井上尚弥戦キャンセルから4ヵ月
IBF1位、WBO2位のグッドマンが戦線復帰

　スーパー・バンタム級でIBF1位、WBO2位、WBC4位にランクされるサム・グッドマン（26＝オーストラリア）が、昨年7月以来の実戦に臨む。この間に同級4団体統一王者の井上尚弥（大橋）に挑戦が決まったが、自身の負傷によって延期、キャンセルした経緯がある。WBC世界バンタム級21位のセサール・バカ（23＝メキシコ）を相手に存在感を示すことはできるか。

強豪を連破して上位に進出してきたグッドマン

　2018年4月のプロデビューから19戦全勝（8KO）の戦績を残しているグッドマンは右の正統派で、守りを固めつつ左ジャブから右ストレートを狙うことが多い。42パーセントのKO率が示すようにパンチ力は平均の域を出ないが、攻防ともにバランスのとれた戦力を備えている選手といえる。
2021年以降、世界挑戦経験者のリッチー・メプラナム（フィリピン）、ファン・ミゲール・エロルデ（フィリピン）、元世界王者のTJドヘニー（アイルランド）、元暫定世界王者のライース・アリーム（アメリカ）、世界ランカーのゾン・リュー（中国）、WBC8位にランクされていたチャイノイ・ウォラウット（タイ）を連破するなど世界上位の肩書にふさわしい実績を残しているといえる。
　当初、昨年9月に計画された井上への挑戦に関しては、グッドマン陣営が「調整試合を挟みたい」ということで見送った。その後、12月24日に日本開催が決定したが、来日直前のスパーリングで左瞼に裂傷を負い、試合は1ヵ月延期に。しかし、今年に入って再び左瞼に傷を負い、結果として試合をキャンセルすることになった。こうした流れのなかで今回の復帰戦に臨むわけだ。

WBC中米カリブ バンタム級王者のバカ

　セサール・バカは2018年2月に16歳5ヵ月でプロデビュー。引き分けを挟んで16連勝（11KO）をマークしたが、一昨年12月のNABO北米スーパー・バンタム級王座決定戦でエリック・ロブレス・アヤラ（メキシコ）に10回判定で敗れた。これがキャリア唯一の敗北で、以後は3連勝（1KO）を収めている。直近の試合では世界挑戦経験者のホエル・コルドバ（メキシコ）を10回判定で下してWBC中米カリブ バンタム級王座を獲得している。適度にラフな右ボクサーファイター型で、ワンツーからの左フックや斜め下から振り回す左右フックが主武器といえる。

グッドマンが慎重に戦ってポイントをピックアップか

　アウェーでの戦いとなるバカが積極的に攻めて出て、グッドマンが足と左ジャブで自分の間合いをキープしようとする展開が予想される。体力に自信のあるバカは距離を潰して乱戦に巻き込みたいが、グッドマンがそれを簡単に許すとは思えない。グッドマンが相手の動きを見ながら打って離れて、踏み込んで攻めて、そして離れてサイドに回るという安全策を採ればポイントを重ねることは難しくなさそうだ。オッズは7対2、グッドマン有利と出ている。井上への挑戦は大きく遠のいたかたちだが、この復帰戦で存在感を示しておきたいところだ。