スーパー・フェザー級10回戦 オスカル・バルデス対リカルド・メディナ

元世界2階級制覇王者の再起戦
24歳の新鋭相手に内容が問われる試合
フェザー級とスーパー・フェザー級で世界一になった実績を持つオスカル・バルデス(34=メキシコ)が、昨年12月にエマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)に6回KO負けを喫して以来の再起戦に臨む。相手は19戦16勝(9KO)3敗の戦績を残しているリカルド・メディナ(24=アメリカ)。バルデスが圧倒的有利とみられているカードだけに勝利はもちろんのこと内容が問われる試合といえる。
13度の世界戦を経験しているバルデス
バルデスは2008年北京大会、2012年ロンドン大会と2度の五輪出場後に21歳でプロに転向。トップランク社のバックアップもあり2016年7月にWBO世界フェザー級王座を獲得し、これを6度防衛した。スーパー・フェザー級に転向後、2021年2月には長期政権を誇ったミゲール・ベルチェルト(メキシコ)を10回KOに屠ってWBC王座を奪取、2階級制覇を果たした。左フックを中心にした強打が売りの攻撃型だが、2022年以降は勢いが落ち、シャクール・スティーブンソン(アメリカ)に完敗、ナバレッテに2敗と直近の5戦は2勝3敗と武運に見放されている。もともと運動量の多い選手だけに34歳という年齢も気になるところだ。
13度の世界戦を含む戦績は35戦32勝(24KO)3敗。WBC14位にランクされている。
「El Castigo(罰)」と呼ばれるメディナ
対するメディナはアマチュアを経て2018年9月に17歳でプロデビュー。比較的イージーな相手と拳を交えて勝利を重ね、4年間に13連勝(7KO)をマークしたが、IBF北米王座をかけた初10回戦でのちのWBA世界フェザー級王者、レイモンド・フォード(アメリカ)に大差の判定で敗れた。再起して2勝したあと2連敗と状況は好転しなかったが、昨年12月に5連敗中の相手に3回TKO勝ちを収めている。
両腕を高く上げ、腰を落とした構えから右を狙うことが多く、ボクシングは正攻法といっていいだろう。「El Castigo(罰)」というニックネームを持っているが、その異名ほどの怖さは感じられない。ただ、まだ24歳と若く伸び盛りということもあり軽視することは危険だ。
地元のリング初登場のバルデスが圧倒か
プロ36戦目で初の地元(メキシコ ソノラ州ノガレス)での試合となるバルデスがプレッシャーをかけ、メディナがガードを固めながら迎え撃つ展開が予想される。メディナが右を効果的につかって元2階級制覇王者の前進を阻むことができれば接戦になる可能性もあるが、それは簡単な作業ではないだろう。
攻撃力や経験値で勝るバルデスがポイントを積み重ねていくものと思われるが、その展開のなかでどう山場をつくるのか、チャンス時に一気に攻め落とすことができるのか、そのあたりが注目点になりそうだ。
<オスカル・バルデスの全世界戦> ※13戦10勝(5KO)3敗
2016年7月23日 | マティアス・ルエダ (WBO世界フェザー級王座獲得) |
〇2回TKO | |
2016年11月5日 | 大澤宏晋 | 〇7回TKO | 防衛1 |
2017年4月22日 | ミゲール・マリアガ | 〇12回判定 | 防衛2 |
2017年9月22日 | ジェネシス・セルバニア | 〇12回判定 | 防衛3 |
2018年3月10日 | スコット・クィッグ | 〇12回判定 | 防衛4 |
2019年2月2日 | カーマイン・トマソーネ | 〇7回KO | 防衛5 |
2019年6月8日 | ジェイソン・サンチェス | 〇12回判定 | 防衛6 |
2021年2月20日 | ミゲール・ベルチェルト (WBC世界スーパー・フェザー級王座獲得) |
〇10回KO | |
2021年9月10日 | ロブソン・コンセイサン | 〇12回判定 | 防衛1 |
2022年4月30日 | シャクール・スティーブンソン (WBC世界スーパー・フェザー級王座失う=WBOとの統一戦) |
●12回判定 | |
2023年8月12日 | エマヌエル・ナバレッテ (WBO世界スーパー・フェザー級王座挑戦) |
●12回判定 | |
2024年3月29日 | リアム・ウィルソン (WBO暫定世界スーパー・フェザー級王座獲得) |
〇7回TKO | |
2024年12月7日 | エマヌエル・ナバレッテ (WBO世界スーパー・フェザー級王座統一戦=暫定王座失う) |
●6回KO |
<スーパー・フェザー級トップ戦線の現状>
WBA :ラモント・ローチ(アメリカ)
暫定 :ジェームス・ディケンス(イギリス)
WBC :オシャキー・フォスター(アメリカ)
IBF :エデュアルド・ヌニェス(メキシコ)
WBO :エマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)
群雄割拠といえば聞こえはいいが、実のところ階級を代表するような傑出した王者がいないのが現状だ。今年3月、WBA王者のラモント・ローチ(30=アメリカ)はジャーボンテイ・デービス(アメリカ)と引き分けて株を上げたが、6年前にジャメル・ヘリング(アメリカ)に完敗していることもあり、総合的に高い評価を与えるまでには至らない。同じことは東京五輪金メダリストのアルバート・バティルガジエフ(27=ロシア)を4回KOで破ってWBA暫定王者になったジェームス・ディケンス(34=イギリス)にもいえる。スーパー・バンタム級時代、ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)にアゴを割られて棄権した試合や、キッド・ガラハド(イギリス)の持つIBF世界フェザー級王座に挑んで血まみれの11回終了TKO負けを喫した試合が印象深い。
WBC王者のオシャキー・フォスター(32=アメリカ)は長身のスイッチヒッターで、一度は不可解な判定でロブソン・コンセイサン(36=ブラジル)に奪われた王座を4ヵ月足らずで奪回。10月25日には3階級制覇を狙うスティーブン・フルトン(31=アメリカ)の挑戦を受けることになっている。
IBF王者のエデュアルド・ヌニェス(28=メキシコ)は今年5月、力石政法(31=大橋)を下して空位になっていた王座を獲得。9月にはクリストファー・ディアス(30=アメリカ)を退けて初防衛を果たしているが、世界王者としての評価はまだ先になりそうだ。
3階級制覇を成し遂げているWBO王者、エマヌエル・ナバレッテ(30=メキシコ)は実績面では群を抜いている。しかし、直近の4戦は1勝1敗1分1無効試合となっており、かつての勢いと安定感を失っている印象だ。5月に無効試合となったチャーリー・スアレス(37=フィリピン)との再戦が正念場になりそうだ。
ランカーではフェザー級から上げてきたレイモンド・フォード(26=アメリカ)、2階級制覇の実績を持つオスカル・バルデス(34=メキシコ)、元IBF王者の尾川堅一(37=帝拳)、12月にディケンスとの対戦が予定されている堤駿斗(26=志成)、OPBF東洋太平洋王者の波田大和(28=帝拳)らがいる。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
エキサイトマッチ~世界プロボクシング
S・フェザー級10回戦
オスカル・バルデス vs リカルド・メディナ
10/6(月)午後9:00
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