4団体世界ウェルター級王座統一戦 エロール・スペンス対テレンス・クロフォード
世界中が待ち望んだ究極の頂上決戦
全勝対決のオッズは13対8でクロフォード有利
待ちに待った実力派の全勝王者同士による4団体世界ウェルター級王座統一戦が実現する。WBA、WBC、IBFと3本のベルトを持つエロール・スペンス(33=アメリカ)と、3階級制覇を成し遂げているWBO王者のテレンス・クロフォード(35=アメリカ)。
「2~3年早く実現してほしかった」という声があるのも事実だが、この際、そんな野暮なことは言うまい。とにかく両雄が無傷のままスーパーファイトが実現することを歓迎したい。世界中が注目する頂上決戦を制するのはスペンスなのか、それともクロフォードなのか。試合決定時のオッズはイーブンに近いものだったが、徐々にクロフォード有利に傾き、試合2週間前の時点では13対8と差が広がっている(William Hill)。
アマチュア時代から一貫してウェルター級で戦い続けるスペンス
スペンスは2012年ロンドン五輪に出場するなどアマチュア時代からウェルター級で戦ってきた。ちなみにアマチュアのウェルター級リミットは69キロで、約66.6キロ以下と定められているプロよりも2.3キロほど重い。身長177センチ、リーチ183センチと大柄なスペンスはスーパー・ウェルター級、あるいはミドル級への転向が噂されたこともあるほどで、フレームの大きさという点でアドバンテージはあるといえそうだ。
ただ、スペンスが飛ぶ鳥を落とす勢いだったのは2019年までで、その後は交通事故、左目網膜剥離などリング外のアクシデントが目立ち、直近の2年半でリングに上がったのは2022年4月、ヨルデニス・ウガスに10回TKO勝ちを収めた試合だけという状態だ。今回も当初は昨年11月にクロフォードとの対戦が内定と報じられたこともあったためか試合間隔が空き、ウガス戦以来1年3ヵ月ぶりの実戦となる。
体重を上げながら3階級制覇を果たしたクロフォード
クロフォードはアマチュア時代はライト級で戦い、20歳でプロに転向してからも60キロ~64キロでキャリアを積んだ。世界王座は2014年にWBOライト級、翌年にWBOスーパー・ライト級を制覇。2017年に4団体統一を果たしたのを機にウェルター級に転向し、2018年6月にWBO王座を獲得して3階級制覇を成し遂げた。徐々に体重を上げてきたという点でスペンスとは対照的といえる。身長は173センチとスペンスよりも4センチ小さいが、逆にリーチはライバル王者よりも5センチ長い188センチもある。フレームそのものはスペンスに劣るが、この身体的特徴が有利に作用する可能性はありそうだ。
スペンスのような強打者というイメージは強くないクロフォードだが、17度の世界戦で全勝(14KO)を収めており、直近の10試合に限ってみればすべて規定ラウンド内で終わらせている。スペンスを相手に判定まで粘ったショーン・ポーター(アメリカ)から2度のダウンを奪って10回TKOで仕留めた試合などは「クロフォード強し」を強く印象づけたものだ。
競ったまま終盤勝負か ややクロフォード有利?
一貫して左構えで戦うスペンスに対し、クロフォードは相手や状況に応じて構えを左右に変えるスイッチヒッターという特徴がある。それを含め選択肢の多さという点ではWBO王者が上回っているといえそうだ。まずはクロフォードが左右どちらの構えでスタートするかに注目したい。
どっしりと構えたスペンスがじわじわとプレッシャーをかけ、クロフォードが慎重に相手の動きを見ながら対応するという展開になりそうだ。序盤の注目点は両者の体格や馬力に差があるか否か、さらに互いにどんな反応をするかという点に絞られよう。前半で主導権の行方が決まらない場合は中盤から中間距離での攻防が増えそうだ。ともに上下の打ち分けやカウンターなど高い攻撃技術と卓越した防御スキルも兼備しており、ここでも簡単にけりがつくとは思えない。競った状態のまま勝負は終盤に持ち込まれる可能性が高いといえる。
スピードとスキルで勝ると思われるクロフォードがやや有利かと思うが、頂上決戦にふさわしい熱戦を期待したい。
資料①
<ESPNのパウンド・フォー・パウンド ランキング>※2023年7月
1 テレンス・クロフォード(アメリカ) ウェルター級
2 井上尚弥(大橋) S・バンタム級
3 オレクサンダー・ウシク(ウクライナ) ヘビー級
4 エロール・スペンス(アメリカ) ウェルター級
5 サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ) S・ミドル級
6 ドミトリー・ビボル(キルギス/ロシア) L・ヘビー級
