IBF世界バンタム級王座決定戦 ホセ・サラス・レイジェス対ランディ・ギーケ
23歳のサウスポー vs 南アの期待
オッズは6対1 サラス有利
中谷潤人(M.T)がスーパー・バンタム級に転向するために返上して空位になったIBF世界バンタム級王座の決定戦。3位にランクされる16戦全勝(10KO)のホセ・サラス・レイジェス(23=メキシコ)と、4位に名を連ねる18戦16勝(8KO)1敗1分のランディ・ギーケ(30=南アフリカ)。オッズは6対1、自国開催の利もあるサウスポーのサラス有利と出ている。
キャリア5年 成長途上のサラス
サラスは2020年11月にプロデビューした23歳のホープで、1970年代にメキシコで人気を博したテレビ番組のコメディ・ヒーロー「El Chapulin」(赤いバッタ)というニックネームを持つ。2022年まではリスクの小さい相手との試合が続いたが、翌2023年からは世界挑戦経験者のアストン・パリクテ(フィリピン)や元世界ランカーのルイス・グスマン(メキシコ)らと対戦。パリクテ戦は4回TKO勝ち、グスマン戦では大差の10回判定勝ちを収めてWBCユース王座を獲得している。現時点ではこの2勝が最も輝かしい実績だ。
170cmの長身サウスポーで、膝、上体、両腕を忙しく動かしてリズムをとり、細かく左右に移動して自分の距離と角度をつくることが多い。攻撃は左ストレート、右フックに加え左右のアッパーなど多彩だ。無駄な動きが多いのは事実だが、相手にとっては捕まえにくいタイプといえるかもしれない。世界の頂点に手が届くところにいるが、伸びしろを残した成長途上の選手という印象だ。
サウスポーとの対戦が多いギーケ
ギーケは2018年6月、のちの世界王者、プメレレ・カフ(南アフリカ)と4回引き分けでプロデビュー。翌年にスーパー・フライ級のABUアフリカ王座を獲得し、2022年4月には国内王座も手に入れた。その8ヵ月後、WBOインターコンチネンタル王座の決定戦に出場したが、ジェイアール・ラキネル(フィリピン)の左ストレートを直撃されてダウン、2回TKO負けを喫した。これが唯一の黒星だ。
再起戦でマイナー団体IBOのインターコンチネンタル王座を獲得後はバンタム級に転向。WBOグローバル王座、自国王座、WBOインターコンチネンタル王座、IBFインターナショナル王座などを獲得してランキングを上げてきた。興味深いのは敗れたラキネル戦を含めた直近8試合のうちサウスポーとの対戦が5試合もある点だ。元来はサウスポーが得意だからなのか、逆に苦手を克服するためなのか。
こちらも身長168cm、リーチ174cmと体格に恵まれている。両ガードを高く上げた構えから右ストレートを狙うボクサーファイター型で、今回が国外初試合となる。
動きながら手数で攻めるサラス ギーケは右狙いか
サウスポーのサラスが前後左右に忙しく動きながら多彩なパンチを放ち、ギーケが追いながら右ストレートを狙うという展開になりそうだ。ギーケは相手を正面に置いてパンチを出したいが、そう簡単にサラスの動きは止まらないだろう。サラスが手数で勝り、かつコンビネーションで攻め立て、受けに回り戸惑うギーケという構図が目に浮かぶ。
<2018年以降のIBF世界バンタム級王座の変遷>
エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)
⇓
井上尚弥(大橋) ※王座返上
⇓
エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ) ※決定戦
⇓
西田凌佑(六島)
⇓
中谷潤人(M.T) ※王座返上
⇓
サラスvsギーケ ※王座決定戦
<バンタム級トップ戦線の現状>
WBA:堤聖也(角海老宝石)
休養 :アントニオ・バルガス(アメリカ)
WBC:井上拓真(大橋)
IBF :空位 ※ホセ・サラス・レイジェス vs ランディ・ギーケ
WBO:クリスチャン・メディナ(メキシコ)
2025年を迎えるときには4人の日本人王者がベルトを独占していたが、この1年で様相は大きく変わった。
WBAでは目の手術をした堤聖也(30=角海老宝石)が休養王者から正王者に復帰し、暫定王者だったアントニオ・バルガス(29=アメリカ)が正王者に昇格後に戦線離脱し休養王者にスライド。6月に暫定王座についたノニト・ドネア(43=フィリピン/アメリカ)と堤が12月に団体内王座統一戦を行い、堤が小差の判定勝ち――その結果が現在の2王者体制である。
