WBA世界ライト級タイトルマッチ ジャーボンテイ・デービス対ラモント・ローチ
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3階級制覇王者デービスに死角なし?
1階級下の王者を圧倒か
22歳でIBF世界S・フェザー級王座を獲得したのに始まりライト級、S・ライト級とベルトを収集してきたジャーボンテイ・デービス(30=アメリカ)が、1階級下のWBA世界S・フェザー級王者、ラモント・ローチ(29=アメリカ)の挑戦を受ける。この王座は2019年12月に獲得したもので、デービスにとっては6度目の防衛戦となる。ローチはバランスのとれた戦力を備えた好選手だが、体格を除く多くの面で勝るデービス有利は揺るがない。
13度の世界戦を経験しているデービス
デービスは身長166cm、リーチ171cmと61.2kg以下のライト級のなかでは小柄な部類に入るが、飛び込みの速さ、勝負どころの見極め、爆発力など傑出したものを持っている。サウスポースタンスからの左ストレート、右フック、左右アッパーとパンチも多彩で速くて強い。世界戦だけで13戦と経験を積んできたこともあり、最近は試合運びも巧みだ。序盤は比較的慎重に入り、4回あたりから攻勢に転じる展開が目立つ。S・フェザー級王者時代は前半KO勝ちが多かったが、ライト級転向以後のKO勝ちは中盤から後半が多い。相手の戦力を見極めたうえで仕留めにかかっているといえるかもしれない。戦績は30戦全勝(28KO)。KO率は93パーセントを超える。
2度目の世界挑戦で王座を獲得したローチ
挑戦する立場のローチは全米ゴールデングローブ大会や全米選手権優勝など輝かしいアマチュア実績を手土産に2014年4月にプロデビュー。慎重なマッチメークが施されたこともあり順調に勝ち進み、2017年からは強豪との対戦が増えた。4人の世界挑戦経験者との手合わせを経てジャメル・ヘリング(アメリカ)の持つWBO世界S・フェザー級王座に挑んだが、大柄な技巧派サウスポーにコントロールされて12回判定で敗れた。2019年11月のことで、これがキャリア唯一の黒星だ。
約1年後に再起し、世界挑戦経験者、元世界王者、挑戦者決定戦を経て2023年11月にエクトル・ルイス・ガルシア(ドミニカ共和国)を2対1の判定で破ってWBA世界S・フェザー級王座を獲得した。昨年6月の初防衛戦ではサウスポーを相手に8回TKO勝ちを収めている。戦績は27戦25勝(10KO)1敗1分。
デービスの中盤までのKO勝ちが濃厚
ローチは2017年以降、3度の世界戦を含め15戦のうち7試合でサウスポーと対峙しており、左構えの選手を苦手としている様子はない。スピード、パンチ力、テクニック、耐久力など戦力はバランスよく備えており、目立った欠点のない選手といっていいだろう。
しかし、相手がデービスとなると話は別だ。3階級制覇王者のプレッシャーをかわし続けるスキル、あるいは押し返す馬力がローチにあるかとなると答えは否となる。得意とする中間距離でデービスと互角以上にやり合えるかとなると、これもNOと言わざるを得ないだろう。デービスの中盤までのKO勝ちが濃厚とみられるなか、ローチに奇策があるのかどうか、それは試合を見てみないと分からない。
<2017年以降のジャーボンテイ・デービスの対戦相手と結果>
17年1月 | ホセ・ペドラサ | 〇7回TKO | IBF S・フェザー級王座獲得 |
17年5月 | リアム・ウォルシュ | 〇3回TKO | 防衛1 |
17年8月 | フランシスコ・フォンセカ | 〇8回KO | ※自身が体重超過→王座剥奪 |
18年4月 | ヘスス・クェジャル | 〇3回TKO | WBA S・フェザー級王座獲得 |
19年2月 | ウーゴ・ルイス | 〇1回KO | 防衛1 |
19年7月 | リカルド・ヌネス | 〇2回TKO | 防衛2 |
19年12月 | ユリオルキス・ガンボア | 〇12回TKO | WBA ライト級王座獲得 |
20年10月 | レオ・サンタ・クルス | 〇6回KO | WBA S・フェザー級王座獲得 WBA ライト級防衛1 |
21年6月 | マリオ・バリオス | 〇11回TKO | WBA S・ライト級王座獲得→返上 |
21年12月 | イサック・クルス | 〇12回判定 | WBA ライト級王座防衛2 |
22年5月 | ローランド・ロメロ | 〇6回TKO | WBA ライト級王座防衛3 |
