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4団体世界S・バンタム級王座統一戦 井上尚弥対マーロン・タパレス

「モンスター(怪物)」 vs 「ナイトメア(悪夢)」

 4階級制覇を成し遂げているWBC・WBO世界S・バンタム級王者の井上尚弥(30=大橋)が、バンタム級に続く4団体王座統一を狙ってWBA・IBF王者のマーロン・タパレス(31=フィリピン)と拳を交える。オンラインカジノOddschecker.comの戦前のオッズは12対1。圧倒的に井上有利と出ている。

フルトン戦後のリング上で統一戦を約束

 井上は2023年7月25日、有明アリーナでスティーブン・フルトン(アメリカ)を8回TKOで斬って落として2団体王座を獲得し、同時に4階級制覇を果たした。大柄でスピードとスキルのあるフルトンは井上にとって過去最強の相手と思われたが、蓋を開けてみれば井上がすべての面で2団体王者を凌駕。一方的に試合を支配したあと8回に右ストレートから左フックをフォローしてダウンを奪い、再開後に連打で詰めるという完勝だった。
 井上とファンが歓喜するなかでWBAとIBFのベルトを携えてリングに上がったのがタパレスだった。「自分がチャンピオンであることを証明するために戦いましょう」とタパレスが対戦を要求すれば、井上も「年内に戦いましょう」と応じ、両王者は拳を突き合わせた。その約束が果たされるわけだ。
 約48.9キロ以下のL・フライ級に始まりフライ級を飛ばしてS・フライ級(約52.1キロ以下)、バンタム級(約53.5キロ以下)、そしてS・バンタム級(約55.3キロ以下)までクラスを上げてきた井上だが、先のフルトン戦は体格差をものともせずに8回で仕留めており、まったく階級の壁を感じさせていない。

2階級制覇王者のタパレス 井上家との因縁

 「Nightmare(ナイトメア=悪夢)」というニックネームを持つタパレスは16歳でプロデビューし、フィリピンの国内王座やWBOアジアパシフィック王座を獲得するなどしてトップ戦線に参入。2016年7月、プンルアン・ソー・シンユー(タイ)とのダウン応酬の激闘を11回KOで制してWBO世界バンタム級王者になった。
 このあとタパレスは初防衛戦で井上拓真(大橋)の挑戦を受けることが決まったが、発表当日に井上拓真がジムワークで拳を骨折したためキャンセルになっている。井上家とは浅からぬ因縁があるのだ。
 井上拓真との試合が中止になったあと、タパレスは大森将平(ウォズ)との初防衛戦のために来日。しかし、体重をつくれず計量で失格、王座を失った(試合では11回TKO勝ち)。
 これを機にS・バンタム級に上げたが、2019年12月のIBF暫定王座決定戦で岩佐亮佑(セレス)に11回TKO負け。またも日本人との試合で株を落としたが、2021年12月には勅使河原弘晶(三迫)に2回KO勝ちを収めて地力があるところを見せつけた。これでIBFの指名挑戦権を手にしたタパレスはムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)に挑み、4対1という不利のオッズをひっくり返して僅差の12回判定勝ちを収めWBA・IBF世界S・バンタム級王者となった。

総合力で大きく勝る井上 タパレスのパワーには要注意

 両者の戦力を比較した限りでは井上に死角は見当たらない。スピード、テクニック、戦術、スタミナ、耐久力など多くの面でタパレスを上回っているとみていいだろう。不安材料は限りなくゼロに近い。ただ、サウスポーのタパレスはKO率(約48パーセント)以上にパワーがあるだけに、その点には注意が必要だろう。

<TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表>

井上尚弥 名前 タパレス
1993年4月10日/30歳 生年月日/年齢 1992年3月23日/31歳
座間市(日本・神奈川県) 出身地 フィリピン
11年世界選手権出場 アマチュア実績  
81戦75勝(48KO)6敗 アマチュア戦績  50戦以上(勝敗不明)
2012年10月 プロデビュー 2008年7月
25戦全勝(22KO) 戦績  40戦37勝(19KO)3敗
88% KO率  48%
20戦全勝(18KO) 世界戦の戦績  4戦3勝(2KO)1敗
※自身の計量失格試合を含む
165cm/170cm 身長/リーチ 163㎝/165㎝
右ボクサーファイター型 戦闘スタイル 左ボクサーファイター型
「モンスター」 ニックネーム 「ナイトメア(悪夢)」


<S・バンタム級トップ戦線の現状>

※2023年12月25日時点

WBA:マーロン・タパレス(フィリピン)
WBC:井上尚弥(大橋)
IBF   :マーロン・タパレス(フィリピン)
WBO:井上尚弥(大橋)

 S・バンタム級転向初戦で階級最強とみられたスティーブン・フルトン(アメリカ=29)に8回TKOで完勝したことで、早くも井上尚弥が頭三つほど抜き出た存在となっている。減量や当日のリカバリーなど体重に関する調整に多少の時間を要する可能性はあるが、遠からず完全にフィットさせてくるものと思われる。
 WBAとIBFの王座を持つマーロン・タパレスは2023年4月に番狂わせでムロジョン・アフマダリエフ(29=ウズベキスタン)に勝って2階級制覇を成し遂げたが、井上との力量差は明白だ。ただ、サウスポーの強打者という点は無視できない。
 ランキングを見渡すとWBCの指名挑戦権を持つルイス・ネリ(29=メキシコ)、WBAの指名挑戦者になっているアフマダリエフ、IBFとWBOで1位にランクされるサム・グッドマン(25=オーストラリア)、ジョンリエル・カシメロ(34=フィリピン)の4人が井上から大きく離れて第2グループを形成している。以前、井上自身はネリ、アフマダリエフ、カシメロを近い将来の対戦候補として挙げていたが、カシメロは前哨戦ともいえる小國以載(35=角海老宝石)で4回負傷引き分けに終わったことで大きく後退。こうしたなかネリ、アフマダリエフが王座統一後の有力候補として浮上している。
 このほか元王者のTJドヘニー(37=アイルランド)、ライース・アリーム(33=アメリカ)らも井上との対戦希望を表明している。

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