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IBF・WBO世界ミドル級王座統一戦 ジャニベク・アリムハヌリ対ヴィンセンツォ・グアルティエリ

サウスポーの強打者 vs スイッチヒッター
攻撃力で勝るアリムハヌリが圧勝か

 昨年5月にWBO暫定世界ミドル級王座を獲得し、3ヵ月後に正王者に昇格したジャニベク・アリムハヌリ(30=カザフスタン)と、今年7月に王座決定戦を制してIBF王者になったばかりのヴィンセンツォ・グアルティエリ(30=ドイツ)が互いのベルトをかけて拳を交える。ふたりとも現時点での知名度は高くないが、この統一戦を契機にブレークを狙う。

強豪を連破してWBO王座に駆け上がったアリムハヌリ

 アリムハヌリは2013年の世界選手権で優勝し、2016年リオデジャネイロ五輪にも出場(ベスト8)するなどアマチュアで輝かしい実績を残して2016年10月にカザフスタンでプロデビューした。3戦目から主戦場をアメリカに移し、トップランク社とも契約。以後、ハードなマッチメークが続くなか順調に勝利を重ね、一昨年には元世界王者のロブ・ブラント(アメリカ)を8回終了TKO、アッサン・エンダム(カメルーン/フランス)を8回TKOで連破した。
 昨年5月、ダニー・ディグナム(イギリス)を2回KOで屠ってWBO暫定世界ミドル級王座を獲得。その後、デメトリアス・アンドラーデ(アメリカ)が王座を返上してS・ミドル級に転向したためアリムハヌリが正王者に昇格した経緯がある。初防衛戦は12回判定勝ちだったが、今年5月にはスティーブン・バトラー(カナダ)を2回KOで退けV2に成功。戦績は14戦全勝(9KO)。
 テクニックと強打を併せ持つサウスポーのボクサーファイター型で、左ストレートだけでなく右フック、顔面とボディへの打ち分けなど攻撃は多彩だ。

運に実力がついてきたグアルティエリ

 グアルティエリもアマチュア経験があるが、アリムハヌリのように国際大会で実績を残すレベルではなかったようだ。2015年10月にプロ転向を果たし、ドイツの国内王座や地域王座を獲得しながら世界戦線に割り込んでいった。ドイツを出て戦うこともなく、また世界的な強豪との対戦が皆無のままトップ戦線に浮上したのだからラッキーとしか言いようがない。
 加えて、ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)がIBF王座を返上するという幸運が重なり、今年7月に自国にエスキーバ・ファルカン(ブラジル)を迎えて王座決定戦に臨んだ。グアルティエリは2012年ロンドン五輪銀メダリストから2回に左アッパーでダウンを奪い、10回にもローブローからの左アッパーでダウンを追加。運だけでなく実力の一端も披露して世界王座を手にした。
 22戦21勝(7KO)1分の戦績からも分かるようにパワーが売りの選手ではない。基本は右構えだが、足を使いながら前後左右に動きつつ折々でサウスポーにチェンジするなど変則的なスタイルの選手といえる。

攻撃力に大差 アリムハヌリが中盤で仕留めるか

 サウスポーのアリムハヌリがプレッシャーをかけ、グアルティエリが距離をとりながら迎撃の機会をうかがうという展開になりそうだ。前後左右に動きながら構えを左右に変えるIBF王者はアリムハヌリにとって戦いにくいタイプといえるかもしれないが、パンチ力がないだけに怖さはなさそうだ。
 初めてドイツを出て戦うグアルティエリがよほど奮起しないかぎり、アリムハヌリの前進を止めることは難しいだろう。9対1というオッズが出ているように攻撃力で大差をつけているWBO王者が中盤あたりで仕留めてしまう可能性が高い。

<ミドル級トップ戦線の現状>

WBA  :エリスランディ・ララ(キューバ/アメリカ)
WBC  :ジャモール・チャーロ(アメリカ)
WBC暫定:カルロス・アダメス(ドミニカ共和国)
IBF     :ヴィンセンツォ・グアルティエリ(ドイツ)
WBO  :ジャニベク・アリムハヌリ(カザフスタン)

 サウル・カネロ・アルバレス(33=メキシコ)、ゲンナジー・ゴロフキン(41=カザフスタン)、ジャモール・チャーロ(33=アメリカ)、村田諒太(帝拳)、デメトリアス・アンドラーデ(35=アメリカ)らがトップ戦線に並んでいた数年前と比較すると、現在のミドル級はスター選手不足の印象が拭えない。チャーロは現在もWBC王者だが、心身のコンディション不良が理由で2年半もリングから遠ざかっており、WBA王者のエリスランディ・ララ(40=キューバ)も1年半、試合枯れ状態が続いている。チャーロは年内に復帰戦を行う予定と伝えられるが、ララの次戦は未定のままだ。
 その間、今回の統一戦に臨むWBO王者のジャニベク・アリムハヌリ(30=カザフスタン)、IBF王者のヴィンセンツォ・グアルティエリ(30=ドイツ)、さらにWBC暫定王者のカルロス・アダメス(29=ドミニカ共和国)らが戴冠を果たし、新しい波をつくろうとしている。アリムハヌリ対グアルティエリは両雄の実績、知名度が必ずしも高いわけではないため統一戦としては派手なカードとはいえないが、内容と結果によっては勝者にスポットが当たっていくことになりそうだ。
 各団体の上位をみるとマイケル・ゼラファ(31=オーストラリア)、メイリム・ヌルスルタノフ(30=カザフスタン)、クリス・ユーバンク・ジュニア(34=イギリス)といった名前が並ぶが、次代を託せるほどの力量や魅力があるかというと首を振らざるを得ない。たっぷりと時間があるという点も含め、16戦全勝(13KO)の20歳、イライジャ・ガルシア(アメリカ)に期待したい。

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