ。
一方のバルセロナはチャビ・エルナンデス監督が今季限りで退くことを発表。会見で「クラブのための決断」とバルサ愛を隠さなかった近年の功労者は、監督としてもビッグイヤーを掲げることができるのか。3シーズンぶりのCL決勝トーナメント、狙うは大団円だ。
2月22日(木)午前4:45 ポルト vs アーセナル
グループHではシャフタール・ドネツク、ロイヤル・アントワープと2位の座を争う展開となったポルト。欧州中堅国の強豪による三つ巴は混戦が予想されたが、ふたを開けてみれば直接対決でポルトが完勝。バルセロナには2戦とも敗れたものの、4勝2敗で2シーズン連続の決勝T進出を決めた。一方で国内リーグではライバルのベンフィカ、スポルティングCPに水をあけられている状況。2月に入ってからは格下のクラブ相手に星を落とすなど不安定さも垣間見えるだけに、決勝トーナメントを良い状態で迎えられるか気がかりだ。
7シーズンぶりにCLの舞台に帰ってきたアーセナルは、Matchday 2でRCランスに金星を献上したものの、それ以外は盤石の戦いでグループBを首位通過した。
最後にCLに出場した2016-17シーズンまでは7季連続ベスト16で涙を呑んだアーセナル。最後にベスト16を突破したのは2009-10シーズンのことで、奇遇にもその時の対戦相手はポルトだった。敵地での1st legを落とすも、2nd legではベントナーのハットトリックなどで大勝した思い出深い一戦だ。あの時以来のベスト8へ、今、ガナーズの鼻息は荒い。
注目の選手は両チームのウインガー。今季のCLでゴール関与(ゴール+アシスト)が最も多い2人、ポルトのガレーノとアーセナルのサカだ。ガレーノ(4ゴール3アシスト)は相手のビルドアップを奪い去ったり、気づけばストライカーの位置に動いていたりと、その働きはまさに神出鬼没。対峙するホワイトや冨安健洋は90分を通して高い集中力が求められる。
CLで3ゴール4アシストを記録しているサカは、その対象を全公式戦に広げると今季15ゴール13アシスト。昨季の成績(15G11A)を抜いてキャリアハイ更新は目前で、この成長著しい22歳がCL決勝トーナメントでも変わらず躍動する姿に期待したい。
【ベスト16 1st leg 放送・配信スケジュール】
2月22日(水)
午前4:45 インテルvsアトレティコ・マドリード(解説:野口幸司 / 実況:横内洋樹)
午前4:45 PSVvsボルシア・ドルトムント(解説:宮澤ミシェル / 実況:柄沢晃弘)
※いずれも午前4:30より英語実況解説を配信開始(配信のみ)
2月23日(木)
午前4:45 ポルトvsアーセナル(解説:安永聡太郎 / 実況:田中大士)
午前4:45 ナポリvsバルセロナ(解説:風間八宏 / 実況:山田泰三)
※いずれも午前4:30より英語実況解説を配信開始(配信のみ)
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