4団体統一世界スーパー・バンタム級タイトルマッチ 井上尚弥対アラン・ピカソ
27度目の世界戦に臨む「モンスター」
挑戦者は33戦無敗の25歳
4団体統一世界スーパー・バンタム級王者、井上尚弥(32=大橋)がサウジアラビアのリヤドでWBC同級2位のアラン・ピカソ(25=メキシコ)を相手に防衛戦に臨む。
WBC王座とWBO王座は7度目、WBA王座とIBF王座は6度目の防衛戦となる。「THE RING V:NIGHT OF THE SAMURAI」と銘打たれた異国でのイベントのメインを務める。4階級制覇を成し遂げている「モンスター」にとっては今回が27度目の世界戦となる。
アフマダリエフ戦で評価を再び上げた井上
今年5月、井上はアメリカのネバダ州ラスベガスでラモン・カルデナス(アメリカ)の挑戦を受け8回TKO勝ちを収めたが、2回にはカウンターの左を浴びてダウンを喫するなど隙も見せた試合だった。しかし、9月にはWBA暫定王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)を一蹴している。あえてKOを狙わずにスピードとスキル、ボクシングIQの高さを見せつけての大差の12回判定勝ちだった。揺らいだ評価を再び高い次元で安定させたといっていいだろう。
26度の世界戦(26勝23KO)を含む31戦全勝(27KO)の戦績が示すように井上は極めて高い戦力を備えている。この1年のうちに2度のダウンを喫しはしたが、結果としてリカバリーや回復の仕方などで経験値を上げたともいえる。いずれも序盤でのハプニングだっただけに、今後は試合のなかで以前よりも時間をかけて相手の分析をすることになるはずだ。今回は若くて勢いのある挑戦者を迎えるため、序盤は慎重に構える可能性が高い。
中近距離での戦いを好む挑戦者ピカソ
ピカソはWBC2位にランクされるが、世界的な強豪との対戦経験は多くはない。最たる実績は2024年8月、世界挑戦経験者のアザト・ホバニシャン(アルメニア)を12回判定で下してWBCシルバー王座を獲得した試合であろう。今年7月にはラスベガスで行われたマリオ・バリオス(アメリカ)対マニー・パッキャオ(フィリピン)の前座に出場、亀田京之介(TMK/MR)に10回判定勝ちを収めている。
メキシコ国立自治大学の学生でもあるピカソは173cmの長身の右ボクサーファイター型で、中近距離での戦いを好む傾向がある。両ガードを高めに置いた構えから右ストレート、左右アッパー、左ボディブローなどを狙ってくることが多い。ディフェンスはブロッキングとスウェーが目立つ。8年9ヵ月で積み上げた戦績は33戦32勝(17KO)1分。決してKO率は高くないが、無敗の勢いと若さは不気味だ。
オッズは一方的なものが多く、ウィリアムヒルの単純勝敗オッズは50対1、Oddschecker.comは25対1で井上有利と出ている。
<歴代世界王者 世界戦勝利数>
| 31 | フリオ・セサール・チャベス(メキシコ) | ||
| 28 | オマール・ナルバエス(アルゼンチン) | ||
| 26 | ジョー・ルイス(アメリカ) | ※22KO | 26連勝 |
| フロイド・メイウェザー(アメリカ) | 26連勝 | ||
| 井上尚弥(大橋) | ※23KO=歴代最多 | 26連勝 | |
| 25 | リカルド・ロペス(メキシコ) | ||
| ダリウス・ミハエルゾウスキー(ポーランド/ドイツ) | |||
| オスカー・デラ・ホーヤ(アメリカ) | |||
| ウラディミール・クリチコ(ウクライナ) | |||
| サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ) | |||
| 24 | バージル・ヒル(アメリカ) | ||
| バーナード・ホプキンス(アメリカ) | |||
| ポンサクレック・ウォンジョンカム(タイ) | |||
| 23 | ロイ・ジョーンズ(アメリカ) | ||
| ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン) |
<井上尚弥 26度の世界戦の相手と結果>
★ライト・フライ級 2戦2勝(2KO)
| アドリアン・エルナンデス(メキシコ) | 〇6回TKO |
| サマートレック・ゴーキャットジム(タイ) | 〇11回TKO |
★スーパー・フライ級 8戦全勝(7KO)
| オマール・ナルバエス(アルゼンチン) | 〇2回KO |
| ワルリト・パレナス(フィリピン) | 〇2回TKO |
| ダビド・カルモナ(メキシコ) | 〇12回判定 |
| ペッチバンボーン・ゴーキャットジム(タイ) | 〇10回KO |
| 河野公平(ワタナベ=日本) | 〇6回TKO |
| リカルド・ロドリゲス(メキシコ/アメリカ) | 〇3回KO |
| アントニオ・ニエベス(アメリカ) | 〇6回終了TKO |
| ヨアン・ボワイヨ(フランス) | 〇3回TKO |
★バンタム級 9戦全勝(8KO)
| ジェイミー・マクドネル(イギリス) | 〇1回TKO |
| ファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国) | 〇1回KO |
| エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ) | 〇2回KO |
| ノニト・ドネア(フィリピン) | 〇12回判定 |
| ジェーソン・モロニー(オーストラリア) | 〇7回KO |
