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IBF・WBO世界フライ級王座統一戦 ジェシー・ロドリゲス対サニー・エドワーズ

全勝の米英王者対決
ロドリゲスに攻撃力のアドバンテージ

 2階級制覇を成し遂げているWBO世界フライ級王者のジェシー・ロドリゲス(23=アメリカ)と、「Showtime」のニックネームを持つIBF王者、サニー・エドワーズ(27=イギリス)が互いの王座をかけて対戦する。全勝同士の米英対決のオッズは15対8、攻撃力で勝るロドリゲス有利と出ている。

体重を落として2階級制覇を成し遂げたロドリゲス

 ジェシー・ジェームス・ロドリゲス・フランコがフルネームのロドリゲスはアマチュアを経て2017年3月、17歳のときに47.6㎏のミニマム級でプロデビュー。4戦目にはフェザー級オーバー(57.4㎏)の体重で戦ったこともあるが、その後はL・フライ級~S・フライ級で戦いながらキャリアを積んでいった。
 思いがけずに大きなチャンスが舞い込んだのは2022年2月のことだった。WBC世界S・フライ級王座決定戦でカルロス・クアドラス(メキシコ)と対戦予定だったシーサケット・ソールンビサイ(タイ)が新型コロナウィルスの影響でリングに上がることができなくなり、前座のフライ級10回戦に出場予定だったロドリゲスに代役として声がかかったのだ。「イエス」の返事をして予定よりも1.3㎏増量した22歳のサウスポーは元王者のクアドラスを翻弄。3回には相手の死角に移動して右アッパーを突き上げて技ありのダウンを奪い、そのまま明白な12回判定勝ちを収めた。
 初防衛戦では元王者のシーサケットを圧倒して8回TKOで一蹴。3ヵ月後のV2戦ではイスラエル・ゴンサレス(メキシコ)に判定まで粘られたが問題なく防衛を果たした。
 これと前後して中谷潤人(MT)がWBO世界フライ級王座を返上。ロドリゲスはS・フライ級王座を返上し、中谷と入れ替わるようにしてベスト体重ともいえるフライ級に転向した。そして2023年4月、決定戦でクリスチャン・ゴンサレス(メキシコ)に12回判定勝ちを収め、現在の王座を手に入れたわけだ。
 戦績は18戦全勝(12KO)。積極的に相手との距離を詰めに行き、左ストレートや左右フック、アッパーを顔面とボディに打ち分ける。巧さと強さを併せ持った選手といえる。元世界王者のロベルト・ガルシア・トレーナーに師事している。兄のジョシュア・フランコは来日経験もある元WBA世界S・フライ級王者だ。

ベテラン王者ムザラネを攻略したエドワーズ

 エドワーズもアマチュアを経て2016年9月にプロデビュー。こちらもルーキー時代はフライ級~S・バンタム級の体重で戦うことが多かった。2021年4月、IBF世界フライ級王者のモルティ・ムザラネ(南アフリカ)に挑んだときもランキングはIBFのS・フライ級6位だった。この試合、勝機は少ないと見られたエドワーズだが、前後左右への動きでベテラン王者の圧力をかわし切り番狂わせの12回判定勝ちで戴冠を果たした。兄でWBCのフライ級王者だったチャーリー・エドワーズに遅れること2年4ヵ月、兄弟世界王者の偉業を成し遂げたわけだ。
 初防衛戦と2度目の防衛戦はUAEアラブ首長国連邦で行い、V3戦とV4戦は自国イギリス開催で、4度とも3対0の12回判定勝ちを収めている。
 20戦全勝(4KO)の戦績が示すとおりパンチ力には欠けるが、構えを左右にスイッチしながら動くため的を絞りにくい戦闘スタイルといえる。派手さはないが、相手の打ち終わりを突くスキルもあるため攻略の難しい王者だ。

オッズは15対8でWBO王者有利

 サウスポーのロドリゲスがプレッシャーをかけながら追い、エドワーズが構えを左右に変えながら前後左右に動く展開が予想される。15対8のオッズで有利と見られているロドリゲスは大きく勝る攻撃力を生かしてダメージを与えていきたいところだが、深入りし過ぎて空回りすることは避けたい。ボディブローを交えながら徐々にIBF王者の体力を削ぎ落し、そのうえでチャンス時に一気に攻勢に出たいところだ。
 エドワーズはWBO王者の打ち終わりを狙ってポイントを稼ぎたい。初のアメリカでジャッジに優勢をアピールするためには正確な迎撃が要求されることになりそうだ。

