WOWOWで放送・配信中のUEFAチャンピオンズリーグ2023-24。グループステージはMatchday 6を迎え、ついに決勝トーナメント進出の全16クラブが出揃う。首位決戦、名門敗退の危機、1枠を争う三つ巴の争い――。すべてが決まる一戦を前に、注目のグループを振り返り&展望する。

グループA：マンチェスター・Uは自力突破消滅。吉報を待ちつつ強敵と戦う

　悩める名門が窮地に追い込まれている。バイエルンとの初戦で破れ黒星スタートとなったマンチェスター・ユナイテッドは、その後ホームのガラタサライ戦も逆転で落とした。Matchday 3で今大会初勝利を挙げるも、続くコペンハーゲンとの再戦では終盤に2失点を許し、またも逆転負け。勝てば決勝T進出へ優位に立つ前節もまた、ガラタサライに2点をリードするも、追いつかれて引き分けに終わった。
　驚くべきは最下位ながら、グループ内で最も得点を取っている(12得点)こと。3得点を挙げながら勝利を逃した試合が3つもあり、これが守備の不安定さを物語っている。1試合を残してグループ最下位、まさに背水の陣だ。

Matchday 6
マンチェスター・ユナイテッド vs バイエルン・ミュンヘン
コペンハーゲン vs ガラタサライ

　ユナイテッドは一縷の望みにかけて最終節を戦うことになる。グループステージ突破条件はこの試合に勝ったうえで、もう片方の試合が引き分けに終わること。他力頼みなうえ、倒すべきは難敵バイエルンとこれ以上ない高難度のミッションだ。5試合14失点と崩壊気味の守備を締め直し、ホームで勝利して吉報を待つのみだ。首位通過が決まっているバイエルンは、セカンドチーム所属のU-22日本代表MF・福井太智がメンバー入りを果たすのかにも期待したい。
　コペンハーゲンとガラタサライは互いに勝利すれば無条件で決勝Tに進出できる。勝ち上がれば前者は2010-11シーズン、後者は2013-14シーズン以来の快挙だ。ジイェシュ、メルテンス、ザハ、イカルディとメガクラブ顔負けのタレントを並べるガラタサライに対し、コペンハーゲンは勝負所で決定機を防いできたGKグラバラが無失点で抑えられるか。Matchday 6はどちらの試合も最後まで目が離せない。

グループD：勝ち点並ぶR・ソシエダとインテルが首位通過をかけた直接対決

　Matchday 4終了時点でトップ2が確定したグループDは今節、直接対決でその順位を決めることになる。レアル・ソシエダとインテルは初戦で対戦し1-1のドロー。ブライス・メンデスが早々に先制すると、試合終盤にインテルが同点に追いつくスリリングな展開だった。
　その後両者3連勝で早々に決勝トーナメント進出を決めて迎えた前節、R・ソシエダはザルツブルクに、インテルはベンフィカにそれぞれ引き分け、ポイントで上回るチャンスを逃す。インテルは前半だけでジョアン・マリオにハットトリックを許す劣勢だったが、後半に追いつきドロー決着。先発メンバーを大幅に入れ替えながらも、価値ある1ポイントを手にした。

Matchday 6
インテル vs レアル・ソシエダ
ザルツブルク vs ベンフィカ

　昨季あと一歩のところでビッグイヤーを逃したインテルと、20シーズンぶりにCL決勝トーナメントに挑むR・ソシエダ。ベスト16の組み合わせに影響するため、この直接対決が重要な意味を持つことは言うまでもない。引き分け以上という首位通過条件をもつR・ソシエダがやや優位にあるか。
　そうなると久保建英のCL初ゴールに期待が集まるのは自然なことだ。ここまで掛け値なしに主役級の働きを見せているが、未だネットは揺らせず。前節も終盤に完璧な軌道を描くフリーキックを蹴ったが、相手GKのファインセーブに阻まれた。対峙するであろうディマルコ、アチェルビのラインを崩し、待望のゴールを挙げることはできるのか。必見のマッチアップだ。
　パヴァールらが離脱中のインテルDF陣は、先日のリーグ戦でデ・フライも負傷交代。苦しい陣容の中で大一番を戦う。

