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WBC世界バンタム級タイトルマッチ 中谷潤人対ペッチ・ソー・チットパッタナ

長身サウスポー同士の対戦

 一戦ごとに評価が高まってきているWBC世界バンタム王者、中谷潤人(26=M.T)が、WBC1位のペッチ・ソー・チットパッタナ(30=タイ)を迎えて2度目の防衛戦に臨む。すでに3階級制覇を成し遂げている中谷だが、世界戦8度目にしてサウスポーとの対戦は初めてとなる。

「ノックアウトを目標に戦う」と中谷

 中谷は17歳3ヵ月でプロデビューしたが、そのときはミニマム級だった。2戦目からL・フライ級に上げ、2016年にはフライ級で全日本新人王を獲得した。このときに決勝で拳を交えたのは、のちに世界王者になる矢吹正道(LUSH緑)だった。翌年8月には、やはりのちに世界王者になるユーリ阿久井政悟(倉敷守安)との無敗対決を6回TKOで制している。その後は世界ランカーのマリオ・アンドラーデ(メキシコ)に8回負傷判定勝ち、日本王座獲得、元世界王者のミラン・メリンド(フィリピン)を6回TKOで撃破と手順を踏み、2020年11月にWBO世界フライ級王座を獲得した。アメリカで行った初防衛戦で4回TKO勝ちを飾ると、V2戦では山内涼太(角海老宝石)に8回TKO勝ち。S・フライ級に転向後の2023年5月、再び渡米してWBO王座決定戦に出場し、アンドリュー・マロニー(オーストラリア)に劇的な12回KO勝ちを収めて2階級制覇を成し遂げた。
 身長173cm、リーチ174cmと大柄なため体重調整に苦しみ、初防衛後に王座を返上。2024年2月、あのノニト・ドネア(フィリピン)に勝ってWBC世界バンタム級王座に就いていたアレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)に挑み、一方的な6回TKO勝ちを収めて現王座を獲得した。初防衛戦では指名挑戦者のビンセント・アストロラビオ(フィリピン)を左ボディストレート一発で悶絶させた。
 前戦に続いて1位の挑戦者を迎える中谷は、発表会見の席で「今回もノックアウトを目標にしてアクションを増やしていきたい」とコメントしている。28戦全勝(21KO)。

13年半に77戦76勝を記録しているペッチ

 挑戦者のペッチは2018年12月に井上拓真(大橋)とWBC世界バンタム級暫定王座決定戦を行って以来、約6年ぶり2度目の来日試合となる。井上戦は12回判定負けという結果に終わったが、これが13年半のプロキャリアで唯一の敗北だ。それ以前の48勝、以後の28勝を加え77戦76勝(53KO)1敗の戦績を残している。対戦相手の多くが無名選手とはいえ地域王座獲得と防衛、KO勝ちの多さが目を引く。
 中谷ほどではないがペッチも身長169cm、リーチ174cmと大柄なサウスポーで、井上戦では劣勢を悟ってか終盤には右構えにスイッチもした。絶対的な切り札となるパンチはないが、全体的に攻撃的で手数も多い。井上戦を含め10ラウンド以上を17度もフルに戦い切っておりスタミナもある。ダウン経験がないという、なかなか厄介なタイプといえる。
 それでも海外のスポーツブックでは25対1という一方的なオッズが出ている。もちろん王者有利の数字である。いまの中谷は世界的にもそれほど高く評価されているのだ。

<資料1>

中谷潤人 世界戦全戦績 ※7戦全勝(6KO)


2020年11月6日 ジーメル・マグラモ
(WBO世界フライ級王座獲得)
〇8回KO  
2021年9月10日 アンヘル・アコスタ 〇4回TKO 防衛1
2022年4月9日 山内涼太 〇8回TKO 防衛2
2023年5月20日 アンドリュー・マロニー
(WBO世界S・フライ級王座獲得)
〇12回KO  
    9月18日 アルヒ・コルテス 〇12回判定 防衛1
2024年2月24日 アレハンドロ・サンティアゴ
(WBC世界バンタム級王座獲得)
〇6回TKO  
    7月20日 ビンセント・アストロラビオ 〇1回KO 防衛1

<資料2>

バンタム級トップ戦線 主要4団体の王者&おもな日本人ランカー ※2024年12月19日時点


WBA:堤聖也(角海老宝石) 2024年10月に獲得 14戦12勝(8KO)2分
WBA暫定:アントニオ・バルガス(アメリカ)   21戦19勝(11KO)1敗1無効試合
WBC:中谷潤人(M.T) 2024年2月に獲得 28戦全勝(21KO)
IBF:西田凌佑(六島) 2024年5月に獲得 10戦全勝(2KO)
WBO:武居由樹(大橋) 2024年5月に獲得 10戦全勝(8KO)
    井上拓真(大橋)   22戦20勝(5KO)2敗
    那須川天心(帝拳)   5戦全勝(2KO)
    増田陸(帝拳)   7戦6勝(6KO)1敗
    比嘉大吾(志成)   25戦21勝(19KO)3敗1分
    栗原慶太(一力)   28戦19勝(16KO)8敗1分

