WOWOWニュース

ヘビー級10回戦 リチャード・トーレス対グイド・ビアネロ

強打のオリンピアン対決
オッズは3対2 トーレス有利だが...

 IBF世界ヘビー級14位、WBC17位のリチャード・トーレス(25=アメリカ)と、WBCとWBOで15位にランクされるグイド・ビアネロ(30=イタリア)が上位進出をかけて拳を交える。2021年に開催された東京五輪スーパーヘビー級銀メダリスト、サウスポーのトーレスが12戦全勝(11KO)、2016年リオデジャネイロ五輪出場に出場した実績を持つビアネロが16戦13勝(11KO)2敗1分。KO決着が約束されたカードといっていいだろう。

東京五輪銀メダリストのトーレス

 トーレスは東京五輪では天敵ともいえるバホディル・ジャロロフ(ウズベキスタン)に決勝で敗れたが、スーパーヘビー級で銀メダルを獲得した。その7ヵ月後、2回KO勝ちでプロデビューすると1ヵ月~6ヵ月のスパンでリングに上がり、順調に白星を重ねてきた。まだ力量が試されるようなレベルの相手とは戦っていないが、WBC36位のブランドン・ムーア(アメリカ)や元WBC中米カリブ王者のジョーイ・ダウェイコ(アメリカ)には問題なく勝っている。世界15傑の力はあると思われるが、上位に割って入ることが期待されている。
 超大型選手が目立つ現代のヘビー級にあって身長188cm、リーチ193cmと決して大きな方ではないが、その分、機動力があるといえるかもしれない。サウスポーから繰り出す右ジャブの多くをフェイントにつかい、踏み込んで左ストレートを打ち込む。チャンスをつかむと回転の速いコンビネーションで攻め立てる攻撃パターンを持っている。上体が突っ込んだ状態で相手の正面に立つなど矯正すべき点はあるが、いまのところそんな欠点をさらす前に仕事を終わらせている。

198cm/201cm 110kg超のビアネロ

 ビアネロはイタリアのローマ出身だが、2018年12月にアメリカのニューヨークでプロデビューしてからはラスベガスに住んでアメリカを活動拠点にしている。7連続KO勝ちで順調は滑り出しをみせたプロ生活だが、8戦目に6回引き分けを経験。12戦目にはポイントをリードしていながら7回負傷TKO負けを喫するなど順風満帆というわけではない。1年前には世界ランカーのエフェ・アジャグバ(ナイジェリア)に10回判定負けを喫している。自身も何度か窮地に立たされたが、逆に右でアジャグバをダウン寸前に追い込むシーンもつくるなど善戦が光った試合だった。その4ヵ月後、WBC11位、IBF15位のアルスランベク・マフムドフ(ロシア)と対戦し、8回TKO勝ちの殊勲を挙げてトップ15入りを果たした。
 こちらは身長198cm、リーチ201cmの大型選手で、体重も110kgを超える。その体をアップライトに構え、左ジャブから右ストレートを狙う攻撃パターンを持つ。右は正面から打ち込むものと外から巻き込むようにして放たれるものがあるが、いずれも破壊力はある。
ただ、上体が立つなど受けに回ったときは心許ない。

圧力をかけるトーレス 迎撃するビアネロという展開か

 今回の勝利がすぐに世界挑戦に結びつくというものではないが、トップ10入りを確実にするためには敗北は許されない。特にアメリカ最重量級のホープと目されているトーレスは、この関門を楽々とクリアして期待を広げたいところだ。
 サウスポーのトーレスが前傾姿勢でプレッシャーをかけ、ビアネロが右ストレートで迎え撃つ展開が予想される。ヘビー級だけにどちらのパンチが先に命中するかによって戦況は大きく変わるため、初回から目の離せない試合になりそうだ。オッズは3対2でトーレス有利と出ているが、ビアネロの右がその数字をひっくり返す可能性も十分にあるとみる。

<ヘビー級トップ戦線の現状>


WBAスーパー:オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)
WBA    :クブラト・プーレフ(ブルガリア)
WBC    :オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)
WBC暫定  :アジト・カバヤル(ドイツ)
IBF       :ダニエル・デュボア(イギリス)
WBOスーパー:オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)
WBO暫定  :ジョセフ・パーカー(ニュージーランド)

 アンソニー・ジョシュア(35=イギリス)、タイソン・フューリー(36=イギリス)にそれぞれ2勝し、現IBF王者のダニエル・デュボア(27=イギリス)にも勝っているオレクサンダー・ウシク(38=ウクライナ)の天下が続いている。スピードとスキルを前面に出したサウスポーのテクニシャンだけに派手さには欠けるが、ではウシクに勝てる選手がいるかとなると誰の名前も浮かんではこない。それがヘビー級の現状だ。
 WBAのレギュラー王者、クブラト・プーレフ(43=ブルガリア)はかつてジョシュアに9回KO負けを喫しており、これ以上を期待することはできない。一方、フランク・サンチェス(32=キューバ)、ツァン・チレイ(41=中国)を倒しているWBC暫定王者のアジト・カバヤル(32=ドイツ)と、経験を積みながら地力を上げてきたWBO暫定王者のジョセフ・パーカー(33=ニュージーランド)には多少なりとも期待が持てそうだ。それでもウシクに勝てるとは思えないが...
 こうしたトップ選手たちの名前が挙がるなか、アメリカの選手がなかなか出て来ないのが残念だ。3月27日時点で主要4団体の15傑に入っているのはマイケル・ハンター(36)、ジャレル・ミラー(36)、ジャレド・アンダーソン(25)、ディオンテ・ペティグルー(35)、元WBC王者のデオンテイ・ワイルダー(39)、同じく元王者のアンディ・ルイス(35)、リチャード・トーレス(25)、ジャーメイン・フランクリン(31)のわずか8人という状態だ。さらに嘆かわしいのは大半の選手がすでに底を見せているという点だ。年齢から考えても期待は全勝のトーレスと、巻き返しが望めるアンダーソンに集中する。25歳コンビがアメリカ最重量級の命運を担っているといってもいいかもしれない。

◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆

エキサイトマッチ~世界プロボクシング
ヘビー級10回戦
リチャード・トーレス vs グイド・ビアネロ

4/6(日)午前9:00頃~ 先行ライブ配信 WOD
4/7(月)午後9:00 WOWOWライブWOD

◆最新の放送・配信予定などはこちらから◆

【WOWOWエキサイトマッチ公式サイト】 https://www.wowow.co.jp/sports/excite/
【WOWOWエキサイトマッチ公式X】 https://x.com/Excite_Match
【WOWOWオンデマンド】 https://wod.wowow.co.jp/genre/boxing

記事をシェアする
  • line

Getty Images

×

PAGE TOP