WBO世界S・フライ級タイトルマッチ 中谷潤人対アルヒ・コルテス
長身サウスポー vs ラフなファイター
2階級制覇王者の凱旋初防衛戦
今年5月、アメリカのネバダ州ラスベガスでアンドリュー・マロニー(オーストラリア)を衝撃的かつドラマチックな12回KOで屠って戴冠を果たした中谷潤人(25=M.T)の初防衛戦。挑戦者のアルヒ・コルテス(28=メキシコ)は1年前、敗れはしたものの当時のWBCフランチャイズ(特権)王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ=現WBC王者)に善戦して株を上げている強豪だ。
中谷は2020年11月にジーメル・マグラモ(フィリピン)との王座決定戦で8回KO勝ちを収め、WBO世界フライ級のベルトを獲得。この王座は2度防衛後に返上してS・フライ級に転向し、マロニーに勝って2階級制覇を成し遂げた。4度の世界戦を含めた戦績は25戦全勝(19KO)。172センチの長身サウスポーで、伸びのある右ジャブ、多角的でタイミングのいい左ストレートが主武器だ。まだまだ体も技量も成長途上で、どこまでスケールアップするのか楽しみな選手といえる。
挑戦者のコルテスは9年半のプロキャリアで30戦25勝(10KO)3敗2分の戦績を残しているファイターで、エストラーダ戦に続き2度目の大舞台となる。KO率は33パーセントと決して高くはないが、前に出ながら強振するワンツーと左右フックは注意が必要だ。中谷も「数字以上にパンチ力がありそう」と警戒している。
近い将来、中谷はエストラーダとの統一戦を希望している。そのエストラーダはコルテスから7回にボディブローでダウンを奪って12回判定で辛勝(115対112、115対112、114対113)だった。中谷にはそれ以上の内容と結果が求められることになる。
<TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表>
中谷潤人 |
名前 |
アルヒ・コルテス |
1998年1月2日/25歳 | 生年月日/年齢 | 1994年12月8日/28歳 |
三重県東員町 | 出身地 | メキシコ |
16戦14勝2敗 | アマチュア戦績 | |
2015年4月 | プロデビュー | 2014年4月 |
172㎝/170㎝ | 身長/リーチ | 166㎝(身長) |
25戦全勝(19KO) | プロ戦績 | 30戦25勝(10KO)3敗2分 |
76% | KO率 | 33% |
WBO フライ級 |
獲得世界王座 | |
4戦全勝(4KO) | 世界戦の戦績 | 1戦1敗 |
左ボクサーファイター型 | 戦闘スタイル | 右ファイター型 |
<S・フライ級トップ戦線の現状>
WBA:井岡一翔(志成)
WBC:ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)
IBF :フェルナンド・マルチネス(アルゼンチン)
WBO:中谷潤人(M.T)
現時点で世界的に最も高い評価を得ているのはWBC王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(33=メキシコ)だろう。ライバルのローマン・ゴンサレス(36=ニカラグア)に2勝1敗と勝ち越しており、そのポイントがトップに押し上げている。もっとも2戦目と3戦目は互角といってもいい内容だったことから、36歳になったゴンサレスも同格といえる。
4階級制覇のWBA王者、井岡一翔(34=志成)はエストラーダとの統一戦を希望しているが、11月15日時点で契約がまとまったという情報はない。井岡は経験値を含めた総合力でエストラーダやゴンサレスに引けを取ってはいないだけに、近い将来の大勝負実現に期待したい。
統一戦を望んでいるのはWBO王者の中谷潤人(25=M.T)も同じだ。長身の万能型サウスポーという特徴があり、相手にとっては敬遠したいタイプといえる。この階級でも減量が厳しくなってきており、そう長く52.1キロに留まることはなさそうだ。
3階級制覇の実績を持つ田中恒成(28=畑中)は井岡に敗れてから4連勝(2KO)と調子を上げてきた。2024年には大きなチャンスが巡ってくるのではないだろうか。
主要4団体のランキング表を見るとシーサケット・ソールンビサイ(36=タイ)、ドニー・ニエテス(41=フィリピン)ら元王者の名前もあるが、多くを期待するのは酷というものだろう。中谷に痛烈な12回KO負けを喫したアンドリュー・マロニー(32=オーストラリア)は12月9日に再起戦を予定している。
フライ級8回戦
ジーメル・マグラモ対アンソニー・オラスクアガ
世界戦経験者同士のサバイバルマッチ
2020年11月に中谷潤人(M.T)と空位のWBO世界フライ級王座を争って8回KO負けを喫したジーメル・マグラモ(28=フィリピン)と、今年4月に寺地拳四朗(B.M.B)の持つWBA・WBC世界L・フライ級王座に挑んで9回TKOで敗れたアンソニー・オラスクアガ(24=アメリカ)が拳を交える。ふたりとも最良の結果は出せなかったが高い戦力を備えており、現在もマグラモがフライ級でWBO5位、オラスクアガがL・フライ級でWBA6位にランクされている。トップ戦線残留をかけたサバイバルマッチということになる。
マグラモは元OPBF東洋太平洋王者のメルビン・マグラモを父に持つボクシングファミリーの切り札としても知られる。前傾姿勢から右ストレートを放ち、チャンスにはアッパーを交えた連打でフィニッシュに持ち込む攻撃パターンを持っている。
24歳と若いオラスクアガは体力を生かしてプレッシャーをかけ、中間距離で左右フックやアッパーを繰り出す攻撃型といえる。これが再起戦となる。
<TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表>
ジーメル・マグラモ |
名前 |
アンソニー・オラスクアガ |
1994年10月5日/28歳 | 生年月日/年齢 | 1999年1月1日/24歳 |
パラナクシティ(フィリピン) | 出身地 | ロサンゼルス(アメリカ) |
アマチュア戦績 | 23戦22勝1敗 ※他説あり | |
2012年3月 | プロデビュー | 2020年9月 |
163㎝/168㎝ | 身長/リーチ | 163㎝(身長) |
31戦28勝(23KO)3敗 | プロ戦績 | 6戦5勝(3KO)1敗 |
74% | KO率 | 50% |
右ボクサーファイター型 | 戦闘スタイル | 右ファイター型 |
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◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
エキサイトマッチSP「中谷潤人vsコルテス」「マグラモvsオラスクアガ」
12/4(月)午後9:00
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Naoki Fukuda