 2024年2月、中谷潤人(26=M.T)がWBC王座を獲得し、5月には西田凌佑(28=六島)と武居由樹(28=大橋)が相次いでIBF王座、WBO王座を奪取。昨年4月に戴冠を果たしていたWBAの井上拓真(28=大橋)と合わせ、バンタム級の主要4団体王座を日本勢が独占するという状態になった。その井上を破って堤聖也(28=角海老宝石)がWBA王座に就いた。こうなるとファンは「誰がいちばん強いのか」というシンプルな疑問を抱き、統一戦を期待するものだ。それは4人の王者も陣営も同様で、遠からず統一戦に向かうムードが漂ってきている。
 さらにキックボクシングから転向して5戦全勝(2KO)の那須川天心(26=帝拳)、一撃KOの威力を持つ左ストレートに磨きがかかってきた日本王者の増田陸(27=帝拳)、さらに元フライ級世界王者の比嘉大吾(29=志成)、魅惑のパンチャー、栗原慶太(31=一力)と力のある日本人ランカーが控えている。
 12月にWBA暫定王座を獲得したアントニオ・バルガス(28=アメリカ)は21戦19勝(11KO)1敗1無効試合の強打者で、2024年2月にはジョナサン・ロドリゲス(25=プエルトリコ/アメリカ ※2024年7月に那須川天心に3回TKO負け)とダウン応酬のすえ7回終了TKO勝ちを収めている。ウィンストン・ゲレロ(24=ニカラグア)との暫定王座決定戦では10回TKO勝ちを収めたが、2回にダウンを喫している。
 海外勢ではWBO2位、WBC6位にランクされるダビド・クェジャル(23=メキシコ)が4王者を脅かす一番手といえそうだ。28戦全勝(18KO)の戦績を残している長身選手で、昨年10月に元2階級制覇王者のルイス・コンセプション(パナマ)に8回TKO勝ちした星が光る。加えて元2階級制覇王者のモイセス・フエンテス(メキシコ)、世界挑戦経験者のヒルベルト・ペドロサ(パナマ)、同じく世界挑戦経験者のホセ・ベラスケス(チリ)にも勝っているが、いずれも相手がピークを過ぎていたため結果どおりの評価を与えるところまではいかない。ただ、若くて勢いがあり一気に成長する可能性もあるだけに要注目だ。

WBOアジアパシフィック バンタム級王座決定戦
那須川天心対ジェルウィン・アシロ


「神童」が初の地域王座戦出場

 キックボクサー時代に42戦全勝(28KO)の戦績を残した「神童」那須川天心(26=帝拳)がプロボクシングに転向後、わずか4戦(4勝2KO)のキャリアでWBOアジアパシフィック バンタム級王座決定戦に出場する。相手はWBOオリエンタル王者のジェルウィン・アシロ(23=フィリピン)。こちらも9戦全勝(4KO)と負け知らずのホープだ。
 那須川は2023年4月に日本2位の与那覇勇気(真正)に6回判定勝ちでデビューし、次戦でメキシコ王者のルイス・グスマン(メキシコ)を8回判定で完封。3戦目にはWBA・WBO14位のルイス・ロブレス(メキシコ)を3回終了で棄権に追い込んだ。そして2024年7月にはWBA4位のジョナサン・ロドリゲス(アメリカ)に会心の3回TKO勝ちを収めている。卓越したスピードと攻防の勘に優れたサウスポーで、早くもWBAとWBCで3位、WBOで12位にランクされている。
 対するアシロは2022年6月にプロデビューし、5戦目に初8回戦、そして8戦目には初10回戦を行い、その試合で判定勝ちを収めバンタム級のWBOアジアパシフィック ユース王座を獲得した。さらに直近の試合では2回KO勝ちで空位のWBOオリエンタル王座も手にしている。「The Gladiator」戦士というニックネームを持つ右のボクサーファイター型で、自ら踏み込んで左右フックを強振するだけでなく相手の打ち終わりにカウンター・アタックを仕掛けることもある。
 26歳の那須川、23歳のアシロ、ホープ同士のカードだ。


WBO世界S・フライ級タイトルマッチ
田中恒成対プメレレ・カフ


4階級制覇王者 vs 南アの技巧派

 ミニマム級から現在のS・フライ級まで4階級で世界王座を獲得した田中恒成(29=畑中)の初防衛戦。挑戦者のプメレレ・カフ(26=南アフリカ)は13戦無敗(10勝8KO3分)の技巧派サウスポーだ。
 田中はプロデビューから5戦目でミニマム級、8戦目でL・フライ級、12戦目でフライ級と、いずれもWBOの世界王座を獲得するなどスピード出世を果たした。S・フライ級では一度は井岡一翔(井岡⇒志成)に敗れたが、2024年2月の王座決定戦を制して戴冠を果たしている。本来ならば7月に初防衛戦を行うはずだったが、挑戦者が計量で体重超過、そして体調不良ということで試合はキャンセルになった経緯がある。田中はスピードと攻撃力を併せ持った右のボクサーファイター型で、戦績は21戦20勝(11KO)1敗。
 カフは1998年7月26日、南アフリカ生まれの26歳で、2018年5月にプロデビュー。7戦目までに3引き分けを経験したものの、以後はIBFインターナショナル王座と南アの国内王座を獲得するなど6連勝(4KO)を収めている。KO率は62パーセントと高いが、パワーよりもテクニックで勝負するタイプといえる。足をつかいながら自分の間合いをつくり、左ジャブから右に繋げ、さらに左フックをフォローするパターンを持っている。怖さはないが、戦いにくいタイプといえそうだ。
 戦前のオッズは8対1、田中有利と出ている。

◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆


WBC世界バンタム級タイトルマッチ
中谷潤人 vs ペッチ・ソー・チットパッタナ

WBOアジアパシフィック バンタム級王座決定戦
那須川天心 vs ジェルウィン・アシロ

WBO世界S・フライ級タイトルマッチ
田中恒成 vs プメレレ・カフ

1/6(月)午後9:00 WOWOWライブWOD


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