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S・バンタム級10回戦 ルイス・ネリ対フロイラン・サルダール

元世界2階級制覇王者ネリ
指名挑戦権をキープできるか

 WBC世界S・バンタム級1位にランクされるルイス・ネリ(28=メキシコ)が、5年前に木村翔(青木→花形)の持つWBO世界フライ級王座に挑んだ経験を持つフロイラン・サルダール(34=フィリピン)と対戦する。今年2月、アザト・ホバニシャン(アルメニア)に11回KO勝ちを収めてWBCの指名挑戦権を手に入れたネリは、井上尚弥(大橋)への挑戦に向けてアピールすることができるか。

ホバニシャンに打ち勝つもさらなるアピールが必要

 ネリは35戦34勝(26KO)1敗の戦績が示すとおりの強打者で、広めにとったサウスポー・スタンスから踏み込んで左ストレートを打ち込み、チャンスとみれば回転の速い連打に繋げることが多い。ただ、2020年に正式にS・バンタム級に転向してからの5試合に限定して見た場合、バンタム級時代のような相手を圧倒してしまう戦いぶりは少ない。2020年9月に2階級制覇を果たしたものの次戦でWBA王者のブランドン・フィゲロア(アメリカ)のボディブローで悶絶(7回KO負け)。再起戦では勝ったもののジャッジの見解が割れる際どい判定だった。ホバニシャン戦は最終的には打ち勝ったが、自身の被弾も多く危ない場面が多々あった。
 バンタム級時代から井上との対戦を希望しているネリだが、山中慎介(帝拳)との再戦をはじめ何度も体重超過やドーピング違反を犯しており、日本のリングからは締め出しをくらっている。したがって井上への挑戦を実現させるためにはアメリカやメキシコをはじめ多くのファンや関係者に「ネリなら井上に勝てるかもしれない」「どうしても井上対ネリを見たい!」と思わせなければならない。ホバニシャンに勝ったことで指名挑戦権は手にしているが、今回の試合でさらにアピールする必要があるのだ。

井上拓真、比嘉からダウンを奪ったサルダール

 サルダールは日本にも馴染みの選手で、7年前の初来日試合では井上拓真(大橋)に10回判定負けを喫したものの、初回には右でダウンを奪っている。2018年7月には中国で木村翔に挑戦。このときも6回KOで敗れたが、序盤は快調に飛ばしたものだ。WBOアジアパシフィック王座を巡って村地翼(駿河男児)に8回TKO勝ち、福永亮次(角海老宝石)に7回TKO負け。昨年7月、元世界王者の比嘉大吾(志成)と対戦し、4回に右で痛烈なダウンを奪っている。その後、比嘉の反撃にあって8回判定負けに終わったが、強打者の片鱗は十分に見せつけた。
 比嘉戦から3ヵ月半後、元フィリピン王者のクリソン・オマヤオ(2012年10月、井上尚弥のプロデビュー戦の相手を務め4回KO負け)に1回TKO勝ちを収めて再起を果たした。戦績は40戦33勝(23KO)6敗1分。踏み込んで放つ右ストレートは伸びと破壊力がある。ただ、この右に頼ることが多く、攻防が単調になりがちな面がある。

ネリの左と連打が炸裂か サルダールは右頼み

 計量で失格した試合を含め4度の世界戦を経験しているネリが圧倒的有利であることは間違いない。メキシコでの試合ということもありオッズは11対1で元2階級制覇王者に傾いている。破壊力のある左ストレート、それを起点とした回転の速い連打で仕留めてしまう可能性が高い。
 もしも番狂わせが起こるとしたら、サルダールの右ストレートか右フックがネリのアゴにクリーンヒットした場合であろう。

<スーパー・バンタム級トップ戦線の現状>

WBAスーパー:マーロン・タパレス(フィリピン)
WBC    :井上尚弥(大橋)
IBF       :マーロン・タパレス(フィリピン)
WBO    :井上尚弥(大橋)

 今年3月まではムロジョン・アフマダリエフ(28=ウズベキスタン)とスティーブン・フルトン(29=アメリカ)がベルトを2本ずつ持っていた。一時は両者が統一戦を行うのではないかという期待もあったが、今年に入って状況は一変した。まず4月にマーロン・タパレス(31=フィリピン)がアフマダリエフに競り勝ってWBAとIBF王座を奪取。7月には井上尚弥(30=大橋)がフルトンを8回TKOで下してWBC・WBO王者になった。井上の戴冠は大方の予想どおりだったが、タパレスが4対1のオッズをひっくり返して王座を奪ったことには驚かされたものだ。
 ともかく、井上とタパレスが2本ずつベルトを持っているからには統一戦を期待したい。すでに井上が新王者になったリング上にタパレスが上がって対戦を約束しており、あとは年内の実現に向けて交渉が進むことを祈るばかりだ。サウスポーから繰り出すタパレスの強打を侮ることはできないが、予想は圧倒的に井上有利といえる。気の早いスポーツブックでは12対1とオッズが出ているほどだ。
 タパレスを含め、このクラスでも井上を脅かす敵は皆無といえる。WBAはアフマダリエフと亀田和毅(32=TMK)に指名挑戦者決定戦を行うよう指令を出したが、亀田はフェザー級転向を視野に入れており、先行きは不透明だ。
 井上陣営が近未来の対戦候補として名前を挙げているのが元3階級制覇王者のジョンリエル・カシメロ(34=フィリピン)と、元2階級制覇王者のルイス・ネリ(28=メキシコ)だ。ふたりとも以前から井上を挑発しており、そういった意味では因縁めいたものがあって話題性は十分だが、総合力では井上と大差がある。ましてネリは日本のリングから締め出しをくらっており、アメリカ開催を目指すのであれば強烈なアピールが必要とされる。
 15戦全勝(7KO)のIBF1位、サム・グッドマン(24=オーストラリア)、そのグッドマンに相手国で惜敗したライース・アリーム(33=アメリカ)も力はあるが、現時点では井上のレベルには遠く及ばない。

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ルイス・ネリ Getty Images、フロイラン・サルダール 写真:アフロ

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