WBC、IBF世界バンタム級王座統一戦 中谷潤人対西田凌佑

「ビッグバン」 vs 「ブラックホール」
全勝の長身サウスポー対決
3階級制覇を成し遂げているWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(27=M.T)が、IBF王者の西田凌佑(28=六島)と互いのベルトをかけて戦った注目の一戦をセルフ解説というかたちで振り返る。
中谷はフライ級王者時代から他団体王者との統一戦を望んでいたが、実現しないままだった。スーパー・フライ級を経てバンタム級でも戴冠を果たし、今回、やっと念願の王者同士の対決が実現することになった。9度の世界戦(9勝8KO)の世界戦を含め30戦全勝(23KO)の戦績を誇り、KO率は軽量級では驚異的な77パーセントをマーク。バンタム級では最も高い評価を受けている。173cmの長身と174cmの恵まれたリーチを持つサウスポーのボクサーファイターで、長中短どの距離でも戦える万能型だ。昨年2月に6回TKO勝ちでWBCバンタム級王座を獲得すると1回KO、6回TKO、3回KOで挑戦者を退けており、死角は見当たらない。
IBF王者の西田はアマチュアを経て6年前にプロに転向した。3戦目に世界挑戦経験者の大森将平(ウォズ)に8回判定勝ちを収め、4戦目には元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(Ambition⇒志成)を破ってWBOアジアパシフィック王座を獲得。挑戦者決定戦を制したあと昨年5月にエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)を攻略して9戦目で世界王座を奪取した。初防衛戦では7回KO勝ちを収めている。こちらも身長170cm、リーチ173cmと体格に恵まれたサウスポーで、テクニックをベースに戦いつつ巧みなボディブローで相手を弱らせていくことが多い。
「ビッグバン」vs「ブラックホール」の対決だ。
<日本人同士の世界王座統一戦>
2012年6月 | ミニマム級 | WBC | 〇井岡一翔 | 12回判定 | WBA | ●八重樫東 |
2022年11月 | Lフライ級 | WBC | 〇寺地拳四朗 | 7回TKO | WBA | ●京口紘人 |
2025年3月 | フライ級 | WBC | 〇寺地拳四朗 | 12回TKO | WBA | ●ユーリ阿久井政悟 |
<中谷潤人 世界戦全戦績>※9戦全勝(8KO)
2020年11月6日 | ジーメル・マグラモ (WBO世界フライ級王座獲得) |
〇8回KO | |
2021年9月10日 | アンヘル・アコスタ | 〇4回TKO | 防衛1 |
2022年4月9日 | 山内涼太 | 〇8回TKO | 防衛2 |
2023年5月20日 | アンドリュー・モロニー (WBO世界スーパー・フライ級王座獲得) |
〇12回KO | |
9月18日 | アルヒ・コルテス | 〇12回判定 | 防衛1 |
2024年2月24日 | アレハンドロ・サンティアゴ (WBC世界バンタム級王座獲得) |
〇6回TKO | |
2024年7月20日 | ビンセント・アストロラビオ | 〇1回KO | 防衛1 |
10月14日 | ペッチ・ソー・チットパッタナ | 〇6回TKO | 防衛2 |
2025年2月24日 | ダビド・クェジャル | 〇3回KO | 防衛3 |
<西田凌佑 世界戦全戦績> ※2戦2勝(1KO)
2024年5月4日 | エマヌエル・ロドリゲス (IBF世界バンタム級王座獲得) |
〇12回判定 | |
12月15日 | アヌチャイ・ドンスア | 〇7回KO | 防衛1 |
<TALE OF THE TAPE>両選手のデータ比較表
<中谷潤人> | <西田凌佑> | |
生年月日/年齢 | 1998年1月2日/27歳 | 1996年8月7日/28歳(試合時) |
出身地 | 三重県東員町 | 奈良県香芝市 |
アマチュア戦績 | 16戦14勝2敗 | 50戦37勝13敗 |
プロデビュー | 2015年4月 | 2019年10月 |
獲得世界王座 | WBOフライ級 WBOスーパー・フライ級 WBCバンタム級 |
IBFバンタム級 |
戦績 | 30戦全勝(23KO) | 10戦全勝(2KO) |
