静岡での初戦はドロー
舞台をメキシコに移しての再戦

　昨年7月に東京で行われたS・フライ級王座統一戦でIBF王者のフェルナンド・マルチネス（アルゼンチン）がWBA王者の井岡一翔（志成）に12回判定勝ち。いったんはマルチネスが2本のベルトを保持することになったが、のちに王者は井岡との再戦を優先するため指名防衛戦を蹴ってIBF王座を放棄。これを受けて昨年12月、静岡市でウィリバルド・ガルシア（35＝メキシコ）対レネ・カリスト（30＝メキシコ）の王座決定戦が行われた。しかし、118対110（ガルシア）、114対114、116対112（カリスト）という三者三様のドローに終わり、今回のダイレクトリマッチが挙行される運びになった。
　ただし、すんなりと再戦が決まったわけではない。両陣営の交渉がまとまらなかったため興行権は入札に持ち込まれ、MPプロモーションが両者の合計報酬として15万1100ドル（約2176万円）を提示して落札。ガルシアとカリストは各1088万円の報酬を約束されて再び拳を交えることになった。一度は試合日程として4月26日が予定されたが、直前になって延期が決まり、やっと試合に辿り着いたという経緯がある。

27歳でデビューした変則ファイターのガルシア

　1位と2位が空位のためIBF最上位の3位にランクされるガルシアは2017年10月に27歳でプロデビューした。初陣こそ2回TKO勝ちだったが、その後は無効試合を挟んで3連敗を喫するなど散々な船出だった。しかし、以後は25戦21勝（12KO）2敗2分の戦績を残している。敗れたのは、いずれものちにバンタム級で世界王者になるアレハンドロ・サンティアゴ（メキシコ）とポール・バトラー（イギリス）で、2試合とも接戦のすえの10回判定負けだった。通算戦績は30戦22勝（13KO）5敗2分1無効試合。カリストとの初戦では構えを左右に変えながら前進してラフな左右フックで殴りかかっていた。お世辞にも器用なタイプとは言えないが、体力と闘争心は旺盛だ。

右のカウンターが主武器のカリスト

　IBF4位にランクされるカリストは2016年12月にプロデビューし、昨年5月まで23の勝利を重ねてきた。世界2階級制覇王者の亀田和毅（TMK）とプロモート契約を交わしており、2023年2月と10月には来日して大阪（8回判定勝ち）と東京（8回TKO勝ち）のリングに上がっている。昨年12月の初戦が静岡で行われたのもそのためだった。
　ガルシアとは対照的にカリストは比較的慎重に戦う右のボクサーファイター型で、右のカウンターが主武器といえる。初戦では受けに回るシーンが多く見られ、それが採点にも影響したようだ。

攻撃偏重のガルシア 迎撃するカリストという展開か

　今回もファイター型のガルシアが前に出ながら雑な左右フックを振り回し、カリストが間隙を縫って応戦するという展開になりそうだ。ともに初戦で確実にポイントを取り切れなかっただけに、どれだけの策を練って上積みをしてくるか。無駄打ち覚悟で徹底的に攻めるガルシアと、手数は少ないものの効果的にパンチを打ち込むカリスト。戦闘スタイルが異なるだけに今回も優劣の見極めが難しい試合になるかもしれない。