7 タイソン・フューリー(イギリス) ヘビー級
8 アルツール・ベテルビエフ(カナダ/ロシア) L・ヘビー級
9 デビン・ヘイニー(アメリカ) ライト級
10 シャクール・スティーブンソン(アメリカ) ライト級
<「リング誌」のパウンド・フォー・パウンド ランキング>※2023年7月
1 オレクサンダー・ウシク(ウクライナ) ヘビー級
2 井上尚弥(大橋) S・バンタム級
3 テレンス・クロフォード(アメリカ) ウェルター級
4 エロール・スペンス(アメリカ) ウェルター級
5 サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ) S・ミドル級
6 ドミトリー・ビボル(キルギス/ロシア) L・ヘビー級
7 デビン・ヘイニー(アメリカ) ライト級
8 ジャーボンテイ・デービス(アメリカ) ライト級
9 テオフィモ・ロペス(アメリカ) S・ライト級
10 ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ) ライト級
資料②
<スペンス&クロフォード 2017年以降の年表>
スペンス | クロフォード | |
17年5月 | ケル・ブルック ○11回KO (IBFウェルター級王座獲得) |
フェリックス・ディアス ○10回終了TKO (S・ライト級王座防衛⑤) |
8月 | ジュリアス・インドンゴ ○3回KO (S・ライト級4団体王座統一) |
|
18年1月 | レイモント・ピーターソン ○7回終了TKO 防① |
|
6月 | カルロス・オカンポ ○1回KO 防② |
ジェフ・ホーン ○9回TKO (WBOウェルター級王座獲得) |
10月 | ホセ・ベナビデス ○12回TKO 防① |
|
19年3月 | マイキー・ガルシア ○12回判定 防③ |
|
4月 | アミール・カーン ○6回TKO 防② |
|
9月 | ショーン・ポーター ○12回判定 防④ (WBC王座獲得=2団体王座統一) |
|
10月 | ※交通事故 | |
12月 | エギディウス・カバラウスカス ○9回TKO 防③ |
|
20年11月 | ケル・ブルック ○4回TKO 防④ |
|
12月 | ダニー・ガルシア ○12回判定 防⑤ |
|
21年8月 | ※左目網膜剥離 (パッキャオ戦キャンセル) |
|
11月 | ショーン・ポーター ○10回TKO 防⑤ |
|
22年4月 | ヨルデニス・ウガス ○10回TKO 防⑥ (WBA王座獲得=3団体統一) |
|
12月 | ダビド・アバネシャン ○6回KO 防⑥ |
資料③
<ウェルター級で共通の対戦相手>
スペンス | クロフォード | |
ケル・ブルック | 11回KO勝ち (2017年5月) | 4回TKO勝ち(2020年11月) |
ショーン・ポーター | 12回判定勝ち(2019年9月) | 10回TKO勝ち(2021年11月) |
資料④
<TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表>
スペンス | 名前 | クロフォード |
1990年3月3日/33歳 | 生年月日/年齢 | 1987年9月28日/35歳 |
ロングアイランド(アメリカ ニューヨーク州) | 出身地 | オマハ(アメリカ ネブラスカ州) |
12年ロンドン五輪ベスト8 | アマチュア実績 | 06年全米ゴールデングローブ大会準優勝 06年全米選手権準優勝 07年全米選手権3位 |
147戦135勝12敗 ※アマ時代はウェルター級(-69㎏) |
アマチュア戦績 | 70戦58勝12敗 ※アマ時代はライト級(-60㎏) |
2012年11月 | プロデビュー | 2008年3月 |
WBAスーパー、WBC、IBFウェルター級王座 | 獲得世界王座 | WBOライト級王座 WBA、WBC、IBF、WBO S・ライト級王座 WBOウェルター級王座 |
28戦全勝(22KO) | プロ戦績 | 39戦全勝(30KO) |
79% | KO率 | 77% |
7戦全勝(4KO) | 世界戦の戦績 | 17戦全勝(14KO) |
2022年4月(10回TKO勝ち) | 直近の試合 | 2022年12月(6回KO勝ち) |
177センチ/183センチ | 身長/リーチ | 173センチ/188センチ |
左ボクサーファイター型 | 戦闘スタイル | 左ボクサーファイター型 (右構えにスイッチすることも) |
デリック・ジェームス | トレーナー | ブライアン・マッキンタイア |