KO率 | 77% | 20% |
世界戦の戦績 | 9戦全勝(8KO) | 2戦2勝(1KO) |
身長/リーチ | 173cm/174cm | 170cm/173cm |
戦闘スタイル | 左ボクサーファイター型 | 左ボクサーファイター型 |
<バンタム級トップ戦線の現状>
WBA:アントニオ・バルガス(アメリカ)
暫定 :ノニト・ドネア(フィリピン)
休養 :堤聖也(角海老宝石)
WBC:中谷潤人(M.T)
IBF :西田凌佑(六島)
WBO:武居由樹(大橋)
昨年5月から日本人が4団体王座を独占していたが、今年に入ってWBA王者だった堤聖也(29=角海老宝石)が眼疾のため休養王者にスライドし、代わりに暫定王者だったアントニオ・バルガス(28=アメリカ)が正王者に昇格。さらに空いた暫定王座には決定戦を制した大ベテランのノニト・ドネア(42=フィリピン)がついた。WBO王者の武居由樹(29=大橋)は初回KO勝ちでV2を果たしている。
ランキングを見渡してみても前WBA王者の井上拓真(29=大橋)、主要4団体すべてで上位にランクされる那須川天心(26=帝拳)、那須川のジムメートでもある増田陸(27=帝拳)、比嘉大吾(29=志成)と日本人選手が目立つ。フライ級、スーパー・フライ級に続く3階級制覇に照準を合わせているファン・フランシスコ・エストラーダ(35=メキシコ)も忘れてなるまい。
バンタム級10回戦
那須川天心対ビクトル・サンティリャン
那須川が世界ランカーと4度目の対戦
キックボクシングからプロボクシングに転向して2年2ヵ月。那須川天心(26=帝拳)が7戦目にして4度目の世界ランカーとの対戦に臨む。自身と同じサウスポーとの対戦は初めてとなる。
那須川はキックボクシングで42戦全勝(28KO)の戦績を残し、2023年4月にプロボクサーとしてデビュー。3戦目にルイス・ロブレス(メキシコ)、4戦目にジョナサン・ロドリゲス(プエルトリコ/アメリカ)、6戦目に前WBO王者のジェーソン・モロニー(オーストラリア)を下しており、現在はWBC1位、WBA2位、WBO2位、IBF4位にランクされている。近い将来の大舞台とその先を睨み、今回は初のサウスポーとの対戦となる。
WBA6位にランクされるサンティリャンは15戦14勝(5KO)1敗の戦績を残しているボクサーファイターで、2年前にWBA王座への挑戦権を賭けた試合で石田匠(井岡)に惜敗したのが唯一の敗北だ。ワンツーにアッパーを交えた攻撃に加え必要に応じてクリンチも多用するなど巧者としての一面も持っている。
バンタム級 (116ポンド≒53.6kg契約) 10回戦
増田陸対ミシェル・バンケス
「神の左」の継承者vs「南米の武器庫」
主要4団体すべてでバンタム級11位以内にランクされる増田陸(27=帝拳)が、WBA11位のミシェル・バンケス(34=ベネズエラ)と対戦する。近い将来の世界挑戦を見据える増田にとっては存在感を示す絶好の機会でもある。
8戦7勝(7KO)1敗の戦績が示すように増田はサウスポーのパンチャー型で、特に左ストレートの破壊力は凄まじいものがある。加えて最近は右ジャブや右フックにも成長のあとが見られ、着実に総合力を伸ばしてきている。2年前、のちの世界王者、堤聖也(角海老宝石)の持つ日本王座にプロ4戦目で挑んで小差の判定負けを喫したが、その後は4連続KO勝ちと勢いを増している。
バンケスは10年のプロキャリアで28戦23勝(15KO)5敗の戦績を残しているベテランで、2023年12月にWBA中南米王座を獲得した試合から主戦場をアルゼンチンに移している。両ガードをアゴの横に置きながら左ジャブを突いて前に出てくるボクサーファイター型で、「El Arsenal(エル・アルセナル=武器庫)」という異名を持っている。左ストレートという絶対的な切り札を持つ増田に対し、はたしてどんな武器で立ち向かうのか。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
エキサイトマッチSP
WBC・IBF世界バンタム級王座統一戦
中谷潤人 vs 西田凌佑
バンタム級10回戦
那須川天心 vs ビクトル・サンティリャン
8/11(月・祝)午後9:00
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(C)Naoki Fukuda