WOWOW 12/10(火)午後7:00 放送・配信 ミュージカル「エリザベート」コンサート in シェーンブルン宮殿 本作の"ここ"がスゴイ!現地在住ライターがレポート!
WOWOW 12/10(火)午後7:00 放送・配信
WOWOWオンデマンドで好評配信中
ミュージカル「エリザベート」コンサート in シェーンブルン宮殿
本作の"ここ"がスゴイ!現地在住ライターがレポート!
WOWOWで12/10(火)午後7:00より、ミュージカル「エリザベート」コンサート in シェーンブルン宮殿を放送・配信(WOWOWオンデマンドで配信中)する。その再放送を前に、ウィーン在住のライター・御影実(みかげみのる)が本作について魅力をレポート。先日公開したミュージカル「モーツァルト!」ウィーン版のレポートに続き、現地で観劇した当日の様子を振り返りつつ、独自の切り口でお届けしていく。
(以下、レポート)
ハプスブルク帝国黄金期の美貌の皇后エリザベート。そのドラマチックな一生を描いたウィーン発のミュージカル『エリザベート』が、世界遺産シェーンブルン宮殿を背景に、野外コンサートとして上演、映像化されました!
『エリザベート』ミュージカル版も、会場のシェーンブルン宮殿も気になる!本場のウィーンミュージカルを最高の舞台で見てみたい!と楽しみにしている方もいらっしゃることでしょう。
オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフにひとめぼれされ、窮屈な宮廷生活の中で自由を追い求めた皇后エリザベート。その悲劇と隣り合わせの人生に焦点が当てられ、数々の映画やドラマ、演劇のモチーフとなっています。中でも、ミュージカル『エリザベート』は、彼女の人生を「死へのあこがれ」ととらえ、ドイツ語で「死」を意味する「トート」という存在を軸に、物語が展開します。
1992年のウィーン初演以来、日本を含む世界14か国で上演され、熱狂的なファンを生み出し続けるウィーンミュージカルの最高峰『エリザべート』。作曲のシルヴェスター・リーヴァイ、脚本のミヒャエル・クンツェは、後に『モーツァルト!』や『レベッカ』などの名作を次々と生み出した、ウィーンミュージカルには欠かせない鬼才コンビです。
2019年に始まり、2022、23、24年の4年にわたり、夏の3日間限定で上演されたこのコンサート。特に初演から30年を記念して上演されたシェーンブルン宮殿野外コンサートには、現地だけでなく海外からも多くの観客が集まり、広大な会場は期待に胸を膨らませるファンで満席となりました。その見どころや出演者、世界遺産との奇跡のコラボを、収録日当日に観劇した、ミュージカルファンのウィーン在住ライターがご紹介します。
●名作ミュージカルと世界遺産の夢のコラボ!
世界遺産シェーンブルン宮殿は、エリザベートとフランツ・ヨーゼフが実際に暮らしたハプスブルク家の夏の離宮、まさに歴史の舞台です。この建物を背景に、ウィーンミュージカル最高傑作を見る、という体験自体が、最高の見どころといえるでしょう。ミュージカルファンや歴史ファンにとって、夢のようなコラボです。
野外コンサートの一番の魅力は、劇場では味わえない圧倒的な開放感です。そよ風を頬に感じながら、大空の下に座り、開演時には明るかった空が、物語が進むにつれて幻想的に暮れ、夜も更けた中で迎えるクライマックス。この場所に来れてよかった‥と思う瞬間です。
宮殿が紫や赤色の照明でライトアップされ、舞台と宮殿、演劇と歴史の融合を全身で感じるのは、この場所でしか味わえない、唯一無二の体験となりました。
火を使った派手な舞台効果や、本物の馬に引かれた豪華な馬車の登場など、サプライズ演出も野外ならではの醍醐味です!当日は馬車の登場シーンで客席がざわめき、スポットライトの先に手を振る皇帝夫妻の姿を見つけると、思わず客席から手を振り返す人もいたほどです。
大空の下の観客席に座り、歴史と物語と音楽に酔いしれる気分を、映像と共に味わってみてくださいね。
●あの最強キャストが帰ってきた!来日公演でおなじみのあの人も!
このコンサートには、『エリザベート』や『ウィーン・ミュージカル・コンサート』(2008年)、『ウィーン・ミュージカル・コンサート2』(2013年)の来日公演にも出演したウィーンミュージカル界のスターたちが4人も登場します!
エリザベート役は、1994年から1000回以上この役を演じてきたマヤ・ハクフォート。ウィーン再演版や来日公演では、世界中のファンを感動の渦に巻き込みました。深く心に響く歌声と、感情の豊かさ、「私だけに」の大空まで届くような迫力は、ウィーンの観客の間でも伝説になっています。
また初めての試みとして、少女時代のエリザベートを、アブラ・アラウィが天真爛漫に演じます。あの名曲の最中に起こる大人の姿への早変わりは、このコンサート最大のサプライズでもありますので、じっくりと目を凝らして見ていてくださいね!