「ザ・トゥルース(本物)」 | ニックネーム | 「ハンター」「Bud」 |
資料⑤
<主要4団体の世界王座を自力で統一した選手>
選手 | 達成年 | 階級 |
①バーナード・ホプキンス(アメリカ) | 2004年 9月 | ミドル級 |
②テレンス・クロフォード(アメリカ) | 2017年 8月 | スーパー・ライト級 |
③オレクサンデル・ウシク(ウクライナ) | 2018年 7月 | クルーザー級 |
④テオフィモ・ロペス(アメリカ) | 2020年10月 | ライト級 |
⑤ジョシュ・テイラー(イギリス) | 2021年 5月 | スーパー・ライト級 |
⑥サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ) | 2021年11月 | スーパー・ミドル級 |
⑦ジャーメル・チャーロ(アメリカ) | 2022年 5月 | スーパー・ウェルター級 |
⑧デビン・ヘイニー(アメリカ) | 2022年 6月 | ライト級 |
⑨井上尚弥(大橋) | 2022年12月 | バンタム級 |
※ジャーメイン・テイラー(アメリカ)はホプキンスに勝って4団体王座を継承
※ロペスは「WBCフランチャイズ王座」を含む
※ジョージ・カンボソス(オーストラリア)はロペスに勝って4団体王座(WBCフランチャイズ王座含む)を継承
<ウェルター級トップ戦線の現状>
- WBAスーパー:エロール・スペンス(アメリカ)
WBA :エイマンタス・スタニオニス(リトアニア)
WBC :エロール・スペンス(アメリカ)
IBF :エロール・スペンス(アメリカ)
IBF暫定 :ジャロン・エニス(アメリカ)
WBO :テレンス・クロフォード(アメリカ)
現時点では3団体王者のエロール・スペンス(33=アメリカ)と、3階級制覇の実績を持つWBO王者のテレンス・クロフォード(35=アメリカ)がウェルター級の双璧であることは間違いない。各メディアの「パウンド・フォー・パウンド」ランキングでも、このふたりがトップ5から漏れることはまずないだろう。スペンスの交通事故や網膜剥離で直接対決は遠のいたかと思われる時期もあったが、並走して5年、ついに頂上決戦が実現する。その間、両雄とも強敵相手に勝利を重ねてきたのだから、やはり総合力は群を抜いているということだ。
ただ、両陣営が牽制し合っているうちにジャロン・エニス(26=アメリカ)が台頭してきたことを忘れてはならない。クロフォードよりも9歳、スペンスよりも7歳若く、体格にも恵まれた才能の塊は今年1月、IBFの暫定王座を獲得して両王者にプレッシャーをかける立場になった。この勢いのまま突っ走れば、来年のいまごろは天下を取っている可能性さえある。スペンス対クロフォードをリングサイドで観戦するであろう、このスイッチヒッターの今後に要注目だ。
エニスと同じように期待を集めているバージル・オルティス(25=アメリカ)は19戦全KO勝ちのハードパンチャーだが、エイマンタス・スタニオニス(28=リトアニア)への指名挑戦を自分の体調の問題で今年4月、7月と2度もキャンセルしてしまったことが惜しまれる。
キース・サーマン(34=アメリカ)、ヨルデニス・ウガス(37=キューバ)、マリオ・バリオス(28=アメリカ)ら王者経験者がランキングに名を連ねているが、トップ3――スペンス、クロフォード、エニス――との差は小さくない。
WBC世界バンタム級王座決定戦 ノニト・ドネア対アレハンドロ・サンティアゴ
再起戦で返り咲き狙う「フィリピンの閃光」
タフで執拗なサンティアゴに苦戦の可能性も
今年1月、井上尚弥(大橋)が4団体のバンタム級王座すべてを返上してスーパー・バンタム級に転向。それに伴い空位になったWBC王座を元5階級制覇王者で現WBC1位のノニト・ドネア(40=フィリピン)と4位のアレハンドロ・サンティアゴ(27=メキシコ)が争う。ドネアは2011年(WBC、WBO)、2018年(WBA)、2021年(WBC)にバンタム級で世界王座を獲得しており、今回勝てば4度目の戴冠となる。オッズは11対8でドネア有利と出ているが、タフで執拗なタイプのサンティアゴに苦戦する可能性もある。
25度の世界戦 5階級制覇の実績を持つ40歳のドネア
ドネアは昨年6月、自身の持つWBC王座と井上が持つWBA、IBF王座をかけて対戦。初回にダウンを喫して早々と追い込まれ、2回に連打から左フックを浴びて再びダウン、レフェリー・ストップによるTKOで敗れた。22年に及ぶプロ生活のなかでワーストに位置づけられる完敗だった。井上が強すぎたともいえたが、ドネア自身の衰えを指摘する声があったのも事実だ。5ヵ月後に40歳を迎え、そこからさらに8ヵ月の期間をおいて再びリングに上がるわけだが、まずはどんなコンディションに仕上げてくるのか注目したい。
