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WBOインターナショナル/WBC米国ヘビー級タイトルマッチ ジャレド・アンダーソン対アンドリー・ルデンコ

23歳の世界王者候補 vs 39歳のベテラン
アンダーソンの強打が炸裂か

 「近未来の世界ヘビー級王者」として期待と注目を集める大型ホープ、ジャレド・アンダーソン(23=アメリカ)が、17年のプロキャリアを持つアンドリー・ルデンコ(39=ウクライナ)と対戦する。経験値の高いルデンコを軽視することは危険だが、WBO5位、WBAとWBCで7位、IBF15位にランクされるアンダーソンの強打が火を噴く可能性が高そうだ。

直近の試合で元王者に勝利 自信を増したアンダーソン

 アンダーソンはアマチュア時代に2017年と2018年の全米選手権ヘビー級で優勝するなど輝かしい実績を残し、2019年10月にプロ転向を果たした。最初の1年間で7戦するなどハイペースで試合をこなし、2021年から徐々に対戦相手のレベルを上げていった。のちにWBO暫定王者になるツァン・チレイ(中国)と引き分けたこともあるジェリー・フォレスト(アメリカ)を2回で仕留めると、今年4月には18戦全勝(7KO)のジョージ・アリアス(ドミニカ共和国)を3回終了で棄権に追い込んだ。
 さらに7月、WBO13位のサウスポー、ヤン・コソブツキー(カザフスタン=19戦全勝18KO)と対戦する予定だったが、コソブツキーが負傷。そのため元IBF世界ヘビー級王者のチャールズ・マーティン(アメリカ)と対戦することになった。アンダーソンにとっては試練の一戦になるかと思われたが、23歳のホープは3回にダウンを奪うなどして主導権を握り、そのままポイントを重ねて判定勝ちを収めた。デビューからの連続KOは14で止まったが、代わりに元世界王者を相手に初めてフルに10ラウンドを戦い抜いてスタミナや耐久力にも大きな問題がないことを証明した。戦績は15戦全勝(14KO)。

デビューから24連勝を収めたこともあるルデンコ

 ルデンコは2006年10月に23歳でプロデビューした。アンダーソンが7歳の誕生日を迎える1ヵ月ほど前ということになる。無効試合を挟んで24連勝(16KO)を収めたあと30歳を超えて勝負に出たが、元世界王者のルーカス・ブラウン(オーストラリア)やのちに世界挑戦するヒューイ・フューリー(イギリス)に連敗して勢いが止まった。
 その後、元世界王者のアレクサンデル・ポベトキン(ロシア)、世界ランカーのアギト・カバヤル(ドイツ)、ツァン・チレイに判定で敗れ世界戦線参入の夢は遠のいた。2年前、同国人のウラディスラフ・シレンコに6回TKO負けを喫したあとブランクをつくったが、今年1月に2回TKO勝ちを収めて戦線復帰を果たした。今回が再起第2戦となる。戦績は42戦35勝(21KO)6敗1無効試合。

アンダーソンがスピードとパワーで圧倒か

 現時点での両選手の戦力を比較した場合、アンダーソンが大きく上回っていることは間違いない。特にスピードと右ストレートやボディブローの破壊力では大きな差がある。状況を見て構えを右から左にスイッチするなど引き出しの数でもアンダーソンが勝る。唯一、ルデンコが上回っているのが経験値だが、出世がかかった複数の試合で結果を出せないまま現在に至っていることを考えると、そのキャリアがアドバンテージになるとは思えない。せいぜいガードを固めて前に出てタフネスと勇敢さを示す程度に終わりそうだ。
 元王者に勝って自信を増したアンダーソンが初回からスピードとパワーで圧倒する可能性が高い。

<ヘビー級トップ戦線の現状>

WBAスーパー:オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)
WBA    :マヌエル・チャー(シリア/ドイツ)
WBC    :タイソン・フューリー(イギリス)
IBF       :オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)
WBO    :オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)
WBO暫定  :ツァン・チレイ(中国)

