IBF世界クルーザー級タイトルマッチ ジェイ・オペタイア対デビッド・ニカ

オーストラリア vs ニュージーランド
全勝の元オリンピアン対決
一度は自らの判断で手放したIBF世界クルーザー級王座を昨年5月に取り戻したジェイ・オペタイア(29=オーストラリア)が、隣国ニュージーランド出身で現在はオーストラリアに住むデビッド・ニカ(29=ニュージーランド)の挑戦を受ける。オペタイアは2012年ロンドン大会に出場、ニカは2021年東京五輪でヘビー級銅メダルを獲得しており、全勝の元オリンピアン対決でもある。
17歳でロンドン五輪に出場したオペタイア
オペタイアは17歳1ヵ月で出場したロンドン五輪はヘビー級1回戦敗退だったが、2015年8月に20歳でプロに転向後は26戦全勝(20KO)をマークしている。クルーザー級のOPBF東洋太平洋王座、オーストラリア国内王座、WBOアジアパシフィック王座、IBFパンパシフィック王座、IBFアジアオセアニア王座などを獲得後、2022年7月にマイリス・ブリーディス(ラトビア)を破ってIBF世界クルーザー級王座を手に入れた。長期政権が期待されたが、2度目の防衛戦がIBFから承認されなかったため王座を放棄。約半年の無冠期間を経て2024年5月、王座決定戦で再びブリーディスに12回判定勝ちを収めてベルトを取り戻した。
身長188cm、リーチ193cmの恵まれた体格からリズムに乗って左フックや右フックで攻め込むダイナミックなサウスポーで、試合は常にスリリングだ。昨年10月の初防衛戦で6回TKO勝ちを収めており、ニカ戦はV2戦となる。
東京五輪でヘビー級銅メダル獲得のニカ
ニュージーランド出身のニカは2021年2月にプロデビューしたあと、夏に開催された東京五輪に第4シードとして出場。2回戦、3回戦を勝ち抜いてベスト4に進出したが、準決勝で惜敗し銅メダルに甘んじた。4ヵ月後、プロ活動を再開し、以後はジョージ・カンボソス(オーストラリア)対デビン・ヘイニー(アメリカ)第1戦、第2戦、ブリーディス対オペタイア第1戦、タイソン・フューリー(イギリス)対オレクサンダー・ウシク(ウクライナ)第1戦の前座などに出場し、10戦全勝(9KO)の戦績を残している。地域王座獲得のほか世界挑戦経験者のロバート・べリッジ(ニュージーランド)、トミー・カーペンシー(アメリカ)にもTKO勝ちを収めている。
身長198cm、リーチ198cmとオペタイアを上回る大型選手で、思い切りのいい右ストレートは破壊力がある。正統派の強打者だが、過去には左構えにスイッチして戦ったこともある。
王者が仕掛け挑戦者が迎え撃つ展開か
王者の地元での試合だが、ニカも現在はオーストラリアに住んでおり、さらに同国で6戦しているためアウェー感は薄いものと思われる。より攻撃的なサウスポーのオペタイアが仕掛け、ニカが迎え撃つ展開が予想される。ともにパンチ力があるだけに初回から目の離せない試合になりそうだ。オペタイアの左ロングフック、ニカのストレート系のパンチに注目したい。
<クルーザー級トップ戦線の現状>
WBA :ヒルベルト・ラミレス(メキシコ)
WBC :バドゥ・ジャック(スウェーデン)
WBC休養:ノエル・ミカエリアン(ドイツ)
IBF :ジェイ・オペタイア(オーストラリア)
WBO :ヒルベルト・ラミレス(メキシコ)
2本のベルトを持つ2階級制覇王者のヒルベルト・ラミレス(33=メキシコ)と3階級制覇を成し遂げているWBC王者のバドゥ・ジャック(41=スウェーデン)が実績ではトップを行く。ラミレスは昨年11月にWBO王者だったクリス・ビラム・スミス(34=イギリス)を下して2団体の王座を統一。3本目、4本目のベルト収集にも意欲をみせている。一方のジャックは2年も試合から遠ざかっており、41歳という年齢からみて事実上のリタイアと考えていいかもしれない。
WBC休養王者のノエル・ミカエリアン(34=アルメニア)は2023年11月にイルンガ・マカブ(37=コンゴ民主共和国)を3回TKOで下して空位のWBC王座を獲得したが、プロモーターと摩擦が生じたため試合ができないまま現在に至る。そのためWBCは休養王者だったジャックを正王者に復帰させ、ミカエリアンを休養王者扱いにすることで体裁を取り繕ってきたが、この異常事態も限界が近いといえよう。
こうしたなか昨年5月にIBF王座に復帰したジェイ・オペタイアには大きな期待がかかっている。大柄で攻撃的なサウスポーで26戦全勝(20KO)と勢いがあり、経験豊富なラミレスとの統一戦が実現すれば注目を集めそうだ。
この階級の特徴として、世界ランカーにベテランが多いことが挙げられる。元IBF王者のユニエル・ドルティコス(キューバ)は39歳、元WBA王者のアルセン・グーラミリアン(アルメニア/フランス)は37歳で、元WBA王者のフィラット・アルスラン(ドイツ)に至っては54歳で世界15傑に名を連ねている。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
IBF世界クルーザー級タイトルマッチ
ジェイ・オペタイア vs デビッド・ニカ
3/17(月)午後9:00
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