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WBOインターナショナル ヘビー級タイトルマッチ ジャレド・アンダーソン対チャールズ・マーティン

23歳の王者候補 vs 37歳の元王者
15連続KO勝ち狙うアンダーソン

 「近未来の世界ヘビー級チャンピオン」として大きな期待と注目を集めているWBO7位、WBA8位、WBC9位のジャレド・アンダーソン(23=アメリカ)が、元IBF世界ヘビー級王者のチャールズ・マーティン(37=アメリカ)と対戦する。この2年で対戦相手のレベルを上げてきたアンダーソンだが、元世界王者と拳を交えるのは初めてのこと。アンダーソンがデビューからの連続KO勝ちを15に伸ばすのか、それともサウスポーのマーティンが立ち塞がるのか。オッズは11対1、若くて勢いのあるアンダーソンが圧倒的有利と出ている。

素質に恵まれたアンダーソンが試されるとき

 アンダーソンはアマチュア時代に2年連続で全米選手権を制するなど活躍したが、東京五輪出場を狙うことなく2019年10月にプロ転向を果たした。20歳になる直前のことだ。数ヵ月後にはコロナ禍に突入したが、無観客試合などをコンスタントにこなしながら総合力を上げていった。プロモートを担うトップランク社の期待の大きさがうかがい知れる。
 同社は3年前から対戦相手の質を上げ、無敗のウラディミール・テレスキン(ロシア)やジョージ・アリアス(ドミニカ共和国)、パンチのあるオレクサンダー・テスレンコ(ウクライナ/カナダ)、タフで鳴らすジェリー・フォレスト(アメリカ)らとの試合を組んだが、アンダーソンはすべて3回以内のKO(TKO)で仕事を片づけた。
 アンダーソンは14戦全KO勝ちの戦績が示すとおりの強打者で、スピードもある。パンチも右クロス、左フック、ボディブローと多彩で、構えを右から左にチェンジする器用さも備えている。今後はさらに対戦相手のレベルを上げながらスタミナや駆け引き、耐久力などをテストしていくことになりそうだ。

7年前にIBF王座を獲得したマーティン

 今回、もともとアンダーソンは19戦全勝(18KO)のサウスポー、WBO13位のザン・コソブツキー(34=カザフスタン)と対戦する予定だったが、コソブツキーにビザの問題が発生したためマーティンとの対戦に変更された経緯がある。
 そのマーティンも4月22日に決まっていた試合が相手の負傷でキャンセルになったばかりで、こちらも新鋭との対戦は大歓迎だったようだ。
 マーティンは2012年10月に26歳でプロデビューし、29歳のときにはIBF世界ヘビー級王者になっている。タイソン・フューリー(イギリス)の一時的な引退に伴う王座決定戦でビヤチェスラフ・グラツコフ(ウクライナ)に3回TKO勝ちを収めての戴冠だった。しかし、初防衛戦でアンソニー・ジョシュア(イギリス)にあっさり2回KO負けを喫し、在位は3ヵ月に終わった。
 その後、アダム・コウナツキ(ポーランド)10回判定、ルイス・オルティス(キューバ)に6回TKOで敗れはしたが、完敗というわけではなかった。特にオルティス戦では序盤に2度のダウンを奪って存在感を示している。戦績は33戦29勝(26KO)3敗1分。

サウスポーも苦にしないアンダーソン

 スピードに加え多彩なパンチ、パワーで勝る23歳のアンダーソンが有利であることは間違いない。直近の6試合でサウスポーとの対戦が3度あるようにアンダーソンは左構えの相手でも苦にしておらず、今回も戸惑いはないだろう。積極的に距離を詰めながら右ストレート、返しの左フックを狙うものと思われる。状況によっては自身がサウスポーにスイッチする可能性もありそうだ。
 ただ、マーティンは細かく立ち位置を変えながらカウンターを中心に応戦することが予想されるため、どこまで体重の乗ったパワーパンチを打ち込めるか。このあたりがアンダーソンのテーマといえそうだ。

