WBC世界ウェルター級タイトルマッチ マリオ・バリオス対マニー・パッキャオ

4年ぶりに戦線復帰の元6階級制覇王者
オッズは3対1 バリオス有利
元世界6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(46=フィリピン)が、約4年ぶりの復帰戦でいきなりWBC世界ウェルター級王者のマリオ・バリオス(30=アメリカ)に挑む。知名度や実績などでは圧倒的にパッキャオが勝っているが、はたして46歳の現在の力量はどうなのか。オッズは3対1、バリオス有利と出ている。
キャリア30年 72戦を経験しているパッキャオ
パッキャオは1995年1月に16歳でプロデビュー。このときは48kgだった。以後、19歳でフライ級王座を獲得したのに始まりスーパー・バンタム級、スーパー・フェザー級、ライト級、ウェルター級、スーパー・ウェルター級まで6階級で世界制覇を成し遂げてきた。10代、20代、30代、40代の4代にわたって王座に君臨するという離れ業もやってのけた。「パックマン」として知られ、世界的なスーパースターとしての地位を確立している。
ただ、公式戦での勝利は2019年7月のキース・サーマン(アメリカ)戦が最後で、その2年後に行ったヨルデニス・ウガス(キューバ)とのWBAタイトルマッチでは12回判定で敗れている。以来、約4年ぶりのリングとなる。
30年の驚異的なキャリアで築いた戦績は72戦62勝(39KO)8敗2分という見事なもの。ただ、2010年以降に限ってみれば17戦12勝(1KO)5敗という数字になる。当然のことだが、それ以前と比べて勝率とKO率が大きく下がっているのが現状だ。今回はそれに加えて年齢と4年のブランクがあり、状況は一層険しいと言える。
ディフェンスと打たれ強さに課題のバリオス
そんなパッキャオの挑戦を受けるバリオスは2013年11月にプロデビューし、2019年9月にWBA世界スーパー・ライト級王座を獲得。V2戦でジャーボンテイ・デービス(アメリカ)に王座を明け渡したが、2023年9月にウガスを圧倒してWBC暫定世界ウェルター級王座を手に入れている。その後、正王者に昇格しており、今回が3度目の防衛戦となる。身長183cmの長身ボクサーで、両ガードを比較的高く上げた構えから左ジャブを突いて距離をキープ。機を見て右ストレート、左フックに繋げることが多い。デービス戦では3度、昨年11月のアベル・ラモス(アメリカ)戦でも右を浴びてダウンを喫して大きなダメージを被っており、ディフェンスと打たれ強さには疑問符が付く。
バリオスが加点か パッキャオの左が炸裂か
もしも両者が全盛期に拳を交えたとしたらミスマッチになりかねない組み合わせだが、現在の戦力ではバリオスが上を行くと見るべきだろう。左ジャブを突いて距離をとり、パッキャオの踏み込みに合わせて右ストレートを当てることができればポイントを引き寄せることができそうだ。ただし、サウスポーに苦手意識があって相手の正面に立つ時間が長くなるとパッキャオの左を狙い撃たれる危険性が高まるかもしれない。オッズが示すようにバリオス有利は動かしがたいが、すべてはパッキャオ次第とも言える。
<パッキャオの戴冠履歴>
1998年12月 WBC世界フライ級王座獲得(19歳11ヵ月)
2001年6月 IBF世界スーパー・バンタム級王座獲得(22歳)
2008年3月 WBC世界スーパー・フェザー級王座獲得(29歳)
2008年6月 WBC世界ライト級王座獲得(29歳)
2009年11月 WBO世界ウェルター級タイトル獲得(30歳)
2010年11月 WBC世界スーパー・ウェルター級タイトル獲得(31歳)
2014年4月 WBO世界ウェルター級王座獲得(35歳)
2016年11月 WBO世界ウェルター級王座獲得(37歳)
2018年7月 WBA世界ウェルター級王座獲得(39歳)
2019年7月 WBA世界ウェルター級スーパー王座獲得(40歳)
<TALE OF THE TAPE> 両選手のデータ比較表
マリオ・バリオス | マニー・パッキャオ | |
生年月日/年齢 | 1995年5月18日/30歳 | 1978年12月17日/46歳 |
出身地 | サンアントニオ(アメリカ テキサス州) | キバウェ(フィリピン) |
アマチュア戦績 | 95戦75勝20敗 | 64戦60勝4敗 |
プロデビュー | 2013年11月 | 1995年1月 |
獲得世界王座 |
S・ライト級 ウェルター級 |
フライ級 S・バンタム級 S・フェザー級 ライト級 ウェルター級 S・ウェルター級 |
プロ戦績 | 32戦29勝(18KO)2敗1分 | 72戦62勝(39KO)8敗2分 |
KO率 | 56% | 54% |
世界戦の戦績 | 6戦4勝(1KO)1敗1分 | 26戦19勝(9KO)5敗2分 |
直近の試合 | 2024年11月(12回引き分け) | 2021年8月(12回判定負け) |
身長/リーチ | 183cm/180cm | 166cm/170cm |
戦闘スタイル | 右ボクサーファイター型 | 左ファイター型 |
ニックネーム | 「El Azteca」(アステカの戦士) | 「パックマン」「デストロイヤー」 |
<ウェルター級トップ戦線の現状>
WBA S :ジャロン・エニス(アメリカ)
:ローランド・ロメロ(アメリカ)
WBC :マリオ・バリオス(アメリカ)
IBF :空位
WBO :ブライアン・ノーマン(アメリカ)