別表のとおりドネアは2007年にフライ級で世界王座を獲得し、スーパー・フライ級、バンタム級、スーパー・バンタム級、フェザー級と体重を上げて5階級制覇を成し遂げた。さすがにフェザー級では体格のハンディキャップが大きかったが、2018年に再びバンタム級に下げてきた際はさらに驚かされたものだ。以後、118ポンド(53.5キロ)に定着して2度の戴冠を果たしている。25度の世界戦を含む戦績は49戦42勝(28KO)7敗。
アンカハスと引き分け ラッセルを追い込んで存在感示したサンティアゴ
サンティアゴは2012年12月、16歳でプロデビューしている。30歳になったドネアがホルヘ・アルセ(メキシコ)を3回KOで屠るなど全盛期を迎えたころだ。それまでノーマークに近い存在だったサンティアゴが注目されたのは2018年9月、ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)の持つIBF世界スーパー・フライ級王座に挑んで引き分けたときだ。これで自信を増したサンティアゴはドネア対ウバーリの前座で2回KO勝ちを収めるなど8連勝(6KO)をマークしてランキングに定着。2021年11月にはゲイリー・アントニオ・ラッセル(アメリカ)との世界ランカー対決に臨んだが、10回判定負けに終わった。敗れはしたものの後半は18戦無敗の王者候補を相手に優勢を印象づけており、評価が下がることはなかった。むしろバンタム級ランカーたちを警戒させることになったはずだ。
ラッセル戦後は世界挑戦経験者のダビド・カルモナ(メキシコ)、アントニオ・ニエベス(アメリカ)らを相手に3連勝を収めている。戦績は35戦27勝(14KO)3敗5分。引き分けが多く一度もKO負けがないことからもサンティアゴの輪郭がイメージできるのではないだろうか。
ドネアのパワーが生きるか サンティアゴの揺さぶりが効くか
左フックという切り札を持つドネアがプレッシャーをかけ、サンティアゴが前後左右に揺さぶりをかけながら飛び込むチャンスをうかがう展開になりそうだ。ドネアの圧力が効いて相手を正面に立たせることができれば持ち前のパワーが生きてくるものと思われるが、逆に小柄なサンティアゴに先に動かれて的を絞れない状況に陥ることも考えられる。距離とタイミングが合わずにドネアが攻めあぐね、雑なボクシングになるようだとポイントがサンティアゴに流れる可能性がある。
<ノニト・ドネア 全世界戦>
- 2007年 7月 7日 ビック・ダルチニャン ○5回TKO
(IBF世界フライ級王座獲得)
12月 1日 ルイス・マルドナド ○8回TKO 防①
2008年11月 1日 モルティ・ムザラネ ○6回TKO 防②
2009年 4月19日 ラウル・マルチネス ○4回TKO 防③
8月15日 ラファエル・コンセプション ○12回判定
(WBA暫定世界スーパー・フライ級王座獲得)
2010年 7月10日 エルナン・マルケス ○8回TKO 防①
2011年 2月19日 フェルナンド・モンティエル ○2回TKO
(WBC、WBO世界バンタム級王座獲得)
10月22日 オマール・ナルバエス ○12回判定 防①
2012年 2月 4日 ウィルフレド・バスケス・ジュニア ○12回判定
(WBO世界スーパー・バンタム級王座獲得)
7月 7日 ジェフェリー・マセブラ ○12回判定 防①
(IBF世界スーパー・バンタム級王座吸収 ⇒ IBF王座返上)
10月13日 西岡利晃 ○9回TKO 防②
12月15日 ホルヘ・アルセ ○3回KO 防③
2013年 4月13日 ギジェルモ・リゴンドー ●12回判定
(WBO世界スーパー・バンタム級王座失う)
2014年 5月31日 シンピウェ・ベチェカ ○5回負傷判定
(WBA世界フェザー級スーパー王座獲得)
10月18日 ニコラス・ウォータース ●6回TKO
(WBA世界フェザー級スーパー王座失う)
2015年12月11日 セサール・フアレス ○12回判定
(WBO世界スーパー・バンタム級王座獲得)
2016年 4月23日 ゾルト・ベダック ○3回TKO 防①
11月 5日 ジェシー・マグダレノ ●12回判定
(WBO世界スーパー・バンタム級王座失う)
2018年 4月21日 カール・フランプトン ●12回判定
(WBO世界フェザー級暫定王座決定戦)
11月 3日 ライアン・バーネット ○4回終了TKO
(WBA世界バンタム級スーパー王座獲得)
2019年 4月27日 ステファン・ヤング ○6回KO 防①