<ヘビー級トップ戦線の現状>


WBAスーパー:オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)
WBA    :ダニエル・デュボア(イギリス)
WBC    :タイソン・フューリー(イギリス)
IBF     :オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)
WBO    :オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)
WBO暫定  :ツァン・チレイ(中国)


 3団体の王座を持つオレクサンダー・ウシク(36=ウクライナ)と、WBC王者のタイソン・フューリー(34=イギリス)の並走が続いている。世界中のファンや関係者が両者の対決を期待しているが、話が出ては消え、いまはすれ違い状態にある。ウシクはWBA王者のダニエル・デュボア(25=イギリス)が控えており、フューリーは何を思ったか総合格闘技UFCの元ヘビー級王者フランシス・ガヌー(カメルーン)と10月に対戦するのだとか。それはそれで話題にはなるが、WBCは王座剥奪はしないものの防衛戦としては認めないとのコメントを発している。
 WBO暫定王者のツァン・チレイ(40=中国)は9月に前暫定王者のジョー・ジョイス(37=イギリス)との再戦に臨むことになった。オッズは6対5でツァン有利と数字は接近しているが、ジョイスがツァンの左ジャブと右ストレートに対応できないようだと6回TKOでけりがついた4月と同じような展開になりそうだ。
 デュボアを除き30代半ば、後半のトップ選手が目立つなか、若くて才能のあるホープも台頭してきた。最も大きな期待を集めているのが今回、登場するジャレド・アンダーソン(23=アメリカ)だ。デビューから14連続KO勝ちという戦績ももちろんだが、スピードやパワーもあり、大成が期待されている。
 34歳のアルスランベク・マクムドフ(ロシア/カナダ)にも要注目だ。年齢が気にはなるが、近年は30代後半で結果を出す選手も増えてきている。このほか東京五輪金メダリストでプロでは12戦全KO勝ちの大型サウスポー、バホディル・ジャロロフ(29=ウズベキスタン)も来年はトップ戦線に上がってきそうだ。

アルスランベク・マクムドフ対ラファエル・アクペジオリ
エイブラハム・ノバ対ジョナサン・ロメロ
村田昴対ファン・センテノ

 ヘビー級でWBAとWBCで5位、WBOで15位にランクされるアルスランベク・マクムドフ(34=ロシア/カナダ)が、自身の持つNABF北米同級王座をかけてラファエル・アクペジオリ(32=ナイジェリア)と対戦する。「ライオン」というニックネームを持つマクムドフは16戦全勝(15KO)、身長203センチのアクペジオリが15戦全勝(14KO)とともに90パーセントを楽々と超えるKO率を残している。最重量級らしい豪快なノックアウトが見られそうだ。
 エイブラハム・ノバ(29=アメリカ)対ジョナサン・ロメロ(36=コロンビア)はS・フェザー級10回戦として行われる。デビューから21連勝(15KO)を収めて世界上位に進出していたノバだが、昨年6月のロベイシー・ラミレス(キューバ)戦で5回KO負けを喫し急停止を強いられた。その後、ラミレスがWBO世界フェザー級王者になっているだけに、ここで立ち止まっているわけにはいかない。
 相手のロメロはアマチュア時代に2008年北京五輪に出場したり、プロでは2013年2月から8月の半年間、IBF世界Sー・バンタム級王座に君臨した実績を持っているが、最近は中堅を相手に6回戦や8回戦で勝利を重ねている状態が続いている。ロメロが「過去の人」ならばノバのKO勝ちが濃厚だ。
 プロデビューから4連続KO勝ちを収めているS・バンタム級ホープ、村田昴(26=帝拳)が、デビュー戦、第4戦に続いてアメリカのリングに上がる。ラスベガスで対戦するのは19戦8勝(1KO)8敗3分の戦績を残しているファン・センテノ(28=ニカラグア)。地域王座戦に出場したり10回戦を経験したりと、プロのキャリアでは村田より上を行っている。
 アメリカで2度とも鮮やかなKO(TKO)勝ちを収めている村田が、スピードと強打でセンテノを押えていきそうだ。サウスポーから繰り出す速くて強い左ストレート、右フックに要注目。

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