WBC世界S・フェザー級タイトルマッチ オシャキー・フォスター対エイブラハム・ノバ
「WBC年間最高試合賞」フォスターのV2戦
初挑戦のノバを圧倒できるか
昨年2月に36戦全勝だったレイ・バルガス(メキシコ)に大差の12回判定勝ちを収め、空位になっていたWBC世界S・フェザー級王座を獲得したオシャキー・フォスター(30=アメリカ)の2度目の防衛戦。「スーパー」のニックネームを持つエイブラハム・ノバ(30=プエルトリコ/アメリカ)を相手に力の差を見せつけることができるか。
敵地で最終回逆転TKO勝ちし株を上げたフォスター
フォスターは8歳のときにボクシングを始め、アマチュアで100戦以上(勝敗数は不明)を経験後、19歳になる直前にプロに転向した。キャリア前半はS・フェザー級からS・ライト級超と幅広い体重で戦い、2度の敗北を喫した。2018年以降、S・フェザー級に定め、WBCシルバー王座やWBA中米王座を獲得、防衛するなどしてトップ戦線を駆け上がっていった。2年前にはサウスポーのムハマドフジャ・ヤクボフ(タジキスタン)に大差の12回判定勝ちを収め、WBCの指名挑戦権を獲得。11ヵ月後、バルガスに勝って戴冠を果たした。
この勝利だけでは新王者の評価を定めるまでには至らなかったが、昨年10月の初防衛戦がフォスターの知名度と評価を上げることになった。フォスターはメキシコに乗り込んで1位のエデュアルド・エルナンデス(メキシコ)と対戦したが、挑戦者のラフな攻撃に巻き込まれポイントでリードを許す苦しい展開だった。11回、フォスターは連打でKOチャンスをつかんだが、直後にエルナンデスの反撃に遭って自身がダウン寸前の窮地に陥るなど厳しい状況が続いた。11回が終わった時点での採点は挑戦者優勢だったが、最終回、フォスターが逆転を狙って猛攻するとエルナンデスは立て続けにダウン。最後は試合終了まで22秒を残してレフェリーがストップを命じた。見応え十分の劇的な最終回逆転TKO勝ちだった。
本来は構えを左右に変えながらスピードと切れのあるパンチで捌いていくタイプのフォスターが必要に迫られて打撃戦を展開、新境地を開いた試合と位置づけていいだろう。この試合は2023年の「WBC年間最高試合賞」にも選ばれている。直近の11連勝を含めた戦績は23戦21勝(12KO)2敗。
元世界王者を倒して再起2連勝のノバ
挑戦者のノバは全米選手権で優勝するなどアマチュアで活躍後、2016年4月に22歳でプロデビュー。以後、S・フェザー級のNABA北米王座を獲得するなどしてランキングを上げていった。2年前、五輪連続金メダリストでのちに世界王者になるロベイシ・ラミレス(キューバ)と初めてフェザー級の体重で対戦したが、5回に左ストレートを被弾してKO負け。22戦目にして初の敗北を喫した。昨年1月に再起し、半年後には元世界王者のジョナサン・ロメロ(コロンビア)に3回KO勝ちを収めている。
戦績は24戦23勝(16KO)1敗。ゆったりとしたフォームから右ストレート、左フック、右アッパーなど強打を叩きつけていくボクサーファイター型で、試合は常にエキサイティングだ。
オッズは8対1 番狂わせはあるか
フォスターが身長174㎝/リーチ183㎝、ノバが175㎝/183㎝と長身同士のカードだ。ラミレス戦を見るかぎりノバはサウスポーとの対戦に不慣れな印象があったことから、フォスターは左構えで戦うことを選択するのではないだろうか。前後左右への動きでも王者が勝ると思われるため、フォスターが主導権を握って試合を進めていく可能性が高い。ノバは相手の死角から振り出す左フックや右ストレートに活路を求めることになりそうだ。
先のエルナンデス戦がドラマチックだったこともありオッズは8対1の大差でフォスター有利と出ているが、総合力にそこまでの差は感じられない。フォスターの判定勝ちが順当な線だが、ノバが番狂わせを起こす可能性も十分にある。
<S・フェザー級トップ戦線の現状>
WBA:ラモント・ローチ(アメリカ)
WBC:オシャキー・フォスター(アメリカ)
IBF :ジョー・コルディナ(イギリス)
WBO:エマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)
3階級制覇のエマヌエル・ナバレッテ(29=メキシコ)、返り咲きを果たしたジョー・コルディナ(32=イギリス)と実績のある王者がいるが、WBA王者のラモント・ローチ(28=アメリカ)、WBC王者のオシャキー・フォスターを加え4選手とも昨年2月以降の戴冠で、まだこの階級での評価を定める段階ではないといえる。ナバレッテに至っては4階級制覇を狙ってライト級のWBO王座決定戦に出場するプランも浮上していると伝えられる。
WBC1位のムハマドフジャ・ヤクボフ(28=タジキスタン)は2年前にフォスターに大差の判定負けを喫しており、大舞台での雪辱を目指している。このほか実績のあるランカーとしては前IBF王者のシャフカッツ・ラヒモフ(29=タジキスタン)、元IBF王者の尾川堅一(36=帝拳)、3度の世界挑戦を経験しているロブソン・コンセイサン(35=ブラジル)らが控えている。
さらにフェザー級の元世界王者たち、オスカル・バルデス(33=メキシコ)、リー・ウッド(35=イギリス)、マーク・マグサヨ(28=フィリピン)もベルトを狙っている。WBC5位にランクされる力石政法(29=緑)も3月のマイケル・マグネシ(29=イタリア)戦をクリアすれば視界が大きく開けるはずだ。
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エキサイトマッチ~世界プロボクシング WBC世界S・フェザー級タイトルマッチ オシャキー・フォスターvsエイブラハム・ノバ
2/19(月)午後9:00
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