WBA、WBO世界スーパー・ウェルター級王座統一戦 ザンダー・ザヤス対アバス・バラオウ
ともに昨夏に戴冠
ザヤスにスピードと地の利
昨年7月に決定戦を制してWBO世界スーパー・ウェルター級王座を獲得したザンダー・ザヤス(23=プエルトリコ)と、同じく昨年8月に戴冠を果たしたWBA同級王者のアバス・バラオウ(31=ドイツ)が、王座統一と初防衛をかけて拳を交える。オッズは約4対1、地元開催という地の利とスピードで勝るザヤスが有利とみられている。
プエルトリコのエース候補 ザヤス
ウィルフレド・ゴメス、フェリックス・トリニダード、ミゲール・コットといった強打とスキルを併せ持ったスーパー王者を輩出してきたプエルトリコの新たなスター候補、ザヤスはスピードと若さを売りにするボクサーファイターだ。大先輩たちのようなパンチ力はないが、リング上での躍動感は観戦者に訴えかけるものがある。
2019年10月、17歳になってすぐにプロデビューし、6年間に22戦全勝(13KO)の戦績を残している。トップランク社が慎重なマッチメークを施してきたのは事実だが、直近の2年は元世界王者のパトリック・テイシェイラ(ブラジル)、元世界ランカーのダミアン・ソーサ(メキシコ)、世界ランカーのスラワ・スポーマー(キルギス/ドイツ)、そして王座決定戦でホルヘ・ガルシア(メキシコ)を下しており、着実に力をつけてきている。
西アフリカのトーゴにルーツを持つバラオウ
対するバラオウは西アフリカのトーゴ出身の両親のもとにドイツで生まれたが、9歳まではトーゴで過ごした。その後、ドイツに戻りアマチュアで活躍するようになった。ドイツ国内選手権で3度優勝のほか2017年には欧州選手権優勝、世界選手権3位という実績を残している。
2018年4月にプロデビューし、8ヵ月後には元世界王者のカルロス・モリナ(メキシコ)に12回判定勝ちを収めてWBCインターナショナル王座を獲得。2020年8月に元世界王者のジャック・クルカイ(エクアドル/ドイツ)に僅少差の判定負けを喫したのが唯一の黒星だ。以後はヨエニス・テレス(キューバ)に勝って戴冠を果たした試合を含め8連勝(3KO)を収めている。両ガードを高くした構えで相手に対峙し、正面からじわじわとプレッシャーをかけていくことが多い。スピードとパワーは平均の域を出ないが、中近距離になると左フックの上下打ち、右フック、右アッパーとパンチは多彩だ。
2年前にスパーリングで手合わせ
2年ほど前になるらしいが、両者はスパーリングで何度か手合わせしたことがあるという。ヘッドギアを着けて16オンスのグローブでのスパーリングだったが、バラオウは「ザヤスがどう動き、どう戦うか分かっている。もちろんスパーリングと試合が違うことは承知しているが自分の利点を生かして戦う」と話している。これはザヤスにも当てはまるはずだ。
ある程度の手の内を知っている者同士、しかも力量に大差がない選手同士の対戦ということで、本人の工夫はもちろんのこと陣営の策にも注目したい。
バラオウがガードを固めて正面からプレッシャーをかけ、ザヤスが左右にまわり込みながらコントロールしようと試みるものと思われる。ともに決定打に欠けるため長期戦が予想される。そうなるとスピードに加え地元開催という大きなアドバンテージがあるザヤスが断然有利になる。
<スーパー・ウェルター級トップ戦線の現状>
WBA:アバス・バラオウ(ドイツ)
暫定 :ジャロン・エニス(アメリカ)
WBC:セバスチャン・フンドラ(アメリカ)
暫定 :バージル・オルティス(アメリカ)
IBF :ジョシュ・ケリー(イギリス)
WBO:ザンダー・ザヤス(プエルトリコ)
6人もの世界王者が乱立しているが、実力NO,1はWBA暫定王者のジャロン・エニス(28=アメリカ)だろう。試合さえ決まれば4団体王座の統一は難しくないものと思われる。まずはWBC暫定王者のバージル・オルティス(27=アメリカ)との対戦が期待される。
WBC王者のセバスチャン・フンドラ(28=アメリカ)は身長197cm、リーチ203cmの規格外サウスポーで、当初は話題先行だったが、いまは実力も評価されている。現地3月28日に予定されるキース・サーマン(37=アメリカ)との3度目の防衛戦が楽しみだ。
IBF王座はバカラン・ムルタザリエフ(33=ロシア)からジョシュ・ケリー(31=イギリス)に持ち主が変わった。徹底したヒット&アウェーで際どいポイントをものにしての勝利だった。今回の勝敗とは別に地力はムルタザリエフの方が上とみるファンや識者は少なくない。
WBA王者のアバス・バラオウ(31=ドイツ)はガードを固めて距離を潰していくことが多い攻撃型で、スピードやパワーは平均の域を出ないが戦いにくいタイプといえる。そのバラオウと統一戦を行うWBO王者のザンダー・ザヤス(23=プエルトリコ)はスピードと若さが売りの選手。決め手に欠けるが、まだまだ成長の余地はある。
話題性という点ではティム・チュー(31=オーストラリア)とニキータ・チュー(28=オーストラリア)の兄弟がいる。すでに兄が親子世界王者となっているが、ここに兄弟世界王者としてニキータが加われるかどうか注目される。まだニキータは先物買いの印象が拭えず、地力そのものを上げていく必要がありそうだ。
WBC2位、IBF3位、WBO1位にランクされるブランドン・アダムス(36=アメリカ)は昨年9月、前WBC暫定王者のセルヒイ・ボハチュク(30=ウクライナ)に勝って再評価されたが、年齢的にみて多くを望むのは酷かもしれない。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
エキサイトマッチ~世界プロボクシング
WBA・WBO世界S・ウェルター級王座統一戦
ザンダー・ザヤス vs アバス・バラオウ
3/9(月)午後9:00
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