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WBA、IBF世界ウェルター級王座統一戦 ジャロン・エニス対エイマンタス・スタニオニス

大柄なスイッチヒッター vs 頑丈なファイター
無敗対決のオッズは10対3 エニス有利

 34戦33勝(29KO)1無効試合のIBF世界ウェルター級王者、ジャロン・エニス(27=アメリカ)と、16戦15勝(9KO)1無効試合のWBA同級王者、エイマンタス・スタニオニス(30=リトアニア)が互いの王座をかけて拳を交える。無敗同士の頂上決戦だが、オッズは10対3、エニスの圧倒的有利と出ている。

高い次元の戦力を備えたIBF王者エニス

 無敗の王者対決だが、主役がエニスであることは間違いない。身長178cm、リーチ188cmのIBF王者はスピード、パワー、テクニック、ボクシングIQなど多くの部分で高次元のものを備えており、4度の世界戦を経て経験値も上がってきている。構えを左右にチェンジしながら長いジャブを差し込み、腰の入った強打を追撃。好機とみるとアッパーを交えながら速いコンビネーションを顔面、ボディに叩き込む。近い将来、パウンド・フォー・パウンド10傑に入ってくる可能性を秘めた選手といえる。
一時期、テレンス・クロフォード(アメリカ)やエロール・スペンス(アメリカ)、バージル・オルティス(アメリカ)らウェルター級のトップ選手らとの対戦が期待されたが、ライバルたちが階級を上げるなどしたため実現しないまま現在に至る。そうなるとエニスの当面の目標はウェルター級での王座統一ということになる。その流れのなかでWBA王者のスタニオニス戦が組まれたわけだ。

リオ五輪出場の経験を持つファイター型のスタニオニス

 スタニオニスは2016年リオデジャネイロ五輪に出場するなどアマチュアで160戦(141勝)を経験後、2017年4月にアメリカでプロデビューした。比較的イージーな相手との試合が続いたが、2021年から対戦相手の質がアップ。その年の2月にWBA15傑入りを果たすと、4月には世界挑戦経験者のトーマス・デュロルメ(グアダルペ/プエルトリコ)に12回判定勝ちを収め1位に上昇。1年後にはラジャブ・ブタエフ(ロシア)を破ってWBA王座を獲得した。その後、バージル・オルティスとの試合が2度組まれたが、相手の体調不良で2度ともキャンセルになるという不運が重なった。
そのため初防衛戦は戴冠から2年後の2024年5月までずれこみ、元WBA暫定王者のガブリエル・マエストレ(ベネズエラ)を12回判定で退けている。
 身長、リーチとも173cmとウェルター級のなかでは小柄だが、勇敢に突進していってパンチを出し続けるファイター型だ。器用ではないが、相手を自分のペースに引きずり込むと無類の強さを発揮する。

エニスが圧倒か スタニオニスはどこまで耐えられる?

 体格、経験に加え個々の戦力で勝るエニスが有利であることは間違いない。10対3というオッズは、直近の試合でカレン・チュカジャン(ウクライナ)に手を焼いて評価が下がったために出ている数字といえよう。右構えであれ左構えであれエニスが長い距離を操ってWBA王者を翻弄。相手が入ってきたところをフックやアッパーで迎え撃つ展開が予想される。頑丈なスタニオニスがどこまで耐えられるか。

<TALE OF THE TAPE>   両選手のデータ比較表


  エニス スタニオニス
生年月日/年齢 1997年6月26日/27歳 1994年8月17日/30歳
出身地 フィラデルフィア(米国ペンシルベニア州) カウナス(リトアニア)
アマ実績 2014年全米GG大会準優勝
2015年全米ユース選手権優勝
2015年全米GG大会優勝
2016年リオデジャネイロ五輪出場
アマチュア戦績 61戦58勝3敗 160戦141勝(敗北数は不明)
プロデビュー 2016年4月 2017年4月
戦績 34戦33勝(29KO)1無効試合 16戦15勝(9KO)1無効試合
KO率 85% 56%
世界戦 4戦全勝(2KO) 2戦2勝
身長/リーチ 178cm/188cm 173cm/173cm
戦闘スタイル 左右ボクサーファイター(スイッチヒッター)型 右ファイター型
ニックネーム 「Boots」  

<ウェルター級トップ戦線の現状>           ※2025年4月10日時点

WBA :エイマンタス・スタニオニス(リトアニア)
WBC :マリオ・バリオス(アメリカ)
IBF    :ジャロン・エニス(アメリカ)
WBO :ブライアン・ノーマン(アメリカ)


 テレンス・クロフォード(37=アメリカ)とバージル・オルティス(27=アメリカ)がスーパー・ウェルター級に転向し、エロール・スペンス(35=アメリカ)は2年近くもリングから遠ざかっている。4人の王者がいるものの現状はIBF王者のジャロン・エニス(27=アメリカ)のひとり天下といっていいだろう。今回の統一戦でWBA王者のエイマンタス・スタニオニス(30=リトアニア)を圧倒するようだと、さらにマッチメークが難しくなりそうだ。
 WBO王者のブライアン・ノーマン(24=アメリカ)は29戦27勝(21KO)2無効試合の無敗戦士で、直近の世界戦2試合で快勝して注目度は上がっている。しかし、その前の試合では2連敗中の相手の右カウンターを食らってダウンしており、まだ評価を定めるのは早そうだ。同じことは6月19日にノーマンに挑む佐々木尽(23=八王子中屋)にもいえる。インサイドからカウンターを合わせてくる俊敏な相手との対戦経験がない点が不安材料といえる。それでも佐々木が馬力とパンチ力で押し切る可能性はありそうだ。
 27歳のエニス、24歳のノーマンと若い王者が台頭してきているなか、なんと46歳になった元世界6階級制覇王者、マニー・パッキャオ(フィリピン)がWBC王者のマリオ・バリオス(30=アメリカ)に挑戦することになった。試合は7月19日、アメリカのネバダ州ラスベガスで行われる予定だ。32戦29勝(18KO)2敗1分のバリオスはS・ライト級とウェルター級の2階級制覇王者だが、窮地に陥る場面も多く安定感に欠ける。昨年11月のアベル・ラモス(33=アメリカ)戦もダウン応酬のすえ三者三様の12回引き分けに終わっている。ビッグネームに勝って知名度と評価を上げたいバリオス、狙い目の王者を食って最後の花を咲かせたいパッキャオ。両者の思惑が一致したカードだが、話題先行にならなければいいのだが。ちなみにオッズは10対3でバリオス有利と出ている。

◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆


エキサイトマッチ~世界プロボクシング
WBA・IBF世界ウェルター級王座統一戦
ジャロン・エニス vs エイマンタス・スタニオニス

6/16(月)午後9:00 WOWOWライブWOD


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