4団体統一世界S・バンタム級タイトルマッチ 井上尚弥対キム・イェジュン

負傷で延期 ⇒ 挑戦者変更
井上にとって24度目の世界戦
もともと井上は2024年12月24日にIBFとWBOで1位にランクされていたサム・グッドマン(オーストラリア)の挑戦を受ける予定だった。2ヵ月前には都内で発表会見が開かれ、グッドマンもリモートで参加。互いにベストコンディションで試合に臨むことを約束した。ところがグッドマンが来日直前に顔面を負傷したため試合は1ヵ月延期されることに。それを含めた顛末は以下のとおりだ。
2024年10月24日 井上対サム・グッドマン 発表会見
12月4日 井上 公開練習
12月14日 グッドマンが左目上を負傷 試合が1月24日に延期
12月18日 W世界戦に出場予定の武居由樹の右肩負傷とV2戦延期を発表
2025年 1月11日 グッドマンが左目上を再び負傷。対戦相手がWBO11位のキム・イェジュンに変更
1月16日 キム・イェジュン 来日
1月23日 前日計量
1月24日 試合
代役を務めることになったキムは世界的には無名だが、2015年3月にはIBFアジア王座を獲得し、世界15傑に入ったこともあった。2年のブランクでトップ戦線から一度は脱落し、2023年4月にはアメリカ遠征で二線級に敗れるなど厳しい時期もあったが、2024年5月にWBOオリエンタル王座を獲得して再浮上してきた。今回はリザーバーとして待機していたところに朗報が舞い込んできたというわけだ。構えを左右にチェンジするスイッチヒッターで、相手を惑わせることから「トラブルメーカー」のニックネームを持っている。
戦績は、23度の世界戦を含めて28戦全勝(25KO)の井上に対し、日本人相手に7勝しているキムは25戦21勝(13KO)2敗2分。
<日本人の世界戦勝利数>
24 井上尚弥(大橋)
22 井岡一翔(井岡⇒志成)
16 寺地拳四朗(BMB)
14 具志堅用高(協栄)
<歴代世界王者 世界戦勝利数>
31 フリオ・セサール・チャベス(メキシコ)
28 オマール・ナルバエス(アルゼンチン)
26 ジョー・ルイス(アメリカ)
フロイド・メイウェザー(アメリカ)
25 リカルド・ロペス(メキシコ)
ダリウス・ミハエルゾウスキー(ポーランド/ドイツ)
オスカー・デラ・ホーヤ(アメリカ)
ウラディミール・クリチコ(ウクライナ)
24 井上尚弥(大橋)
バージル・ヒル(アメリカ)
バーナード・ホプキンス(アメリカ)
ポンサクレック・ウォンジョンカム(タイ)
23 ロイ・ジョーンズ(アメリカ)
ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)
サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)
<S・バンタム級トップ戦線の現状>
WBA :井上尚弥(大橋)
WBA暫定:ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)
WBC :井上尚弥(大橋)
IBF :井上尚弥(大橋)
WBO :井上尚弥(大橋)
井上は2023年7月のS・バンタム級転向初戦でスティーブン・フルトン(アメリカ)に8回TKOで圧勝してWBCとWBO王座を奪取。次戦ではWBA・IBF王者のマーロン・タパレス(フィリピン)に10回KO勝ちを収め、バンタム級に続いて4団体王座の統一を果たした。昨年は5月にルイス・ネリ(メキシコ)を6回TKO、9月にTJ・ドヘニー(アイルランド)を7回TKOで退けて4本のベルトをキープしている。
ネリ戦では初回に力みすぎたところに左フックを合わされてキャリア初ダウンを喫したが、だからといって綻びが見えたとはいえまい。今後はフェザー級進出のタイミングを見据えながらの防衛ロードが続いていくことになりそうだ。
追う一番手はWBA暫定王者のムロジョン・アフマダリエフ(30=ウズベキスタン)ということになりそうだ。このサウスポーは2016年リオデジャネイロ五輪銅メダリストで元WBA・IBF王者でもある。硬軟どちらでも戦える強打者だが、井上との比較論になると大きく見劣りすることは否めない。
WBC1位にランクされる32戦31勝(17KO)1分のアラン・ピカソ(24=メキシコ)が有力候補として名前が挙がっていたが、そのピカソに代わってWBA2位、IBF7位、WBO10位にランクされる27戦26勝(14KO)1分のラモン・カルデナス(29=アメリカ)と現地時間5月4日にラスベガスで対戦することが発表された。会場は数々のビッグマッチが行われてきたT-モバイル・アリーナ。2021年以来のアメリカのリングで井上がどのような戦いを見せてくれるのか。
OPBF東洋太平洋・WBOアジアパシフィック ウェルター級タイトルマッチ
佐々木尽対坂井祥紀
KO率85%の矛 vs 46戦してKO負けなしの盾
20戦18勝(17KO)1敗1分、85パーセントのKO率を誇るOPBF東洋太平洋・WBOアジアパシフィック ウェルター級王者の佐々木が、14年のプロキャリアでKO負けが一度もない坂井の挑戦を受ける。
IBF3位、WBO3位、WBA4位、WBC4位にランクされる佐々木は強打が自慢の23歳だが、突破口を開く左ジャブはスピードがあり上下の打ち分けも巧みだ。勝負が長引いたときに一本調子になったりディフェンスが甘くなったりという課題は残っているが、楽しみな選手には違いない。
坂井はメキシコでプロデビューし、2018年から2019年にかけて4連敗したのを機に帰国。小原佳太(三迫)、豊嶋亮太(帝拳)には敗れたが、2年前に日本ウェルター級王座を獲得した。この王座は2度防衛後、昨年5月に豊嶋に惜敗して手放した。これが再起戦でもある。堅実な防御が売りの右ボクサーファイター型だ。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
4団体統一世界S・バンタム級タイトルマッチ
井上尚弥 vs キム・イェジュン
OPBF東洋太平洋・WBOアジアパシフィック
佐々木尽 vs 坂井祥紀
3/24(月)午後9:00
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NAOKI FUKUDA