WBOインターコンチネンタル スーパー・ウェルター級王座決定戦 ニキータ・チュー対ルルジム・イスマイリ

10戦全勝8KO vs 12戦全勝7KO
エリート・ファミリー チューに注目
父親と兄が世界王者経験者というエリート・ファミリーのニキータ・チュー(27=オーストラリア)が、マケドニア出身でドイツを活動拠点とするルルジム・イスマイリ(28=マケドニア)とWBOインターコンチネンタル スーパー・ウェルター級王座決定戦で拳を交える。IBF11位、WBO15位にランクされる10戦全勝(8KO)のチュー、「イーグル(鷲)」というニックネームを持つ12戦全勝(7KO)のイスマイリ。どちらに初黒星がつくのか。
父と兄が元世界王者のニキータ・チュー 地域王座を獲得して15傑入り
ニキータ・チューの父親、コンスタンチン・チュー(ロシア/オーストラリア)は元世界スーパー・ライト級王者で、4歳上の兄、ティム・チュー(オーストラリア)もWBO世界スーパー・ウェルター級王座に君臨したことがある。すでに史上7例目となる親子世界王者は達成済みだ。このニキータ・チューが世界王者になれば、レオン&マイケルのスピンクス兄弟、レオン&コーリーのスピンクス親子に続いて史上2例目となる。
2022年3月にプロデビューしたニキータ・チューはサウスポーのボクサーファイター型で、右腕を前に出した構えでフェイントをかけ、踏み込んで左ストレートを顔面、ボディに打ち分けることが多い。手数は多くないが、無駄打ちが少ないためパンチの命中率は高い。8戦目でオーストラリアの国内王座、10戦目にはIBFオーストラリア王座とWBOインターコンチネンタル王座を獲得(この王座はのちに返上)した実績があり、それが評価されて2団体で15傑入りを果たしている。しかし、防御面をはじめ課題は少なくなく、まだまだ成長途上といえる。
マケドニア出身でドイツ在住のイスマイリ
マケドニア共和国のテトヴォ出身のイスマイリは、現在の居住地であるドイツのレバークーゼンで2019年4月にプロデビュー。その後は故国マケドニアとドイツを中心に試合をこなしてきた。12連勝を収めてはいるが、勝ち越している選手との手合わせは2試合だけに留まっている。10回戦と8回戦が各一度で、今回が2度目の10回戦となる。左グローブを前に着き出しながら右ストレートを放つタイミングを計るボクサーファイター型だが、こちらも成長途上にあるといえる。
地元の声援を背にニキータ・チューが序盤から圧倒か
サウスポーのニキータ・チューが地元の声援に応えるべくフェイントをかけながらプレッシャーをかけて出るものと思われる。これに対しイスマイリがどんな反応をみせるのか。サウスポーとの対戦経験に不慣れで戸惑いをみせるようだと苦しい展開に追い込まれる可能性が高い。現時点の戦闘力に加え地の利があるニキータ・チューのKO勝ちが濃厚だ。
<おもな兄弟世界王者> ※史上40組以上
アルレドンド兄弟=リカルド&レネ(メキシコ)
スピンクス兄弟 =レオン&マイケル(アメリカ) ※レオンの息子コーリーも戴冠
ギャラクシー兄弟=カオサイ&カオコー(タイ) ※双子
クリチコ兄弟 =ビタリ&ウラディミール(ウクライナ)
マルケス兄弟 =ファン・マヌエル&ラファエル(メキシコ)
亀田兄弟 =興毅&大毅&和毅(日本) ※唯一の3兄弟戴冠
チャーロ兄弟 =ジャーモール&ジャーメル(アメリカ) ※双子
フランコ兄弟 =ジョシュア&ジェシー・ロドリゲス・フランコ(アメリカ)
井上兄弟 =尚弥&拓真(日本)
重岡兄弟 =優大&銀次朗(日本)
<親子世界王者> ※史上7組
エスパダス親子=グティ&ジュニア(メキシコ)
スピンクス親子=レオン&コーリー(アメリカ) ※兄弟&親子
バスケス親子 =ウィルフレド&ジュニア(プエルトリコ)
チャベス親子 =フリオ・セサール&ジュニア(メキシコ)
アリ親子 =モハメド&レイラ(アメリカ) ※父&娘
ユーバンク親子=クリス&ジュニア(イギリス)
チュー親子 =コンスタンチン(ロシア)&ティム(オーストラリア)
<スーパー・ウェルター級トップ戦線の現状>
WBA:テレンス・クロフォード(アメリカ)
暫定 :アバス・バロウ(ドイツ)
WBC:セバスチャン・フンドラ(アメリカ)
暫定 :バージル・オルティス(アメリカ)
IBF :バフラム・ムルタザリエフ(ロシア)
WBO:ザンダー・ザヤス(プエルトリコ)
このクラスは群雄割拠の状況といえる。しかも197cmの長身サウスポーのセバスチャン・フンドラ(27=アメリカ)を筆頭に個性派が多い点が特徴だ。そのフンドラは10月下旬に元WBA、WBC世界ウェルター級王者のキース・サーマン(36=アメリカ)を迎えて3度目の防衛戦を行う予定だ。23戦全勝(21KO)のWBC暫定王者、バージル・オルティス(27=アメリカ)は11月にサウスポーのエリクソン・ルビン(29=アメリカ)と対戦することが決まった。もともとルビンはIBF王者のバフラム・ムルタザリエフ(32=ロシア)への指名挑戦者として交渉のテーブルにつくはずだったが、方針転換してオルティス戦を選択したようだ。
ムルタザリエフは昨年10月にティム・チュー(30=オーストラリア)から4度のダウンを奪って3回TKOで圧勝。23戦全勝(17KO)とパンチがあって体も大きいため、今後も敬遠される傾向は続きそうだ。
7月の決定戦で勝って期待どおりWBO王座を獲得したザンダー・ザヤス(22=プエルトリコ)は、若くてスピードがあるスター候補といえる。ただ、本当の意味で試されていないことも多いため、評価を下すのはもう少し先になりそうだ。
チャンピオンたちが最も警戒しているのがウェルター級からの転向者、ジャロン・エニス(28=アメリカ)であろう。35戦34勝(30KO)1無効試合という戦績を誇る長身のスイッチヒッターは、10月に15戦14勝(10KO)1敗のウィスマ・リマ(32=アンゴラ)を相手に転級初戦を予定している。このリマはWBA、WBC、IBFで9位にランクされている。このほかクロフォードに善戦した前WBA王者イスライル・マドリモフ(30=ウズベキスタン)も返り咲きを狙っている。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
エキサイトマッチ~世界プロボクシング
WBOインターコンチネンタル S・ウェルター級王座決定戦
ニキータ・チュー vs ルルジム・イスマイリ
9/15(月・祝)午後9:00
◆最新の放送・配信予定などはこちらから◆
【WOWOWエキサイトマッチ公式サイト】 https://www.wowow.co.jp/sports/excite/
【WOWOWエキサイトマッチ公式X】 https://x.com/Excite_Match
【WOWOWオンデマンド】 https://wod.wowow.co.jp/genre/boxing
Getty Images