WBO世界フェザー級タイトルマッチ ラファエル・エスピノサ対アーノルド・ケガイ
4連続KO防衛狙う超長身王者
耐えて好機を待てるか挑戦者
約57.1kgが体重上限のフェザー級で身長185cm、リーチ188cmという規格外の体格を持つWBO同級王者、ラファエル・エスピノサ(31=メキシコ)が、身長165cm、リーチ168cmのアーノルド・ケガイ(33=ウクライナ)の挑戦を受ける。2年前に王座を獲得後、3連続KO防衛を果たしているエスピノサが圧倒的有利と見られているが、7年以上も世界ランキングに名を連ねてきたケガイの執念も軽視できない。
戴冠から2年 試合ごとに評価上昇の王者
エスピノサはなんといっても飛び抜けた体格が目立つが、戦い方にも特徴がある。
恵まれた身長とリーチを生かしてロングレンジをキープした戦いもできるが、長い腕をコンパクトに畳んで繰り出す左右フックや釣り針を引っかけるようなアッパーも威力がある。距離を潰して接近戦を仕掛けてくる相手の作戦を見透かしての策といっていいだろう。これは身長197cm、リーチ203cmのWBC世界スーパー・ウェルター級王者、セバスチャン・フンドラ(アメリカ)と共通する戦い方といえる。
2年前にロベイシ・ラミレス(キューバ)を破って戴冠を果たしたときは短期政権を予想する声が多かったが、その1年後にラミレスを6回TKOで返り討ちにするなど3度の防衛を重ねて評価を上げている。この試合では、今年5月のエドワード・バスケス(アメリカ)戦の9対1を上回る16対1という大差のオッズが出ているほどだ。戦績は27戦全勝(23KO)、85パーセントという高いKO率を誇る。
各国を転戦しながら挑戦の機会を待ち続けたケガイ
挑戦者のケガイはキックボクシングやアマチュアボクシングを経て2015年10月にプロデビュー。2年間はロシアを主戦場としていたが、2018年以降はアメリカ、ドイツ、ウクライナ、UAE、スペインなどを転戦する状態が続いている。この間、のちの世界2階級制覇王者スティーブン・フルトン(アメリカ)と世界挑戦経験者のジョエト・ゴンザレス(アメリカ)には敗れたが、同じ世界挑戦経験者のビンセント・ロドリゲス(アルゼンチン)、エドゥアルド・バエス(アメリカ)らには勝っている。今年9月には元WBA世界スーパー・フライ級王者のリボリオ・ソリス(ベネズエラ)を下して今回の挑戦に繋げた。戦績は26戦23勝(14KO)2敗1分。
近距離でのボディ打ちに活路のケガイ 迎撃策のエスピノサ
これまでのエスピノサの対戦相手がそうだったようにケガイも距離を潰して接近戦を仕掛けることになりそうだ。幸いにもケガイは頑丈でガードも比較的堅い。その利点を生かして近距離で王者のボディを攻めることができれば勝機が広がりそうだ。そのうえで一番の武器といえる左フックをヒットできるかどうか。
ただ、ケガイがインサイドに入り込むことにエネルギーの多くを費やしてしまい、効果的なパンチを急所に打ち込めずに立ち止まってしまうようだと、これまでの挑戦者と同じようにエスピノサのアッパーやフックの餌食になる危険性が高くなるだろう。
<TALE OF THE TAPE> 両選手のデータ比較表
| ラファエル・エスピノサ | アーノルド・ケガイ | |
| 生年月日/年齢 | 1994年4月21日/31歳 | 1992年3月15日/33歳 |
| 出身地 | グアダラハラ(メキシコ ハリスコ州) | オデッサ(ウクライナ) |
| プロデビュー | 2013年2月 | 2015年10月 |
| 戦績 | 27戦全勝(23KO) | 26戦23勝(14KO)2敗1分 |
| KO率 | 85% | 54% |
| 世界戦 | 4戦全勝(3KO) | |
| 獲得世界王座 | WBOフェザー級 | |
| 身長/リーチ | 185cm/188cm | 165cm/168cm |
| 戦闘スタイル | 右ボクサーファイター型 | 右ボクサーファイター型 |
| ニックネーム | 「El Divino」 | 「Arni」 |
<主な世界王者たちの身長とリーチ>
| 選手 | 身長/リーチ |
| Sバンタム級 統一王者 井上尚弥(大橋) | 165cm/171cm |
| WBA・WBC・WBO1位 中谷潤人(M.T) | 173cm/174cm |
| フェザー級 WBA王者 ニック・ボール(イギリス) | 157cm/158cm |
| WBC王者 スティーブン・フルトン(アメリカ) | 169cm/179cm |
| IBF王者 アンジェロ・レオ(アメリカ) | 168cm/174cm |