グループE：日本人所属クラブはラツィオのみ決勝T進出。A・マドリードと首位決戦へ

　決勝トーナメント進出クラブは、アトレティコ・マドリードとラツィオの2クラブに決定した。A・マドリードは最初の3試合を1勝2分と苦しむも、Matchday 4でセルティックに6-0と大勝すると、前節は2つのオウンゴールもあって敵地でフェイエノールトに勝利。現在勝ち点11でグループ首位につけている。
　初戦で90+5分に同点弾、Matchday 2も90+5分に逆転弾と序盤は劇的な試合を演じたラツィオ。開幕期の不振で矢面に立たされたインモービレが、後半戦はチームの全得点を叩き出す活躍で復活し、チームも勝利を積み上げた。A・マドリードと1ポイント差の2位で今節、直接対決を迎える。

Matchday 6
アトレティコ・マドリード vs ラツィオ
セルティック vs フェイエノールト

　スタディオ・オリンピコで行われたMatchday 1の対戦では、GKプロヴェデルのヘディング弾でラツィオが引き分けに持ち込んだカード。本人が語った「一生忘れられない夜」は、CLにおいて明らかにチームに活気を与えた。守護神としてもここ2試合はクリーンシート。実力者揃いのA・マドリード攻撃陣を0に抑えられれば、大きな自信になるはずだ。
　鎌田大地の出場が気になるところだが、最近はロヴェッラ、ゲントゥージ、ルイス･アルベルトの3人が中盤の主軸に。出場機会をモノにしてポジションを掴みたい。
　A・マドリードは引き分け以上でグループ首位通過が決まる有利な状況。今季ホームでは公式戦全勝という圧倒的強さを誇るだけに、ラツィオ戦も手堅く戦えば勝利は必至だろう。
　フェイエノールトの3位、セルティックの4位は確定したものの、こちらの対戦は日本人ストライカー対決という意味でも必見。上田綺世がCL初ゴールを挙げるのか、古橋亨梧がセルティックを今季CL初勝利に導くのか、世界で戦う点取り屋の競演に注目だ。

グループF："死の組" 残り1枠は三つ巴。混戦模様の最後にドラマの予感

　欧州全土の注目を浴びた "死の組" がついに決着する。いち早く勝ち抜けを決めたのはボルシア・ドルトムント。グループ内で唯一黒星スタートを切ったがMatchday 3以降、怒涛の3連勝で混戦を抜け出した。そして決勝トーナメント進出残り1枠を、3クラブで争う構図となる。
　次点のパリ・サンジェルマンは、敵地ニューカッスル戦・ミラン戦に敗れ、ニューカッスルとのリターンマッチでも90+8分のエンバぺのPKで辛うじて引き分けと波に乗れず。PSGを2ポイント差で追うニューカッスルとミランは、そのPSGから挙げた1勝以外に勝利がなく、ボトムハーフで足踏みを続けている。グループFは期待を裏切らないデッドヒート。来る最終節で何事も起こらないわけがない。

Matchday 6
ボルシア・ドルトムント vs パリ・サンジェルマン
ニューカッスル vs ミラン

　ドルトムントはGS突破が決まったとはいえ、まだ首位が確定したわけではない。PSGに敗れると順位が入れ替わるため、ただの「消化試合」というわけではないのだ。唯一自力突破の可能性を残すのがPSGであるため、何にせよこちらのカードがグループFの行く末を握っている。
　PSGにとって気がかりなのはGKドンナルンマのパフォーマンス。ビルドアップやシュートストップに不安を残し、先日のリーグ戦ではルーズボールの処理を誤って退場に追い込まれた。クラブにとって大きな分岐点となるドルトムント戦で、本来の姿を取り戻したいところだ。
　ニューカッスルの懸念材料もGKだ。ポープが肩の脱臼で負傷しており、離脱後のリーグ戦2試合では計7失点を喫している。Matchday 6で起用濃厚のドゥーブラウカは、今季はまだ公式戦4試合しか出場がなく、CLでは出場なし。再三窮地を救ってきた守護神ポープの不在がどう響くのか。決勝T進出条件は対戦相手のミランと同様、この試合に勝利したうえでPSGの結果に委ねる厳しい状況だ。