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WBO世界フェザー級タイトルマッチ ロベイシ・ラミレス対ラファエル・エスピノサ

キューバの至宝 ラミレスのV2戦
挑戦者は185センチの長身強打者

 2023年7月に来日して清水聡(大橋)に5回TKO勝ちを収めてWBO世界フェザー級王座の初防衛を果たしたロベイシ・ラミレス(29=キューバ)が、同級10位にランクされるラファエル・エスピノサ(29=メキシコ)の挑戦を受ける。アマチュア時代には2度の五輪金メダル獲得という偉業を成し遂げたサウスポーのラミレスと、185㎝の長身で21戦全勝(18KO)の戦績を残しているエスピノサ。興味深い組み合わせだ。

五輪連覇 プロでも頂点を極めたラミレス

 キューバ出身のラミレスは五輪でロンドン大会(フライ級)、リオデジャネイロ大会(バンタム級)連覇のほか2010年世界ユース選手権&ユース五輪優勝、2013年パンナム大会、2014年中米カリブ大会優勝、さらにキューバ選手権5度制覇など輝かしいアマチュア実績を残してプロに転向した。しかし、デビュー戦でダウンを喫したすえ4回判定負けという屈辱を味わった。プロモート契約したトップランク社の落胆も大きかったはずだ。3連続KO勝ちでプロの水に慣れた5戦目、デビュー戦の相手に6回判定勝ちを収めて雪辱。
 それを機に比較的ハードなマッチメークが施されることになった。2021年にフェザー級のNABF北米ジュニア王座を獲得すると、2022年にはエイブラハム・ノバ(アメリカ)との世界ランカー対決が組まれたが、この難敵に左一発で5回KO勝ちを収めUSBA米国王座とWBOグローバル王座を獲得した。
 2023年4月、アイザック・ドグボエ(ガーナ/イギリス)とのWBO世界フェザー級王座決定戦では毎回のようにポイントを重ねたすえ最終回にダメ押しのダウンを奪って大差の12回判定勝ちを収めた。そして清水を5回TKOで退けて初防衛を果たしたというわけだ。
 プロ戦績は14戦13勝(8KO)1敗。フェザー級では身長168㎝と小柄な部類に入るが、その体を少し前傾にして前進し、フェイントを多用しながら左ストレート、左右フックを顔面とボディに打ち分けることが多い。チャンスをつかんでから回転の速い連打でレフェリー・ストップに持ち込むパターンが多いが、ノバ戦のように一発で仕留めるパンチも持っている。

チャーロ級の身長、リーチを持つエスピノサ

 エスピノサは18歳でプロデビューしてから10年半、21戦全勝(18KO)というみごとな戦績を残している。この間、4戦目に初めてアメリカのリングに上がり5回TKO勝ちを収めている。今回が3度目のアメリカ登場となる。まだ世界的な強豪との手合わせは皆無といえるが、2016年には元WBC米大陸王者のフアン・ホセ・フランシスコ(メキシコ)に1回KO勝ち。2022年2月には元WBOオリエンタル王者のアリエ・ローレル(フィリピン)にも1回KO勝ちを収めている。
 エスピノサの特徴はなんといっても185㎝の長身にある。リーチも188㎝と伝えられる。これは元IBF世界S・ミドル級王者のケイレブ・プラント(アメリカ=185㎝/188㎝)、WBC世界ミドル級王者のジャモール・チャーロ(アメリカ=185㎝/187㎝)に匹敵する数字だ。
 大柄だからかスピードは平均の域を出ないが、相手を遠ざけるように放つ左ジャブは厄介だ。それを掻い潜って接近戦を挑もうとすると上から右ストレート、下から左右アッパー、さらに左ボディブローも飛んでくる。メキシコ人ボクサーのなかにはサウスポーを不得手とする選手が少なくないが、エスピノサは2020年以降の7戦のうち直近の試合を含めサウスポーと4度戦って全勝(3KO)を収めており苦手意識はないとみてよさそうだ。

ラミレスのKO防衛が濃厚

 アマチュア実績を含め経験値で大きく勝り、現有戦力でも上回っているラミレスが圧倒的有利であることは間違いない。フェイントで揺さぶりながら距離を詰め、ボディブローを中心にした攻撃で攻め落としてしまう可能性が高い。
 エスピノサは長い左ジャブで牽制し、王者が入ってくるタイミングに合わせて左右のアッパーを突き上げたいところだ。前半でダメージを与えることができれば大番狂わせも考えられるが、試合ごとに勢いを増しているラミレスに勝つのは容易ではないだろう。

<フェザー級トップ戦線の現状>

WBA  :空位
WBC  :レイ・バルガス(メキシコ)
WBC暫定:ブランドン・フィゲロア(アメリカ)
IBF     :ルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)
WBO  :ロベイシ・ラミレス(キューバ)

 現時点では絶対的な存在がいないためトップ戦線は混戦状態といえる。WBA王座はリー・ウッド(35=イギリス)が返上して空位になっており、1位のオタベク・コルマトフ(25=ウズベキスタン)と2位のレイモンド・フォード(24=アメリカ)で決定戦が行われる予定だ。すでに興行権入札が行われ、両者の合計報酬として31万7,500ドル(約4,670万円)を提示したトップランク社が開催権を獲得している。11戦全勝(10KO)のコルマトフ、15戦14勝(7KO)1分のフォードの無敗対決は2月か3月の開催が有力視されている。
 WBCは正王者のレイ・バルガス(33=メキシコ)と暫定王者のブランドン・フィゲロア(26=アメリカ)に団体内統一戦を課している。勝者はニック・ボール(26=イギリス)の挑戦を受けることになる。
 IBF王者のルイス・アルベルト・ロペス(30=メキシコ)はイギリスで戴冠を果たし、同地で初防衛に成功。2023年9月にはアメリカでV2を成し遂げている。次戦は指名試合になりそうで、阿部麗也(30=KG大和)の挑戦を受けることが濃厚だ。
 WBO王者のロベイシ・ラミレス(29=キューバ)はラファエル・エスピノサ(29=メキシコ)の挑戦を退けることができるか。これをクリアすれば他団体王者との統一戦のプランも出てきそうだ。
 王者経験者のなかでは元WBA王者のマウリシオ・ララ(25=メキシコ)、S・バンタム級から上げてきたスティーブン・フルトン(29=アメリカ)の動きに注目したい。特にWBA7位、IBF9位、WBO3位にランクされているフルトンは体も大きく、2階級制覇を成し遂げる力は十分にある。このほか亀田和毅(32=TMK)に競り勝ったレラト・ドラミニ(29=南アフリカ)、惜敗した亀田、さらに堤駿斗(24=志成)、松本圭佑(24=大橋)らにもチャンスがありそうだ。

【番組オフィシャルサイト】
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【エキサイトマッチ公式Twitter】
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Naoki Fukuda

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