2階級制覇狙う42歳のパスカル
初戴冠狙う36歳のチェスラック

　正王者のバドゥ・ジャック（41＝スウェーデン）が戴冠から2年以上も防衛戦義務を果たしていなかったため設けられた暫定王座の決定戦（その後、ジャックは今年5月に初防衛に成功）。WBC10位のジャン・パスカル（42＝ハイチ／カナダ）はライト・ヘビー級に続く2階級制覇を狙い、チェスラックは3度目の世界挑戦で初戴冠を狙ってリングに上がる。オッズは4対1、アウェーのチェスラック有利と出ている。

経験豊富なパスカル 3度目の挑戦のチェスラック

　ハイチ出身のパスカルは幼少時に家族でカナダに移住。2004年アテネ五輪に出場するなどアマチュアで121戦103勝18敗の戦績を残し、2005年2月にプロデビューした。以後、20年を超すキャリアで46戦37勝（21KO）7敗1分1無効試合のレコードを収めている。この間、2009年にWBC世界ライト・ヘビー級王座、2019年に同級WBA暫定王座を獲得（のちにWBA正王者に昇格）。カール・フロッチ（イギリス）、チャド・ドーソン（アメリカ）、バーナード・ホプキンス（アメリカ＝2度）、ドミトリー・ビボル（キルギス／ロシア）、バドゥ・ジャックらを相手に12度の世界戦で6勝（1KO）5敗1分という数字を残している。コロナ禍のなか2年半のブランクをつくったこともあるが、2022年5月に戦線復帰。その後、2023年、2024年に各1試合を行っている。
　約90kgが体重上限のクルーザー級では身長179cm、リーチ183cmと小柄な部類に入るが、それを補うテクニック、試合運びの巧さがある。とはいえ、やはりこの階級ではパワー不足の印象は拭えない。
　チェスラックは身長190cm、リーチ201cmと大柄で、30戦27勝（21KO）2敗1無効試合の戦績が示すとおりパワーを前面に出して戦うタイプだ。2020年にコンゴ民主共和国、2022年にイギリスで世界王座に挑んだが、いずれも地元選手に中差の12回判定負けを喫している。しかし、その後は欧州クルーザー級王座を獲得するなど6連続KO勝ちと調子を上げてきている。

圧力をかけてくるチェスラックを捌けるか

　過去に2度、アウェーでの世界戦で敗れているチェスラックは先手を取るために序盤から飛ばしてくるものと思われる。大きな体を生かして正面からプレッシャーをかけ、得意とする右の打ち下ろしを中心に攻めて出るはずだ。これに対しパスカルは前後左右に動きながらカウンターを狙うことになる可能性が高い。パスカルが相手の圧力をかわし、タイミングのいい右ストレートや左フックで効率よく迎え撃つことができるかがカギといえる。チェスラックの馬力に押されロープ、コーナーに追い込まれるシーンが多くなるようだとパスカルは厳しくなる。