<フライ級トップ戦線>

※2023年12月15日時点

WBA:アルテム・ダラキアン(アゼルバイジャン/ウクライナ)
WBC:フリオ・セサール・マルチネス(メキシコ)
IBF   :サニー・エドワーズ(イギリス)
WBO:ジェシー・ロドリゲス(アメリカ)

 WBOを除く3団体が2年半以上の長期政権となっている。ただ、陣営同士が牽制することはあっても統一戦の話が進むことはないまま現在に至る。そんなところに参入してきたのが若くて才能豊かなジェシー・ロドリゲスだ。このサウスポーは2023年4月に決定戦を経て中谷潤人(MT)の後継王者になると、さっそくIBF王者のサニー・エドワーズとの交渉をまとめ、早々と頂上決戦が決定した。勝者がこの階級の主役になる。
 ランキングを見渡すと元WBA世界L・フライ級王者の京口紘人(30=ワタナベ)、OPBF東洋太平洋王者の桑原拓(28=大橋)、WBO1位の加納陸(26=大成)、WBOアジアパシフィック王者の畑中建人(25=畑中)ら日本人選手が目立つ。
 新しいところでは2016年リオデジャネイロ五輪出場のガラル・ヤファイ(31=イギリス)、19戦全勝(13KO)のデイブ・アポリナリオ(25=フィリピン)、そして寺地拳四朗(BMB)に善戦したアンソニー・オラスクアガ(25=帝拳)らがいる。

WBA世界S・バンタム級挑戦者決定戦
ムロジョン・アフマダリエフ対ケビン・ゴンサレス

五輪銅の元王者 vs 無敗の26歳
サウスポー対決は5対1で「MJ」有利

 元WBA世界S・バンタム級王者で現在は1位にランクされているムロジョン・アフマダリエフ(29=ウズベキスタン)が、2位のケビン・ゴンサレス(26=メキシコ)と対戦。勝者は同級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)に対するWBAの指名挑戦権をゲットすることになる。オッズは5対1、通称「MJ」、アフマダリエフ有利と出ている。
 2015年世界選手権準優勝者にして2016年リオデジャネイロ五輪バンタム級銅メダリストでもあるアフマダリエフは、2020年1月にプロ8戦目でダニエル・ローマン(アメリカ)からWBA・IBF王座を奪取。初防衛戦ではIBF暫定王者の岩佐亮佑(セレス)を5回TKOで退け、さらに2度の防衛を重ねた。多くのファンや関係者がこのまま2団体王者として井上尚弥の転級を待ち受けるものと思っていたが、2023年4月、マーロン・タパレス(フィリピン)にまさかの判定負けを喫し王座陥落。再出発を強いられることとなった。
 12戦11勝(8KO)1敗のサウスポーで、強引に圧力をかけて攻め落とすパターンも持っているが、丁寧にテクニックでやり取りすることもできる。タパレス戦では試合後に故障していたことを明かしたが、慎重に戦ったことが裏目に出たようだ。
 ゴンサレスは2016年6月にプロデビュー。世界挑戦経験者のヘスス・イリベ(メキシコ)やイバン・モラレス(メキシコ)らを破って頭角を現し、2021年7月にWBA世界S・バンタム級7位にランクされていたアレクサンデル・メヒア(ニカラグア)に7回TKO勝ちを収めてWBA米大陸王座を獲得。その後、ジャーメル・チャーロ(アメリカ)対ブライアン・カスターニョ(アルゼンチン)のS・ウェルター級4団体王座統一戦の前座と、デビッド・ベナビデス(アメリカ)対ケイレブ・プラント(アメリカ)のWBC暫定世界S・ミドル級タイトルマッチの前座に出場して、それぞれ10回判定勝ちを収めている。
 戦績は27戦26勝(13KO)1分。「Chacal(チャカル=ジャッカル)」のニックネームを持つサウスポーで、スピード、パワー、テクニックなど戦うために必要な戦力はバランスよく備えているが、飛び抜けたものはない。
 サウスポー同士の組み合わせだが、技術力で勝るアフマダリエフが右ジャブの差し合いで勝った場合、ラウンドを重ねるごとに上下のコンビネーションでゴンサレスにダメージを植えつけていく可能性が高い。

【番組オフィシャルサイト】
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