IBF世界ウェルター級挑戦者決定戦 リアム・パロ対デビッド・パポ

2階級制覇への足掛かりか
プロ12年の集大成か
前IBF世界スーパー・ライト級王者のリアム・パロ(29=オーストラリア)と、プロ12年のキャリアを誇るデビッド・パポ(34=フランス)がIBF世界ウェルター級王座への挑戦権をかけて戦う。IBF7位のパロが27戦26勝(16KO)1敗、8位のパポが31戦30勝(5KO)1分。サウスポー同士のカードだ。
プエルトリコで戴冠と王座転落を経験したパロ
2016年3月にプロデビューしたパロはスーパー・ライト級の国内王座やWBOユース王座、WBOグローバル王座、IBFインターナショナル王座などを獲得しながら世界ランキングを駆け上がってきた。昨年6月にはスブリエル・マティアス(プエルトリコ)の持つIBF世界王座に挑み、敵地のハンデを跳ね返して12回判定勝ちを収めた。
強打と打たれ強さに定評のある危険な王者を相手に先に動いて的を絞らせず、クリンチも効果的につかってフルランドを戦い抜き、116対111、115対112(二者)の明白な勝利を得た。
しかし、この王座は初防衛戦で手放してしまう。再びプエルトリコに飛んだパロはリチャードソン・ヒッチンス(アメリカ)に12回判定負けを喫したのだ。在位は半年に満たなかった。
再起戦は今年6月。スーパー・ライト級とウェルター級の中間のとなる約65.2kgの体重で戦い5回終了TKO勝ちを収めている。このあとIBFからパロとリンドルフォ・デルガド(メキシコ)にスーパー・ライト級挑戦者決定戦の指示が出されたが、パロ陣営は辞退。
ウェルター級への転向を選択し、今回のパポ戦を迎えることとなった経緯がある。戦績は27戦26勝(16KO)1敗。
ミドル級でも戦っていたパポ
一方のパポはアマチュアを経て2013年10月にプロデビュー。スーパー・ウェルター級の国内王座やマイナー団体IBAの王座、さらに昨年はウェルター級のWBOグローバル王座とIBFインターナショナル王座を獲得している。パロがスーパー・ライト級からウェルター級に上げてきたのに対し、パポはウェルター級からミドル級を主戦場にしてきたという違いがある。直近の3試合はウェルター級で戦っており、このクラスに定着した印象だ。戦績は31戦30勝(5KO)1分。この引き分けは2019年6月、アメリカのニューヨーク州ベローナで行われた元世界2階級制覇王者の息子、バディ・マクガート(アメリカ)戦でのもので、これは唯一のフランス国外での試合でもある。
パロのスピードか パポの体力か
ともにサウスポーだが、パロが動きながら左ストレート、右フック、さらに左カウンターを狙うタイプなのに対し、パポはややトリッキーな動きから握りの甘い右フック、接近して左アッパーを打つことが多い。パポはアクションは派手だが、16パーセントのKO率が示すとおりパワーには欠ける。
まずは序盤の主導権争いに注目したい。ミドル級から下げてきたパポの体力が生きるような展開になるのか、それとも下の階級から上げてきたパロのスピードが勝るのか。それによってジャッジのポイントの振り分けが決まりそうだ。
<ウェルター級トップ戦線の現状>
WBA:ローランド・ロメロ(アメリカ)
WBC:マリオ・バリオス(アメリカ)
IBF :ルイス・クロッカー(イギリス)
WBO:ブライアン・ノーマン(アメリカ)
4団体統一王者だったテレンス・クロフォード(アメリカ)が転級し、WBA王座とIBF王座を引き継いだジャロン・エニス(アメリカ)もスーパー・ウェルター級に転向したため、スター選手不在という状況になっている。唯一、WBO王者のブライアン・ノーマン(24=アメリカ)が"大物"の可能性を残しているが、戴冠前の試合で喫したダウンの印象が拭えないファンや関係者は少なくないはずだ。
11月22日に予定されているデビン・ヘイニー(26=アメリカ)戦で真価が問われることになるだろう。
同じことはIBF王者のルイス・クロッカー(28=イギリス)にもいえる。エニスが返上して空位になった王座を9月にパディ・ドノバン(26=アイルランド)と争って2対1の12回判定勝ちを収めて獲得したが、その半年前の初戦ではダウンを喫するなど大苦戦。ポイントを追いかける展開のなかドノバンの反則行為によって勝利を拾ったが、この先は茨の道が待っていそうだ。
WBA王者のローランド・ロメロ(29=アメリカ)、WBC王者のマリオ・バリオス(30=アメリカ)とも2階級制覇王者だが、ウェルター級では十分な実績を残しているとはいえない。
そのバリオスと7月に挑戦して引き分けたマニー・パッキャオ(46=フィリピン)は再戦を狙うのか、それともロメロへの挑戦を狙うのか、まだ確かな情報は揃っていない。
新顔組では17戦全勝(10KO)の東京五輪戦士、ロハン・ポランコ(26=ドミニカ共和国)、17戦16勝(14KO)1分のラウル・クリエル(29=メキシコ)、下のクラスから上げてきたリアム・パロ(29=オーストラリア)、さらに東京五輪銀メダリストのパット・マコーマック(30=イギリス)らがいる。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
エキサイトマッチ~世界プロボクシング
IBF世界ウェルター級挑戦者決定戦
リアム・パロ vs デビッド・パポ
10/13(月・祝)午後9:00
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