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IBF世界ミドル級王座決定戦 エスキーバ・ファルカン対ヴィンセンツォ・グアルティエリ

ゴロフキンの後継王者は?
無敗対決は4対1でファルカン有利

 今年2月にゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)が返上して空位になったIBF世界ミドル級王座の決定戦。最初、IBFは1位のエスキーバ・ファルカン(33=ブラジル)と2位のマイケル・ゼラファ(31=オーストラリア)に対戦を命じたが、ゼラファが首を縦に振らなかったため3位のヴィンセンツォ・グアルティエリ(30=ドイツ)に出番が回ってきた。開催地はドイツ西部のノルトライン=ヴェストファーレン州ヴッパータール。グアルティエリの地元だ。
30戦全勝(20KO)のファルカン、21戦20勝(7KO)1分のグアルティエリ。どちらがゴロフキンの後継王者になるのか。

村田に惜敗して銀メダルに甘んじたファルカン

 ファルカンはアマチュア時代に村田諒太(帝拳)と世界的な大会で2度対戦している。最初は2011年の世界選手権準決勝で、そのときは村田が2度のスタンディングカウントを奪って24対11でポイント勝ちを収めている。2度目は2012年ロンドン五輪決勝で対戦。接戦になったものの村田が14対13の最小点差で勝利をもぎ取った。ファルカンにとって村田はライバルであるとともに壁でもあった。昨年4月、その村田に勝ったゴロフキンが王座を返上してチャンスが転がり込んできたのだから、これも薄からぬ縁といえるのかもしれない。
 ロンドン五輪から1年半後の2014年2月にプロ転向を果たしたファルカンはトップランク社の庇護もあり比較的リスクの少ない選手を相手に連勝を続け、じわじわとランキングを上げてきた。最近では2021年2月、世界挑戦経験者のアルツール・アカボフ(ロシア)を4回終了TKOで下した星が目を引く。身長178センチ、リーチ184センチのサウスポーで、相手に体を寄せながら上下にパンチを散らすボクサーファイター型だ。約67パーセントのKO率を残しているが、そこまでのパワーは感じられない。

ドイツ国内で勝利を重ねてきたグアルティエリ

 グアルティエリは2015年10月に22歳でプロデビューし、ドイツの国内王座やマイナー団体IBOのコンチネンタル王座、IBFインターコンチネンタル王座などを獲得してランキングを上げてきた。ファルカン同様に世界的強豪との対戦は皆無だが、レコードを見るとドイツ国内でコンスタントに試合を重ねてきたことが分かる。
 身長は179センチとこのクラスでは平均的だが、細かく動きながら角度を変えてワンツーやアッパーなどで攻め、相手が出てくると離れる戦い方をマスターしている。パンチの威力は感じられないが、全体的なスピードはありそうだ。攻撃の際に瞬間的に左構えにスイッチすることもある。

中盤までは接戦で勝負は終盤か

 オッズは19対5、およそ4対1でファルカン有利と出ているが、総合力に差はないと見ていいだろう。むしろホームのグアルティエリに若干のアドバンテージがあるといっていいかもしれない。
 ファルカンが前に出ながら緩い圧力をかけ、グアルティエリが立ち位置を変えながら応戦するパターンが予想される。ともに一発の破壊力はないため前半決着の可能性は低いと見ていいだろう。中盤までは主導権争いの競った状態が続くのではないだろうか。直近の5試合すべて12ラウンドをフルに戦い切っているグアルティエリに対し、10ラウンドを3度経験しただけのファルカンは中盤までにリードを奪っておきたいところだ。

<ミドル級トップ戦線の現状>


WBA  :エリスランディ・ララ(キューバ/アメリカ)
WBC  :ジャモール・チャーロ(アメリカ)
WBC暫定:カルロス・アダメス(ドミニカ共和国)
IBF     :空位
WBO  :ジャニベク・アリムハヌリ(カザフスタン)


 サウル・カネロ・アルバレス(33=メキシコ)が上の階級に移り、ゲンナジー・ゴロフキン(41=カザフスタン)がWBAとIBF王座を返上して活動休止状態に入り、WBC王者のジャモール・チャーロ(33=アメリカ)も2年以上もリングに上がっていない。WBA王座を2度獲得した村田諒太(帝拳)は引退し、次の天下人と目されていたハイメ・ムンギア(26=メキシコ)はビッグマッチを求めてS・ミドル級に転向――彼らがトップ戦線を賑わせていた数年前と比較すると、いまのミドル級はスター選手が不在でやや寂しい状況といえる。裏返せば誰にでもチャンスがあるということだ。
 ランカー陣を見てもWBAとWBOにゴロフキンがいるものの再びリングに上がるのかどうかも分からない状況だ。元2階級制覇王者のセルヒオ・マルチネス(48=アルゼンチン)、親子世界王者の夢を追うシェーン・モズリー・ジュニア(32=アメリカ)らがトップ15内にいるが、話題性はあるものの王者たちを脅かす力を備えているかというと疑問だ。
 それよりもリアム・スミス(35=イギリス)、マイケル・ゼラファ(31=オーストラリア)、元2階級制覇王者のダニー・ガルシア(35=アメリカ)らの方が総合力は上と思われるが、とはいえ彼らがこれから突き抜けることは考えにくい。
 救いなのはWBC暫定王者のカルロス・アダメス(29=ドミニカ共和国)、WBO王者のジャニベク・アリムハヌリ(30=カザフスタン)らが比較的アクティブに活動している点であろう。
 若手ではWBA8位、WBC7位、IBF9位、WBO13位にランクされる15戦全勝(12KO)のイライジャ・ガルシア(20=アメリカ)に期待したい。

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