| マイケル・ダスマリナス(フィリピン) | 〇3回KO |
| アラン・ディパエン(タイ) | 〇8回TKO |
| ノニト・ドネア(フィリピン) | 〇2回TKO |
| ポール・バトラー(イギリス) | 〇11回KO |
★スーパー・バンタム級 7戦全勝(6KO)
| スティーブン・フルトン(アメリカ) | 〇8回TKO |
| マーロン・タパレス(フィリピン) | 〇10回KO |
| ルイス・ネリ(メキシコ) | 〇6回TKO |
| TJ・ドヘニー(アイルランド) | 〇7回TKO |
| キム・イェジュン(韓国) | 〇4回KO |
| ラモン・カルデナス(アメリカ) | 〇8回TKO |
|
ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン) |
〇12回判定 |
<井上尚弥の海外での試合>
| 2017年 9月9日 | アントニオ・ニエベス スーパー・フライ級 |
@カーソン (米国カリフォルニア州) |
〇6回終了TKO |
| 2019年 5月18日 | エマヌエル・ロドリゲス バンタム級 |
@グラスゴー (英国スコットランド) |
〇2回KO |
| 2020年10月31日 | ジェーソン・モロニー バンタム級 |
@ラスベガス (米国ネバダ州) |
〇7回KO |
| 2021年 6月19日 | マイケル・ダスマリナス バンタム級 |
@ラスベガス (米国ネバダ州) |
〇3回KO |
| 2025年 5月4日 | ラモン・カルデナス スーパー・バンタム級 |
@ラスベガス (米国ネバダ州) |
〇8回TKO |
| 2025年12月27日 | アラン・ピカソ スーパー・バンタム級 |
@リヤド (サウジアラビア) |
<TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表>
| 井上尚弥 | アラン・ピカソ | |
| 生年月日/年齢 | 1993年4月10日/32歳 | 2000年7月22日/25歳 |
| 出身地 | 座間市(日本 神奈川県) | ナウカルパン(メキシコ) |
| アマ実績 | 2011年世界選手権出場 | |
| アマ戦績 | 81戦75勝(48KO)6敗 | |
| プロデビュー | 2012年10月 | 2017年3月 |
| 戦績 | 31戦全勝(27KO) | 33戦32勝(17KO)1分 |
| KO率 | 87% | 52% |
| 世界戦 | 26戦全勝(23KO) | |
| 獲得世界王座 | WBC Lフライ級 WBO Sフライ級 4団体バンタム級 4団体Sバンタム級 |
|
| 身長/リーチ | 165cm/171cm | 173cm/178cm |
| 戦闘スタイル | 右ボクサーファイター型 | 右ボクサーファイター型 |
| ニックネーム | 「モンスター」 | 「El Rey(王者)」 |
<スーパー・バンタム級トップ戦線の現状>
WBA:井上尚弥(大橋)
WBC:井上尚弥(大橋)
IBF :井上尚弥(大橋)
WBO:井上尚弥(大橋)
全17階級(WBAとWBCは18階級)を見渡して暫定王者も休養王者もいない、つまり世界王者がひとりだけというクラスはこのスーパー・バンタム級だけだ。井上尚弥(32=大橋)が122ポンド(約55.3kg)を体重上限とする階級で追随する者がいない絶対的な存在であることが分かる。いや、特定の階級に限らず多くのメディアやファンが階級の枠を超えた最強ランキング、パウンド・フォー・パウンドのトップ3から漏れることはないと認識しているほどだ。今回の試合で勝利を収めれば世界戦27連勝となりジョー・ルイス(アメリカ)、フロイド・メイウェザー(アメリカ)を抜いて歴代単独トップに躍り出ることになる(別表参照)。140年に及ぶ近代ボクシングの歴史という縦軸においても、すでに特別な存在になっているのである。
そんな「モンスター」に迫る勢いなのが中谷潤人(27=M.T)だ。井上と同じくプロで31戦して、10度の世界戦(10勝9KO)を含めて31勝(24KO)を収めている。中谷はこの日のセミファイナルで世界ランカーのセバスチャン・エルナンデス(25=メキシコ)とスーパー・バンタム級転向初戦を行う予定になっている(中谷対エルナンデスは1月19日に放送・配信)。井上対中谷という垂涎のカードが2026年5月に計画されているが、両雄はすんなりとスーパーファイトに駒を進めることができるか。
この2強に続くのが今回、井上に挑むアラン・ピカソ(25=メキシコ)であろう。
さらに27戦全勝(20KO)のWBO2位、サウスポーのカール・マーティン(26=フィリピン)、井上からダウンを奪ったラモン・カルデナス(30=アメリカ)らが続く。2月に行われる西田凌佑(29=六島)対ブライアン・バスケス(30=メキシコ)のIBF挑戦者決定戦にも注目だ。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
エキサイトマッチSP
4団体統一世界S・バンタム級タイトルマッチ
井上尚弥 vs アラン・ピカソ
S・フェザー級8回戦
堤麗斗 vs レオバルド・クインタナ
1/12(月・祝)午後9:00
◆最新の放送・配信予定などはこちらから◆
【WOWOWエキサイトマッチ公式サイト】 https://www.wowow.co.jp/sports/excite/
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