WBA世界ヘビー級タイトルマッチ クブラト・プーレフ対ムラト・ガシエフ
44歳の「コブラ」 vs 「ロシアの鉄人」
オッズは3対1 挑戦者ガシエフ有利
2024年12月に43歳7ヵ月でWBA世界ヘビー級王座を獲得したクブラト・プーレフ(ブルガリア=44)が、2階級制覇を狙う元WBA、IBF世界クルーザー級王者、現WBA世界ヘビー級12位のムラト・ガシエフ(32=ロシア)を相手に初防衛戦に臨む。「コブラ」というニックネームを持つ44歳の王者、「鉄人」と呼ばれるガシエフ。KO決着が期待されるカードだ。
3度目の挑戦を実らせて王座を獲得したプーレフ
プーレフは銅メダルを獲得した2005年大会をはじめ5度の世界選手権出場、2008年北京オリンピック出場など華々しいアマチュア実績を残し、2009年9月に28歳でプロ転向を果たした。のちに世界挑戦するアレクサンデル・ウスティノフ(ロシア)、世界挑戦経験者のトニー・トンプソン(アメリカ)らを下してIBF1位に上昇し、2014年にはウラディミール・クリチコ(ウクライナ)の持つWBA、IBF、WBOに挑戦。しかし、IBF王座を16度防衛していたクリチコの壁は高く、4度のダウンを喫して5回KO負けに終わった。再起8連勝後の2020年12月にはアンソニー・ジョシュア(イギリス)の持つWBA、IBF、WBO王座に挑んだが、またも4度のカウントを聞かされて9回KOに散った。その後、2022年7月にディレック・チゾラ(ジンバブエ/イギリス)に惜敗したものの2024年12月にはマームド・チャー(シリア/ドイツ)に12回判定勝ちを収めて現在の王座を手に入れた。スーパー王者に認定されているオレクサンデル・ウシク(ウクライナ)がいるため影が薄いことは否めないが、40代半ばでベルトを保持している点は一定の評価に値するといえよう。戦績は35戦32勝(14KO)3敗。
15kg増量してヘビー級に転向したガシエフ
ガシエフは15歳でボクシングを始め、アマチュアを経て2011年9月に17歳でプロデビューした。クルーザー級のWBCユース王座やIBFインターコンチネンタル王座などを獲得してランクを上げ、2016年12月にデニス・レべデフ(ロシア)を攻略してIBF王者になった。この王座はWBA王座獲得を含め2度防衛したが、WBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)決勝でウシクに完敗。このあと2年3ヵ月のブランクの間に15kg増量してヘビー級でカムバック。その最重量級では2023年9月にオット・ワリン(スウェーデン)に惜敗しただけで、ほかの6試合はすべてKO(TKO)勝ちを収めている。戦績は35戦32勝(25KO)2敗1無効試合。
距離をキープしたい王者 接近戦に持ち込みたい挑戦者
体格では身長194cm/リーチ202cmのプーレフが、189cm/193cmのガシエフを上回っているが、KO率は40パーセントの王者に対し挑戦者が71パーセントと大きく勝っている。これは両者の戦闘スタイルの違いに由来するため考えていいだろう。アマチュア経験豊富なプーレフは自分の距離をキープしながらテンポよく左ジャブを繰り出して相手をコントロール。そのうえで機を見て右ストレートを放つボクシングをする。対してガシエフは前に出ながら距離を詰めてパワフルな左右を顔面、ボディに打ち分ける攻撃型だ。そんな両者の戦いだけに序盤から距離を巡る攻防が展開されるものと思われる。プーレフの左ジャブが機能するようならば王者ペース、それを掻い潜って中近距離の戦いに持ち込めばガシエフのペースといえる。最重量級だけに序盤から目の離せない展開になりそうだ。オッズは左フックという切り札を持つガシエフが3対1で有利と出ている。
<主な高齢の現役トップ選手>
マニー・パッキャオ 47歳
クブラト・プーレフ 44歳
ノニト・ドネア 43歳
バドゥ・ジャック 42歳
エリスランディ・ララ 42歳
アルツール・ベテルビエフ 41歳(1月21日が誕生日)
オレクサンデル・ウシク 39歳(1月17日が誕生日)
<高齢での世界王座獲得記録>
| 1 | バーナード・ホプキンス | 48歳1ヵ月 | ライト・ヘビー級 |
| 2 | 〃 | 46歳4ヵ月 | ライト・ヘビー級 |
| 3 | ジョージ・フォアマン | 45歳9ヵ月 | ヘビー級 |
| 4 | クブラト・プーレフ | 43歳7ヵ月 | ヘビー級 |
| 5 | ノニト・ドネア | 42歳6ヵ月 | バンタム級 ※暫定 |
| 6 | バージル・ヒル | 42歳0ヵ月 | クルーザー級 |
| 7 | スラニ・マリンガ | 42歳0ヵ月 | スーパー・ミドル級 |
<ヘビー級トップ戦線の現状>
WBA S:オレクサンデル・ウシク(ウクライナ)
:クブラト・プーレフ(ブルガリア)
WBC :オレクサンデル・ウシク(ウクライナ)
暫定 :アギト・カバヤル(ドイツ)
IBF :オレクサンデル・ウシク(ウクライナ)
WBO :ファビオ・ウォードリー(イギリス)
1月17日に39歳の誕生日を迎えたオレクサンデル・ウシク(ウクライナ)が文句なしの主役だが、2021年9月に戴冠を果たしたあとの活動は4年間に5試合というスローペースになっている。そんな状況下、各団体は活性化を図るためもあってかクブラト・プーレフ(44=ブルガリア)、アギト・カバヤル(33=ドイツ)、ファビオ・ウォードリー(31=イギリス)らを世界王者として承認している。
階級の枠を超えた最強ランキング「パウンド・フォー・パウンド」の最上位にランクされることもあるウシクには、元WBC王者のデオンテイ・ワイルダー(40=アメリカ)との対戦プランが持ち上がっている。49戦44勝(43KO)4敗1分のワイルダーは戦績が示すとおりのスラッガーだが、2020年以降の6戦だけをみると2勝(2KO)4敗と振るわず、この間に計6度のダウンを喫しているように打たれ脆さが目立つ。話題性のあるカードではあるが、せめて3年早く実現してほしかったというのが多くのファンの感想ではなかろうか。ウシクにとってリスクは高くリターンの少ない試合といえるかもしれない。動向を見守りたい。
ワイルダーだけではない。引退後も戦線復帰の噂が絶えないタイソン・フューリー(イギリス)、YouTuberのジェイク・ポール(28=アメリカ)の顎の骨を砕いて6回KO勝ちを収めたアンソニー・ジョシュア(36=イギリス)、ウォードリーに11回TKOで敗れWBO暫定王座を失ったジョセフ・パーカー(33=ニュージーランド)、カバヤルに6回逆転KO負けを喫したツァン・チレイ(42=中国)など話題性の多い戦士はいるが、いずれもすでに旬は過ぎているといえよう。
五輪連覇を果たしている16戦全勝(14KO)の大型サウスポー、バホディル・ジャロロフ(31=ウズベキスタン)、WBAとWBOで1位にランクされる13戦全勝(11KO)のモーゼス・イタウマ(21=イギリス)、14戦全勝(12KO)のリチャード・トーレス(26=アメリカ)らホープの活躍を期待したい。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
エキサイトマッチ~世界プロボクシング
WBA世界ヘビー級タイトルマッチ
クブラト・プーレフ vs ムラト・ガシエフ
ライト級4回戦
ジムエル・パッキャオ vs ブレンダン・ラリー
1/26(月)午後9:00
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