WBA世界バンタム級挑戦者決定戦 ノニト・ドネア対増田陸
戦う伝説 vs 槍の左
堤聖也への挑戦権をかけた試合
フライ級からフェザー級までの5階級で世界王者になった実績を誇るノニト・ドネア(43=フィリピン/アメリカ)と、プロ10戦のキャリアながら4人の世界ランカーとの対戦経験があるサウスポーの増田陸(28=帝拳)が、堤聖也(30=角海老宝石)の持つWBA世界バンタム級王座への最優先挑戦権をかけて拳を交える。
25年超のキャリアで52戦を経験しているドネア
ドネアは2001年2月に18歳でプロデビューしてから25年以上のキャリアを持つ。2007年にIBF世界フライ級王座を獲得したのに始まり、2025年6月にWBA暫定世界バンタム級王座に就くなど長い間、世界のトップを走ってきた「戦う伝説」だ。さすがに30代後半以降は井上尚弥(33=大橋)に2敗するなど負けが目立つようになった。それでも昨年12月には堤をあと一歩というところまで追い込んだように底力はある。
主武器は左フックだが、右ストレートや左右のアッパー、ボディ打ちも巧みで強い。勝てば堤への再挑戦切符が手に入るだけにモチベーションは高いものがある。戦績は52戦43勝(28KO)9敗。
世界ランカー4人と対戦している増田
一方の増田は2022年7月にプロデビューし、4戦目には堤の持つ日本バンタム級王座に挑戦。中盤以降に巻き返しを許して惜敗したが、以後は6連勝(5KO)と調子を上げている。再起戦でジョナス・スルタン(フィリピン)を1回KO、昨年6月にミチェル・バンケス(ドミニカ共和国)を同じく1回KO、そして11月にホセ・カルデロン(メキシコ)に5回負傷判定勝ち。堤戦を含め世界ランカー4人と手合わせするなど10戦(9勝8KO1敗)の中身は濃厚だ。
169㎝、リーチ175㎝の体格から繰り出される槍のような左ストレートが絶対的な武器だが、お膳立てをする右の使い方も巧みになってきた。
オッズは13対8で増田有利
WBA1位にランクされるドネアは「何が起こっても対応できるようにトレーニングしてきた。サウスポーとは試合でもスパーリングでも数多く対峙してきたので苦手意識はない。増田の左がとんでもない威力の危険なパンチであることは知っているが、私には25年のキャリアがある」と自信を口にしている。
これに対し増田は「今回の試合を決めてくれたことに感謝している。ドネアは左フックに限らずどのパンチも強いので被弾しないようにしたい。勝ってアピールしたい」と意気込んでいる。
勝って堤との再戦に駒を進めたい両者だが、海外のスポーツブックのオッズは13対8、増田有利と出ている。
<バンタム級トップ戦線の現状>
WBA:堤聖也(角海老宝石)
休養 :アントニオ・バルガス(アメリカ)
WBC:井上拓真(大橋)
IBF :ホセ・サラス・レイジェス(メキシコ)
WBO:クリスチャン・メディナ(メキシコ)
この数年、バンタム級トップ戦線は日本人選手を軸として激動状態が続いている。WBAは昨秋、休養王者だった堤聖也(3角海老宝石)が正規王者に復帰し、アントニオ・バルガス(29=アメリカ)は休養王者にスライド。暫定王者だったノニト・ドネア(43=フィリピン/アメリカ)は12月に堤に惜敗して無冠に戻った。バルガスは6月13日(日本時間14日)にジェシー・ロドリゲス(26=アメリカ)の挑戦を受けることになっている。王者交代の可能性が高いカードだ。ロドリゲスは井上拓真(30=大橋)、井上尚弥(大橋=4団体統一世界スーパー・バンタム級王者)との対戦も望んでいると伝えられるだけに、まずはバルガス戦に注目したい。
IBF王者のホセ・サラス・レイジェス(24=メキシコ)は手数の多いサウスポーで、戦績は17戦全勝(11KO)。打たれ強さなど試されていない部分はあるが、伸びしろはありそうだ。6月6日、IBF3位のケネス・ラバー(23=フィリピン)と6位のマイケル・アンジェレッティ(29=アメリカ)が対戦する予定になっている。17戦全勝(12KO)のラバー、14戦全勝(8KO)のアンジェレッティ。勝者がサラスへの挑戦者に名乗りを挙げることになりそうだ。
武居由樹(29=大橋)からWBO王座を奪ったクリスチャン・メディナ(26=メキシコ)は今年2月に初防衛に成功。一時はジェシー・ロドリゲスと対戦という噂も出ていたが、具体化しなかったようだ。
那須川天心(27=帝拳 ※6月22日にファン・フランシスコ・エストラーダ戦を放送・配信)、増田陸(28=帝拳)、秋次克真(28=日本/アメリカ ※ホセ・カルデロン戦を6月22日に放送・配信)、WBC2位にランクされるアンドリュー・ケイン(29=イギリス)にも要注目だ。
WBA世界ミニマム級タイトルマッチ
松本流星対高田勇仁
消化不良の5回負傷判定から半年
ダイレクトリマッチで決着へ
昨年9月、松本流星(28=帝拳)と高田勇仁(27=ライオンズ)は名古屋でWBA世界ミニマム級王座決定戦として拳を交え、5回負傷判定勝ちで松本が戴冠を果たした。偶然のバッティングで高田が昏倒、続行不可能となったものだが、5回途中までの採点は50対45、50対45、50対46でジャッジ三者とも松本が優勢だった。不可抗力とはいえ戦った両選手、ファンにとって消化不良の印象は拭えず、ダイレクトリマッチで完全決着をつけることになった。
松本はアマチュアを経て2023年2月にプロデビューし、4戦目に日本ミニマム級王座を獲得した。ちなみにこの王座は高田が返上したものだった。国内王座獲得から1年後に現在の王座を獲得した。サウスポーのボクサーファイター型で、プレッシャーをかけたり自ら動いたりしながら主導権を握り、左を中心とした強打を顔面とボディに打ち分けることが多い。試合を前に「進化した自分を見られるのが楽しみ」と話している。戦績は7戦全勝(4KO)。
挑戦する立場の高田は対照的に挫折を繰り返しながら這い上がってきたタイプだ。2015年から2021年までの戦績は19戦8勝(3KO)8敗3分だったが、2022年以降は日本王座とWBOアジアパシフィック王座を獲得するなど松本戦前まで8連勝(3KO)をマークしていた。右のボクサーファイター型で、右ストレート、アッパーが主武器といえる。「前回は前に出られなかったので、今回は自分から前に出て攻める」と意気込んでいる。戦績は28戦16勝(6KO)9敗3分。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
エキサイトマッチSP
WBA世界バンタム級挑戦者決定戦
ノニト・ドネア vs 増田陸
WBA世界ミニマム級タイトルマッチ
松本流星 vs 高田勇仁
SPゲスト:増田陸/松本流星
6/8(月)午後9:00
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(C)Naoki Fukuda(写真左より)ノニト・ドネア、増田陸、松本流星、高田勇仁