トートを演じるのは、『ウィーン・ミュージカル・コンサート2』で2013年に初来日し、日本にもファンの多いドイツ語圏ミュージカルの大スター、マーク・ザイベルト。ウィーン再々演版『エリザベート』でトート、再演版『モーツァルト!』(12/26(木)午後8時~放送・配信、WOWOWオンデマンドで配信中)でコロレド大司教を演じ、堂々たる体躯に甘いマスク、「最後のダンス」で披露される美声は、観客を魅了します。力強く人生を切り開こうとするエリザベートに対し、クールな表情のトートがどのように「対決」するのか、火花が散るバトルのような二人のせめぎあいをじっくりとご覧ください。
フランツ・ヨーゼフ役は、ウィーン再演版と来日公演でも同役を演じた、アンドレ・バウアー。ロングランを共にしたマヤ・ハクフォートとの息の合ったコンビは必見です!真面目で実直な皇帝本人にも重なり、歴史の現場に立ち会っているようです。
4人目の来日メンバーは、皇太子ルドルフ役のルカス・ペルマン。ウィーンと来日公演で同役を演じ、日本語が堪能な姿を覚えているファンの方も多いでしょう。「闇が広がる」で、運命と時代の流れにもてあそばれる姿を、ウィーンの観客は息をのんで見守りました。
狂言回し役として物語を引っ張る暗殺者ルキーニは、ダヴィド・ヤコプス。ドイツとウィーンで『ノートルダムの鐘』のカジモドを演じた若手演技派俳優で、生き生きとした動きと美声で観客を沸かせます。
さらに、作曲のリーヴァイ氏が舞台上にゲストとして登場し、「私だけに」を指揮するなど、この公演ならではの貴重なシーンも見逃せません!
●あの名曲が生まれ変わった?成長を続ける『エリザベート』
今回のコンサート版では、日本版のために書き下ろされた「愛と死の輪舞」が逆輸入され、ウィーン版の劇中曲として初めて映像化されています。ウィーン版『エリザベート』のテーマは、恋愛より、人生の駆け引きや運命との対峙の側面が強いこともあり、生きる意味を抽象的に表現した、哲学的なデュエットに生まれ変わっています。
オーケストラが舞台上にあるコンサート形式ではありますが、出演者は扮装し、演技と動きは通常公演さながら。公演版からカットされた場面もありますが、流れは驚くほど自然です。病院のシーンでは、今回のコンサート用にアレンジされたインストゥルメンタル版の曲も登場します。
大道具に頼らない工夫が凝らされた演出も、コンサート版ならでは大きな見どころの一つです。「闇が広がる」の場面では、ルドルフの御者と入れ替わったトートが、鞭を釣り竿に見立てて「権力をつかめ」と誘惑し、運命にからめとって翻弄するという、抽象度の高い演出が話題となり、初演から30年たっても成長を続けるこの作品の奥深さを実感させてくれます。
世界遺産シェーンブルン宮殿を背景に、豪華キャストで上演された『エリザベート』。野外コンサートならではの開放感やサプライズ演出、歴史と舞台のコラボに、自分が歴史に立ち会っている感覚を味わえます!
何度リピートしても新しい発見があり、作品の奥深さに感動できる名作ミュージカルです。作品ファンの方も、ハプスブルク家の歴史に興味がある方も、ぜひその名曲の数々と迫力の舞台を、シェーンブルン宮殿にいる気分で体験してみてくださいね。
(文章:御影実)
★WOWOW番組情報★
ミュージカル「エリザベート」コンサート in シェーンブルン宮殿
放送・配信日:12/10(火)午後7:00 放送・配信
脚本&歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽&編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
出演:マヤ・ハクフォート(エリザベート〈オーストリア皇妃〉)、アブラ・アラウィ(シシィ〈エリザベートの少女時代〉)、マーク・ザイベルト(トート〈死〉)、ダフィット・ヤーコプス(ルイジ・ルキーニ)、アンドレ・バウアー(フランツ・ヨーゼフ〈オーストリア皇帝〉)、ダニエラ・ツィーグラー(ゾフィー〈オーストリア皇太后〉)、ルカス・ペルマン(ルドルフ〈オーストリア皇太子〉)
番組サイト: https://www.wowow.co.jp/detail/184610
WOWOWオンデマンドで配信中: https://wod.wowow.co.jp/program/184610
★WOWOW番組情報★
ミュージカル「モーツァルト!」ウィーン版
放送・配信日:12/26(木)午後8:00 放送・配信
番組サイト: https://www.wowow.co.jp/detail/203130
WOWOWオンデマンドでアーカイブ配信中: https://wod.wowow.co.jp/program/203130
(c)_Katharina_Schiffl 撮影:御影実