| WBO王者 ラファエル・エスピノサ(メキシコ) | 185cm/188cm |
| Sフェザー級 WBC王者 オシャキー・フォスター(アメリカ) | 174cm/183cm |
| IBF王者 エドゥアルド・ヌニェス(メキシコ) | 168cm/173cm |
| WBO王者 エマヌエル・ナバレッテ(メキシコ) | 170cm/183cm |
| ライト級 WBA王者 ジャーボンテイ・デービス(アメリカ) | 166cm/171cm |
| WBC王者 シャクール・スティーブンソン(アメリカ) | 173cm/173cm |
| Sライト級 WBA王者 ゲイリー・アントゥアン・ラッセル(アメリカ) | 178cm/175cm |
| WBC王者 スブリエル・マティアス(プエルトリコ) | 173cm/180cm |
| IBF王者 リチャードソン・ヒッチンス(アメリカ) | 178cm/188cm |
| WBO王者 テオフィモ・ロペス(アメリカ) | 175cm/174cm |
| ウェルター級 WBC王者 マリオ・バリオス(アメリカ) | 183cm/180cm |
| WBO王者 ブライアン・ノーマン(アメリカ) | 173cm/183cm |
| Sウェルター級 WBC王者 セバスチャン・フンドラ(アメリカ) | 197cm/203cm |
| IBF王者 バカラン・ムルタザリエフ(ロシア) | 182cm/188cm |
| WBO王者 ザンダー・ザヤス(プエルトリコ) | 178cm/188cm |
| ミドル級 WBA王者 エリスランディ・ララ(キューバ/アメリカ) | 175cm/191cm |
| WBC王者 カルロス・アダメス(ドミニカ共和国) | 180cm/185cm |
| IBF&WBO王者 ジャニベク・アリムハヌリ(カザフスタン) | 182cm/182cm |
<フェザー級トップ戦線の現状>
WBA:ニック・ボール(イギリス)
暫定 :ミルコ・クェジョ(アルゼンチン)
WBC:スティーブン・フルトン(アメリカ)
暫定 :ブルース・カーリントン(アメリカ)
休養 :レイ・バルガス(メキシコ)
IBF :アンジェロ・レオ(アメリカ)
WBO:ラファエル・エスピノサ(メキシコ)
4人の正規王者に加え暫定王者2人、休養王者1人、計7人の世界王者が乱立しており、早期統一化が待たれる階級といえる。ただ、身長157cmのWBA王者ニック・ボール(28=イギリス)、身長185cmのWBO王者ラファエル・エスピノサ(31=メキシコ)と体格面で好対照な王者がおり、また16戦全勝(13KO)のミルコ・クェジョ(25
=アルゼンチン)、同じく16戦全勝(9KO)のブルース・カーリントン(28=アメリカ)と伸びしろを残した暫定王者がいるのも特徴といえよう。
3階級制覇を狙ってオシャキー・フォスター(アメリカ)の持つWBC世界スーパー・フェザー級王座に挑むスティーブン・フルトン(31=アメリカ)は、その結果によってはフェザー級を去る可能性もありそうだ。
IBF王者のアンジェロ・レオ(31=アメリカ)は昨年8月にルイス・アルベルト・ロペス(32=メキシコ)を左フック一発でKO。今年5月には来日して亀田和毅(34=TMK)を判定で退けている。このレオに対しては中野幹士(30=帝拳)とライース・アリーム(35=アメリカ)が挑戦権をかけて対戦することになっている。
2階級制覇を成し遂げている前WBC王者のブランドン・フィゲロア(28=アメリカ)、3階級制覇を目指しているルイス・ネリ(30=メキシコ)、前出の中野、亀田のほか阿部麗也(32=KG大和)、藤田健児(31=帝拳)、大湾硫斗(27=志成)ら日本勢もチャンスをうかがっている。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
エキサイトマッチ~世界プロボクシング
WBO世界フェザー級タイトルマッチ
ラファエル・エスピノサ vs アーノルド・ケガイ
11/16(日)午前10:00頃~ 先行ライブ配信
11/17(月)午後9:00
◆最新の放送・配信予定などはこちらから◆
【WOWOWエキサイトマッチ公式サイト】 https://www.wowow.co.jp/sports/excite/
【WOWOWエキサイトマッチ公式X】 https://x.com/Excite_Match
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