11月 7日 井上尚弥 ●12回判定
(WBA世界バンタム級スーパー王座失う)
2021年 5月29日 ノルディーヌ・ウバーリ ○4回KO
(WBC世界バンタム級王座獲得)
12月11日 レイマート・ガバリョ ○4回KO 防①
2022年 6月 7日 井上尚弥 ●2回TKO
(WBC世界バンタム級王座失う)
―― 25戦19勝(13KO)6敗 ――
<TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表>
ドネア | 名前 | サンティアゴ |
1982年11月16日/40歳 | 生年月日/年齢 | 1996年2月7日/27歳 |
タリボン(フィリピン ボホール島) | 出身地 | ティファナ(メキシコ バハカリフォルニア州) |
2000年全米選手権優勝 | アマチュア実績 | |
86戦78勝(8KO)8敗 | アマチュア戦績 | |
2001年2月 | プロデビュー | 2012年12月 |
IBF フライ級 WBA暫定 S・フライ級 WBA、WBC、WBOバンタム級 IBF、WBO S・バンタム級 WBA フェザー級 |
獲得世界王座 | |
49戦42勝(28KO)7敗 | 戦績 | 35戦27勝(14KO)3敗5分 |
57% | KO率 | 40% |
25戦19勝(13KO)6敗 | 世界戦の戦績 | 1戦1引分 |
171センチ/174センチ | 身長/リーチ | 159センチ/166センチ |
右ボクサーファイター型 | 戦闘スタイル | 右ボクサーファイター型 |
「フィリピーノ・フラッシュ」 | ニックネーム | 「Peque(小さい人)」 |
<バンタム級トップ戦線の現状>
- WBA:井上拓真(大橋)
WBC:空位 ※決定戦 ドネア対サンティアゴ
IBF :空位 ※決定戦 エマヌエル・ロドリゲス対メルビン・ロペス
WBO:ジェイソン・マロニー(オーストラリア)
昨年12月に井上尚弥(大橋)が4団体の王座を統一したが、1ヵ月後にすべてを返上してスーパー・バンタム級に転向。それを受け4団体はそれぞれ上位者同士で王座決定戦を組み、すでにWBAは井上拓真(27=大橋)、WBOはジェイソン・マロニー(32=オーストラリア)が後継王者の座に収まっている。井上尚弥の弟でもある井上拓真はWBC暫定王座に続いて2度目の戴冠で、井上尚弥に7回KO負けを喫しているマロニーは3度目の挑戦で悲願を成し遂げたことになる。
今回、WBC王座決定戦に出場するノニト・ドネア(40=フィリピン)は5階級制覇の実績を持つレジェンドだが、昨年6月には井上尚弥に痛烈な2回TKO負けを喫しており、これが再起戦となる。経験値をはじめ総合的な戦力ではアレハンドロ・サンティアゴ(27=メキシコ)の上を行くが、年齢と井上戦のダメージ、1年1ヵ月の空白が気になる。
IBF王座の決定戦は元王者のエマヌエル・ロドリゲス(30=プエルトリコ)とメルビン・ロペス(25=ニカラグア)のカードが内定している。ロペスは8連勝(7KO)と好調だが、昨年10月にゲイリー・アントニオ・ラッセル(30=アメリカ)に完勝して評価が再上昇したロドリゲスに分がありそうだ。
ビンセント・アストロラビオ(26=フィリピン)に競り勝ってWBO王座を獲得したマロニーは28戦26勝(19KO)2敗の戦績を残している実力者で、まだ多少の上乗せが期待できそうだ。
このほか元スーパー・フライ級王者のジェルウィン・アンカハス(31)、元WBC暫定王者のレイマート・ガバリョ(26)、マロニーに惜敗したアストロラビオのフィリピン勢、2度目の世界挑戦を視野に入れている石田匠(31=井岡)、15連続KOの日本タイ記録を持つ元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(27=志成)、パンチ力が売りの栗原慶太(30=一力)、WBOアジアパシフィック王者の西田凌佑(26=六島)、さらに日本王者の堤聖也(27=角海老宝石)ら日本勢の動きにも要注目だ。
【番組オフィシャルサイト】
https://www.wowow.co.jp/sports/excite/
【エキサイトマッチ公式Twitter】
https://twitter.com/Excite_Match
【WOWOWofficial YouTube】
https://www.youtube.com/user/WOWOWofficial
エロール・スペンス 写真:AP/アフロ、テレンス・クロフォード、ノニト・ドネア、アレクサンドロ・サンティアゴ Getty Images