WBA世界バンタム級暫定王座決定戦 ノニト・ドネア対アンドレス・カンポス

バンタム級で4度目の戴冠狙う42歳
1年10ヵ月ぶりのリング
日本でも多くのファンがいる世界5階級制覇王者のノニト・ドネア(42=フィリピン)が、バンタム級で4度目の戴冠を狙ってWBA同級暫定王座決定戦に臨む。相手はフライ級で世界挑戦の経験を持つアンドレス・カンポス(28=チリ)。このタイミングでなぜ暫定王座決定戦が行われるのか、なぜこのカードなのかなど疑問は多々あるが、それを論じるのは別の機会にまわすとして、純粋にドネアとカンポスの足跡を見てみよう。
24年のプロキャリア 51戦目のドネア
ドネアはアマチュアを経て2001年2月にプロに転じ、フライ級、スーパー・フライ級(暫定)、バンタム級、スーパー・バンタム級、フェザー級の5階級で世界制覇を成し遂げてきた。最初の世界王座を獲得したのが2007年7月だから、もう18年前ということになる。
体重を上下させながら活動してきたが、直近の7年はバンタム級に定着。2019年と2022年には井上尚弥(大橋)とも戦ったが、12回判定、2回TKOで敗れている。2023年7月、井上が返上したWBC王座の決定戦に出場したが、アレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)に12回判定負けを喫している。それ以来、1年10ヵ月ぶりの再起戦となる。
母国フィリピンをはじめ現在の居住地であるアメリカのほか日本、
プエルトリコ、中国、イギリスで試合経験があるが、アルゼンチンのリングに上がるのは初めてとなる。戦績は50戦42勝(28KO)8敗。ドネアといえば左フックの強打が広く知られているが、右ストレートやアッパーなどパンチは多彩で、攻撃型の万能選手といえる。
右構えで戦うことがほとんどだが、かつては世界戦で左構えで戦ったこともある。
2年ぶり2度目の世界戦に臨むカンポス
アルゼンチンの隣国チリ出身のカンポスは2018年8月にプロデビュー。翌年にはフライ級のチリ国内王座、WBA南米王座、2020年にはWBO中南米王座を獲得するなどして早々と世界15傑入りを果たした。2023年6月にはイギリスでサニー・エドワーズ(イギリス)の持つIBF世界フライ級王座に挑んだが12回判定で敗れ、デビューからの連勝も15で途絶えた。2戦を挟んで昨年10月にスーパー・フライ級に転向。その初戦の世界ランカー対決ではリオ五輪戦士のホセリート・ベラスケス(メキシコ)に6回TKO負けを喫したが、今年4月の再起戦では3回TKO勝ちを収めている。左ジャブを突きながら好機には大きな右で攻め込むボクサーファイター型だが、20戦17勝(6KO)2敗1分の戦績が示すようにパワー不足の印象は拭えない。
オッズは3対1でドネア有利
直近の2試合で連敗している42歳のドネアが全盛期を過ぎていることは疑いようがないが、それでも26度の世界戦を経験(19勝13KO7敗)してきた勝負師が断然有利であることは間違いないカードだ。オッズも3対1でドネアの背中を押している。
「フィリピンの閃光」がプレッシャーをかけ、カンポスが下がりながら応戦する展開が予想される。ドネアが自身の勘をチェックすると思われる前半は比較的静かな戦いになるかもしれないが、中盤あたりからペースアップしていくはずだ。
<バンタム級トップ戦線の現状>
WBA :アントニオ・バルガス(アメリカ)
休養 :堤聖也(角海老宝石)
WBC :中谷潤人(M.T)
IBF :中谷潤人(M.T)
WBO :武居由樹(大橋)
1年前から日本勢が王座を独占してきたバンタム級だが、5月、6月で大きな変化が起こった。まずWBA王者の堤聖也(29=角海老宝石)が眼疾のため戦線離脱することになり「休養王者」にスライドし、変わって暫定王者だったアントニオ・バルガス(28=アメリカ)が正王者に昇格。そのバルガスには7月30日に比嘉大吾(29=志成)が挑戦することが発表されている。さらに今回のノニト・ドネア(42=フィリピン)対アンドレス・カンポス(28=チリ)の暫定王座決定戦が行われることになった。
こうしたWBAの動きとは対照的に、6月8日にはWBC王者の中谷潤人(27=M.T)とIBF王者の西田凌佑(28=六島)が対戦し、6回終了TKO勝ちを収めた中谷が2団体王座を統一している。勝った中谷も敗れた西田もスーパー・バンタム級への転向が既定路線と伝えられており、両者の今後の動きが注目される。
WBO王者の武居由樹(28=大橋)は5月28日、横浜でユッタポン・トンディー(31=タイ)を127秒で一蹴。次戦は9月が有力と見られている。
ランカー組の動きも活発で、主要4団体すべてで4位以内にランクされている那須川天心(26=帝拳)と「神の左の継承者」増田陸(27=帝拳)は、いずれも6月8日に世界ランカーを相手に勝利を収めている。さらに元世界2階級制覇王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(35=メキシコ)も10回判定勝ちで1年ぶりの再起戦を飾り、バンタム級進出を本格化させた。このほかIBF最上位の3位にランクされる16戦全勝(10KO)のホセ・サラス・レイジェス(23=メキシコ)、14戦全勝(9KO)のOPBF東洋太平洋王者、ケネス・ラバー(22=フィリピン)の両サウスポーにも注目したい。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
エキサイトマッチ~世界プロボクシング
WBA世界バンタム級暫定王座決定戦
ノニト・ドネア vs アンドレス・カンポス
7/7(月)午後9:00
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