23年1月 | エクトル・ルイス・ガルシア | 〇9回TKO | WBA ライト級王座防衛4 |
23年4月 | ライアン・ガルシア | 〇7回KO | ※ノンタイトル12回戦 |
24年6月 | フランク・マーティン | 〇8回KO | WBA ライト級王座防衛5 |
※赤字は全勝または無敗の相手
<TALE OF THE TAPE 両選手のデータ比較表>
デービス | ローチ | |
生年月日 | 1994年11月7日/30歳 | 1995年8月18日/29歳 |
出身地 | アメリカ・ボルティモア | アメリカ・ワシントン |
アマチュア実績 | 2012年全米GG大会優勝 | 2013年全米GG大会優勝 |
アマチュア戦績 | 220戦205勝15敗 | 100勝以上 |
プロデビュー | 2013年2月 | 2014年4月 |
獲得王座 | WBA、IBF S・フェザー級 WBAライト級 WBA S・ライト級 |
WBA Sフェザー級 |
プロ戦績 | 30戦全勝(28KO) | 27戦25勝(10KO)1敗1分 |
KO率 | 93% | 37% |
世界戦の戦績 | 13戦全勝(12KO) ※計量で失格の試合含む |
3戦2勝(1KO)1敗 |
直近の試合 | 2024年6月(8回KO勝ち) | 2024年6月(8回TKO勝ち) |
身長/リーチ | 166cm/171cm | 170cm/173cm |
戦闘スタイル | 左ボクサーファイター型 | 右ボクサーファイター型 |
ニックネーム | Tank(装甲戦車) | Reaper(死神) |
<ライト級トップ戦線の現状>
WBA :ジャーボンテイ・デービス(アメリカ)
WBC :シャクール・スティーブンソン(アメリカ)
WBC暫定:ウィリアム・セペダ(メキシコ)
IBF :ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)
WBO :キーション・デービス(アメリカ)
キーション・デービス(25=アメリカ)がデニス・ベリンチク(36=ウクライナ)をボディブローで沈めてWBO王座を獲得したことにより、ライト級トップ戦線は俄然おもしろくなってきた。もともとスター選手が揃っていたところに最も若くて勢いがある新王者が誕生したことで、他の王者たちを大いに刺激しているはずだ。キーション・デービスは、日本時間の3月2日にラモント・ローチとの防衛戦を控えるWBA王者のジャーボンテイ・デービスを挑発しており、これを機に両陣営が動くことを期待したい。WBC王者のシャクール・スティーブンソンは2月22日(日本時間23日)にジョシュ・パドリーの挑戦を退け防衛を果たしているが、キーション・デービスとスティーブンソンは友人ということで対戦の可能性は極めて低いと伝えられる。
32戦全勝(27KO)のWBC暫定王者、ウィリアム・セペダ(28=メキシコ)は強打の長身サウスポーだが、戴冠試合となった昨年11月のテビン・ファーマー(34=アメリカ)戦が2対1の判定で辛勝だったため評価は据え置きとなっている。3月の再戦で圧勝できるか。
昨年5月、ジョージ・カンボソス(31=オーストラリア)に圧勝してIBFで返り咲きを果たしたワシル・ロマチェンコ(37=ウクライナ)は、戴冠後に休養宣言したまま2月に37歳の誕生日を迎えた。ふたりのデービス、スティーブンソンとの頂上対決を見たいところだが難しいか。
ランカー陣では、アマチュア時代にキーション・デービスに東京五輪や世界選手権決勝などで4勝しているアンディ・クルス(29=キューバ)、22戦全勝(17KO)のレイモンド・ムラタラ(28=アメリカ)にも注目したい。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
生中継!エキサイトマッチSP「デービスvsローチ」
WBA世界ライト級タイトルマッチ
ジャーボンテイ・デービス vs ラモント・ローチ
WBA世界S・ライト級タイトルマッチ
ホセ・バレンスエラ vs ゲイリー・アントゥアン・ラッセル
WBC世界S・ライト級タイトルマッチ
アルベルト・プエジョ vs サンドール・マーティン
WBA世界S・ウェルター級暫定王座決定戦
ヨエニス・テレス vs ジュリアン・ウィリアムス
3/2(日)午前10:00
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