WBCは中谷潤人(28=M.T)がIBF王者の西田凌佑(29=六島)との統一戦を制して2団体のベルトを保持したが、秋に王座を返上。
それを受けWBCは那須川天心(27=帝拳)と井上拓真(30=大橋)で王座決定戦を行い、勝った井上が戴冠。IBFは今回のホセ・サラス・レイジェス(23=メキシコ)対ランディ・ギーケ(30=南アフリカ)の勝者を新王者として承認する予定だ。
WBOは9月に武居由樹(29=大橋)を4回TKOで破ったクリスチャン・メディナ(25=メキシコ)が新王者として君臨している。初防衛戦で元IBF世界ライト・フライ級王者のアドリアン・クリエル(27=メキシコ)を迎え撃つことが決まっている。
王者と同等の力量を備えているファン・フランシスコ・エストラーダ(35=メキシコ)、5階級制覇に向けて転級してきた井岡一翔(36=志成)、捲土重来を期す那須川、OPBF東洋太平洋王座に君臨する17戦全勝(12KO)のケネス・ラバー(22=フィリピン)、10戦9勝(8KO)1敗の増田陸(28=帝拳)、堤に惜敗したドネア、返り咲きを目指す武居の動向にも注目していきたい。
WBC世界クルーザー級タイトルマッチ
バドゥ・ジャック対ノエル・ミカエリアン
返り討ちのV2か 雪辱の奪還か
3対2 ミカエリアン有利のオッズ
バドゥ・ジャック(42=スウェーデン)とノエル・ミカエリアン
(35=アルメニア)は2025年5月に対戦し、ジャックが115対113、115対113、114対114の2-0判定で王座を防衛している。ジャックは2023年2月の戴冠以降、正王者⇒休養王者⇒正王者となっており、ミカエリアンは2023年11月の戴冠後、正王者⇒休養王者になっていた。つまり初戦は正王者に復帰したジャック対休養王者のミカエリアンという団体内統一戦でもあった。今回はジャックの王座にWBC1位のミカエリアンが挑む構図となる。
ジャックは北京五輪後の2009年にプロデビューした大ベテランで、スーパー・ミドル級、ライト・ヘビー級、そしてクルーザー級の3階級制覇王者として知られる。「The Ripper(切り裂き男)」という物騒なニックネームを持つが、テクニックや駆け引きを多用した技術戦が目立ち、競った試合が多いのも特徴だ。42歳になったが、2015年以降は年間1~2戦と試合数が少なくダメージと顕著な疲労蓄積は感じられない。
アルメニア出身のミカエリアンは20歳のときにドイツでプロデビューしたが、近年はアメリカのフロリダ州マイアミを活動拠点に
している。2023年11月、活動不活発になったジャックが休養王者に格下げされたのにともなう王座決定戦でイルンガ・マカブ(コンゴ民主共和国)に3回TKO勝ち、戴冠を果たした。ところが、このあとミカエリアン自身も相次ぐ試合延期やビジネス上のトラブルで試合枯れに陥ったためジャックと入れ替わりに休養王者にスライド。
2025年5月の試合は返り咲きを狙った試合でもあったが僅差で敗退した。
直接の再戦ということで、両者とも初戦からの積み上げは多くはないだろう。オッズは3対2でミカエリアン有利と出ている。ともに左ジャブから右に繋げる正攻法のボクシングが持ち味だけに、今回も競った試合になりそうだ。ジャックが勝つには被弾を最小限に抑えたヒット&アウェー策が有効だと思われる。一方、体格で勝るミカエリアンは王者を後退させるシーンを多くつくりたい。そこで印象点を稼げれば雪辱、返り咲きが現実味を帯びてくるはずだ。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
エキサイトマッチ~世界プロボクシング
IBF世界バンタム級王座決定戦
ホセ・サラス・レイジェス vs ランディ・ギーケ
WBC世界クルーザー級タイトルマッチ
バドゥ・ジャック vs ノエル・ミカエリアン
2/2(月)午後9:00
◆最新の放送・配信予定などはこちらから◆
【WOWOWエキサイトマッチ公式サイト】 https://www.wowow.co.jp/sports/excite/
【WOWOWエキサイトマッチ公式X】 https://x.com/Excite_Match
【WOWOWオンデマンド】 https://wod.wowow.co.jp/genre/boxing