IBF王者のジャロン・エニス(28=アメリカ)が今年4月にWBA王者のエイマンタス・スタニオニス(30=リトアニア)を6回終了TKOで一蹴して2団体王座を統一したばかりだが、そのエニスはIBF王座を返上。秋にスーパー・ウェルター級のWBC暫定王者、バージル・オルティス(27=アメリカ)と対戦するプランが進行中と伝えられる。遠からずWBA王座も返上する可能性が高い。
WBO王者のブライアン・ノーマン(24=アメリカ)は6月に来日して佐々木尽(23=八王子中屋)を5回KOで退けて2度目の防衛に成功。11月に元4団体統一世界ライト級、元WBC世界スーパー・ライト級王者のデビン・ヘイニー(26=アメリカ)を相手にV3戦を行うことが決まった。佐々木を圧倒して強烈な印象を残したノーマンだが、戴冠前の試合ではダウンを喫するなど安定感を欠いた試合(3回無効試合)をしていることもあり、まだ評価は定まらない。ヘイニー戦で真価が問われることになりそうだ。ライト級から上げてくるヘイニーには打たれ脆い面があるだけにノーマンのKO勝ちも考えられるが、ヘイニーのスピードとスキルに強打を封じられる可能性もある。
2階級制覇を成し遂げているWBA王者のローランド・ロメロ(29=アメリカ)、そして今回、マニー・パッキャオ(46=フィリピン)の挑戦を受けるWBC王者のマリオ・バリオス(30=アメリカ)は、今後の奮起に期待。
無冠組では2016年リオデジャネイロ五輪銀メダリスト、2017年世界選手権覇者のシャフラム・ギヤソフ(32=ウズベキスタン)、東京五輪戦士のロハン・ポランコ(26=ドミニカ共和国)、同じく東京五輪に出場し銀メダルを獲得したパット・マコーミック(30=イギリス)らが台頭してきている。
WBC、WBO世界スーパー・ウェルター級タイトルマッチ
セバスチャン・フンドラ対ティム・チュー
返り討ちかリベンジか
1年4ヵ月ぶりの再戦 下馬評はチュー有利
両者は昨年3月に拳を交え、前WBC暫定王者だったセバスチャン・フンドラ(27=アメリカ)がWBO王者のティム・チュー(30=オーストラリア)に12回判定勝ちを収めて2本のベルトを手にしている。この時は、元々チューはキース・サーマン(アメリカ)と対戦する予定で準備をしていたが、サーマンが負傷したため出場不可となり、前座に出場予定だったフンドラに相手が変更されたという事情があった。対戦相手が変わったのは互いに同じだが、オーソドックスのサーマンから長身サウスポーのフンドラに変更になったチューの方に、より大きなハンディキャップがあったと言える。
試合では序盤にバッティングでチューが前頭部を大きくカット。ストップにならないのが不思議なほどの大量の出血に悩まされ、本来のパフォーマンスからほど遠い戦いとなって12回判定負けを喫した。
次戦でフンドラが4回TKOで快勝、初防衛を果たしたのに対し、チューは再起戦でIBF王者のバフラム・ムラタザリエフ(ロシア)に挑み、計4度のダウンを喫して3回TKOで惨敗。ここでも明暗を分けた。こうしたなかで行われる再戦だが、オッズは11対8でチュー有利と出ている。いまだ地力はチューが上回っているという見方の方が多いのだ。
もともとプロではサウスポーとの対戦が少ないチューが、前戦の反省を生かしてどんな策を練ってリングに上がるのか注目したい。一方、中近距離での戦いも巧みな長身サウスポーのフンドラは初戦の戦い方をベースにして左ストレート、右フック、左右のアッパーで攻めるものと思われる。
WBC世界スーパー・ライト級暫定王座決定戦
イサック・クルス対アンヘル・フィエロ
王座をかけ5ヵ月ぶりの直接再戦
今回も打撃戦は必至
イサック・クルス(27=メキシコ)とアンヘル・フィエロ(26=メキシコ)は今年2月、デビッド・ベナビデス(アメリカ)対デビッド・モレル(キューバ)の前座で対戦し、クルスが98対92、97対93、96対94の3-0の10回判定勝ちを収めている。ポイント上は明確な差がついたが、見応えのある打撃戦だった。それから5ヵ月、今度はWBCのスーパー・ライト級暫定王座をかけて再び拳を交えることになった。
身長163cmのクルスは「ピットブル」のニックネームがあるように闘志を前面に出して戦うファイターで、戦績は31戦27勝(18KO)3敗1分。昨年3月、ローランド・ロメロ(アメリカ)を8回TKOで下してWBA世界スーパー・ライト級王者になったが、約4ヵ月後、伏兵ホセ・バレンスエラ(メキシコ/アメリカ)に12回判定で敗れ無冠に戻った。先のフィエロ戦は再起戦だった。
一方のフィエロは2015年10月にデビューした10年選手で、ライト級のNABO北米
王座を獲得、防衛しながらランキングを上げてきた。しかし、昨年6月に世界挑戦経験者のアルフレド・サンティアゴ(ドミニカ共和国)に10回判定負け。再起戦を挟んでクルスにも敗れている。戦績は28戦23勝(18KO)3敗2分。
今回も初戦同様、前半から激しいパンチの応酬が予想される。オッズは7対2、乱打戦に慣れているクルスが有利と出ている。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
生中継!エキサイトマッチSP
WBC世界ウェルター級タイトルマッチ
マリオ・バリオス vs マニー・パッキャオ
WBC世界S・ウェルター級タイトルマッチ
セバスチャン・フンドラ vs ティム・チュー
WBC世界S・ライト級暫定王座決定戦
イサック・クルス vs アンヘル・フィエロ
7/20(日)午前9:00
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