 3団体王者のオレクサンダー・ウシク(36=ウクライナ)が8月にWBAレギュラー王者のダニエル・デュボア(26=イギリス)に9回KO勝ちを収めて格の違いを示した。これで少しトップ戦線が整理されたと思った矢先、かつてWBA王座を剥奪されたマヌエル・チャー(マームド・チャー 38=シリア/ドイツ)が裁判によって王座に復帰してしまった。
 WBC王者のタイソン・フューリー(35=イギリス)は次戦で総合格闘技のUFCヘビー級王者だったフランシス・ガヌー(カメルーン)と対戦することになっており、期待されるウシクとの統一戦は早くても来春となりそうだ。
 王座はかからないが、ここに来て前WBC王者のデオンテイ・ワイルダー(37=アメリカ)と前3団体王者のアンソニー・ジョシュア(33=イギリス)の米英対決が話題になっている。5年前に実現して欲しかった黄金カードだが、ふたりが挫折を経験した現在でも十分に興味深い試合といえる。
 このほかジョシュアに勝ったこともある元王者のアンディ・ルイス(34=アメリカ)、23戦無敗のフランク・サンチェス(31=キューバ)、IBF1位のフィリップ・フルゴビッチ(31=クロアチア)らが控えているが、ウシク、フューリーとの差は小さくない。
 むしろ次の世代として注目すべきはジャレド・アンダーソン(23=アメリカ)や東京五輪金メダリストのバホディル・ジャロロフ(29=ウズベキスタン)だろう。2年後あるいは3年後、アンダーソンとジャロロフがヘビー級のトップに君臨していたとしても不思議ではない。

WBCシルバー ヘビー級王座決定戦
エフェ・アジャグバ対ヤン・コソブツキー

注目の世界ランカー対決
オッズは11対8 コソブツキー有利

 2016年リオデジャネイロ五輪スーパー・ヘビー級ベスト8のエフェ・アジャグバ(29=ナイジェリア)と、19戦全勝(18KO)のヤン・コソブツキー(34=カザフスタン)がヘビー級のWBCシルバー王座をかけて対戦する。現在は18戦17勝(13KO)1敗のアジャグバがWBC14位、コソブツキーがWBC9位、WBA14位。KO決着が期待できる好カードだ。
 アジャグバは身長198センチ、リーチ216センチ、体重107キロと均整のとれた大型選手で、右ストレートの破壊力に定評がある。パンチの連携や全体的な動きに滑らかさを欠く点が課題として残っているが、経験を積むことで矯正されていけば大成も期待できる。
 コソブツキーは28歳でプロ転向を果たした選手で、これがアメリカのリング初登場となる。もともと7月にジャレド・アンダーソン(アメリカ)と対戦する予定だったがビザの取得が間に合わずキャンセル。その問題が解決したのちに今回の試合が決まった経緯がある。95パーセントのKO率が示すとおりのサウスポーの強打者だが、アジャグバを相手に距離を詰めることができるかどうか。オッズは11対8でコソブツキー有利と出ている。

フェザー級8回戦
ブルース・カーリントン対アンヘル・コントレラス


ミドル級10回戦
ホセ・ベナビデス対スラダン・ヤンヤニン


 このほか8戦全勝(5KO)のブルース・カーリントン(26=アメリカ)対アンヘル・コントレラス(29=メキシコ)のフェザー級8回戦にも要注目だ。
 カーリントンは2年前、タイソン・フューリー(イギリス)対デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)第3戦の前座でプロデビューしたホープで、打ち下ろしの右や左フックに切れがある。やや狙い過ぎの傾向があるが、21戦(13勝7KO6敗2分)のキャリアを持つコントレラスに自慢の強打が炸裂するかどうか。
 元WBA暫定世界S・ライト級王者のホセ・ベナビデス(31=アメリカ)は、10年間に51戦(36勝25KO15敗)をこなしているスラダン・ヤンヤニン(32=ボスニアヘルツェゴビナ)とミドル級10回戦を行う。
 5年前、テレンス・クロフォード(アメリカ)に食い下がった(12回TKO負け)ベナビデスだが、その後は3年のブランクをつくり2年前に戦線復帰。しかし、昨年7月に元2階級制覇王者のダニー・ガルシア(アメリカ)に敗れた。2018年6月以来の勝利をものにできるか。「バルカン・スーパースター」というニックネームを持つヤンヤニンは4度目となるアメリカのリングで初勝利を狙う。

【番組オフィシャルサイト】
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【エキサイトマッチ公式Twitter】
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