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WBO世界S・ライト級タイトルマッチ テオフィモ・ロペス対ジャメイン・オルティス

王者の攻撃力か 挑戦者のスキルか
オッズは6対1 ロペス有利だが... 

 昨年6月、19戦全勝だったジョシュ・テイラー(33=イギリス)を破って2階級制覇を成し遂げたWBO世界S・ライト級王者のテオフィモ・ロペス(26=アメリカ)が、同級10位の技巧派、ジャメイン・オルティス(27=アメリカ)を迎えて初防衛戦に臨む。オッズは6対1で実績、知名度、攻撃力で勝るロペス有利と出ているが、「ザ・テクニシャン」のニックネームを持つ技巧派のオルティスが王者を空転させる可能性もある。

ロマチェンコに勝って事実上の4団体王座統一

 ロペスは2016年リオデジャネイロ五輪に両親の母国ホンジュラスの代表として出場したが1回戦で敗退。それを機に170戦150勝20敗のアマチュア戦績を残してプロ転向に踏み切った。
戦慄的なKOと派手なパフォーマンスで注目を集める存在になるのに時間はかからなかった。メイソン・メナード(アメリカ)、ディエゴ・マグダレノ(アメリカ)、エディス・タトリ(コソボ/フィンランド)、中谷正義(井岡⇒帝拳)ら実力者に連勝し、2019年12月にリチャード・コミー(ガーナ)を2回TKOで屠ってIBF世界ライト級王座を獲得。その勢いのまま10ヵ月後にはWBA、WBO、WBCフランチャイズ(特権)王座を持つワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と対戦し、12回判定勝ちで事実上の4団体統一王者となった。
 この勝利で一気にスターダムに駆け上がるかと思われたが、翌2021年11月にジョージ・カンボソス(オーストラリア)に12回判定負けを喫し、すべてのベルトを失った。天下は2年に満たなかったことになる。
 それを機にS・ライト級に転向して3連勝を収めているが、戴冠を果たしたテイラー戦も115対113(二者)、117対111と小差の勝利だった。コミー戦以降、ロペスらしい派手なKO勝ちから遠ざかっている印象が強い。戦績は20戦19勝(13KO)1敗。

アマチュア時代のリベンジを狙うオルティス

 オルティスもアマチュアで豊富な経験を積んだのちにプロに転向した選手だ。興味深いのは2015年の全米ゴールデングローブ大会S・フェザー級決勝でロペスに3対0で判定負けしている点だ。今回、プロの世界戦のリングでリベンジを果たそうとモチベーションは極めて高いものと思われる。
 同じアマチュアのトップ出身者だが、オルティスはロペスのような注目を集めることなくキャリアを積んできた。4回戦を6試合、6回戦を3試合、8回戦を6試合こなしたあと6年目に初10回戦というゆっくりした歩みだった。その初10回戦でNABF北米ライト級王座を獲得すると、3ヵ月後にはWBO世界S・フェザー級王座を失ったジャメル・ヘリング(アメリカ)の再起戦の相手に選ばれ、10回判定勝ち。その5ヵ月後、今度はロマチェンコと対戦するチャンスをつかみ、12回判定で敗れはしたものの元3階級制覇王者を苦しめて株を上げた。2022年はオルティスにとって躍進の年だったといえる。
 2023年9月、ルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)対ジョエト・ゴンザレス(アメリカ)のIBF世界フェザー級タイトルマッチの前座に出場し、S・ライト級10回戦で判定勝ちを収めている。今回が転級第2戦ということになる。戦績は19戦17勝(8KO)1敗1分。

ロペスが攻め切れるか それとも空転か

 ロマチェンコに判定勝ちを収めているロペスと判定負けのオルティス、さらにロペスが2階級制覇を成し遂げているのに対し世界初挑戦となるオルティス、と実績面でははっきりとした差がある。それが6対1というオッズに表れているといえる。オルティスが序盤からロペスの攻撃を受けて対応しきれないようだと中盤あたりでけりがつく可能性もある。逆に感情を表面に出し過ぎる傾向があるロペスの攻撃をオルティスが空転させるような展開になれば、微妙なラウンドが続くことになりそうだ。

<S・ライト級トップ戦線>

WBA         :ローランド・ロメロ(アメリカ)
WBA暫定:イスマエル・バロッソ(ベネズエラ)
WBC         :デビン・ヘイニー(アメリカ)
IBF            :スブリエル・マティアス(プエルトリコ)
WBO         :テオフィモ・ロペス(アメリカ)

 タイプの異なる個性的な世界王者が揃ってきた印象だ。WBAは一度、ローランド・ロメロ(28=アメリカ)を「休養王者」に格下げしたが、今年1月には再び正王者に戻し、代わりに消滅させたはずの「暫定王座」を復活させた。決定戦でオハラ・デービース(32=イギリス)に1回TKO勝ちを収めたイスマエル・バロッソ(41=ベネズエラ)がベルト保持者となっている。この団体の迷走は継続中といえそうだ。
 正王者に戻ったロメロは3月30日にイサック・クルス(25=メキシコ)の挑戦を受けることになっている。ジャーボンテイ・デービス(アメリカ)を苦しめたクルスが王座を奪う可能性は十分にある。
 WBC王者のデビン・ヘイニー(25=アメリカ)はレジス・プログレイス(35=アメリカ)を破って戴冠、ライト級に続いて2階級制覇を成し遂げた。パンチ力には欠けるが、相手にとっては崩しにくいタイプとあって長期政権を築く可能性がある。まずは4月20日に決まったライアン・ガルシア(25=アメリカ)との初防衛戦に集中したいところだ。両者はアマチュア時代にジュニアの大会で4戦2勝2敗と星を分けており、プロの大舞台で決着をつけることになる。
 IBF王者のスブリエル・マティアス(31=プエルトリコ)は21戦20勝(20KO)1敗の戦績が示すとおりのスラッガーで、初防衛戦で前評判の高かったショージャホン・エルガシェフ(32=ウズベキスタン)を6回終了TKOで退けて評価を上げた。ヘイニーやWBO王者のテオフィモ・ロペスとの頂上決戦を見てみたいと思わせる魅力的な選手だ。
 そのロペスは今回のジャメイン・オルティス戦をすんなりとクリアしたいところ。内容と結果でヘイニーやマティアスと比較されることは間違いないだけに圧勝がノルマといえる。
 ランカー陣では2016年リオデジャネイロ五輪ハイチ代表のリチャードソン・ヒッチンス(26=アメリカ)、返り咲きを目指す元2団体王者のホセ・ラミレス(31=アメリカ)、元4団体統一王者のジョシュ・テイラー、さらに29戦全勝(11KO)のアーノルド・バルボサ(32=アメリカ)ら力のある選手が控えている。

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◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆


エキサイトマッチ~世界プロボクシング WBO世界S・ライト級タイトルマッチ テオフィモ・ロペスvsジャメイン・オルティス
2/26(月)午後9:00 WOWOWライブWOD


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