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WBC世界S・フェザー級タイトルマッチ ロブソン・コンセイサン対オシャキー・フォスター

因縁のダイレクト・リマッチ
今回もジャッジ泣かせの接戦か

 今年7月、両者はアメリカのニュージャージー州ニューアークで対戦。挑戦者だったロブソン・コンセイサン(36=ブラジル)が2対1の12回判定勝ちを収め、オシャキー・フォスター(31=アメリカ)のV3を阻止して新王者になった。しかし、中継局の解説者はじめ試合を見た多くの関係者やファンはフォスターの勝利を支持。これを受けWBCが即再戦を命じたという経緯がある。初戦のオッズは15対8でフォスター有利と接近していたが、今回の再戦はフォスター有利のまま19対5と初戦よりも差が開いている。

2対1に割れた判定 必然の即再戦

 自国開催のリオデジャネイロ大会で金メダルを獲得するなど3度の五輪出場経験を持つコンセイサンだが、プロでは3度の世界挑戦に失敗していた。フォスター戦は4度目の挑戦だったわけで、かたちのうえでは悲願成就といえる。しかし、ブーイングのなかで受けた勝者コールは素直に喜べないものだった。
 一方、ひとりのジャッジから116対112で支持されたものの二者から112対116、113対115と採点されたフォスターは、リング上でのインタビューで「イージーな戦いだったと感じた。リマッチを要求する」と涙目でコメント。今回のダイレクト・リマッチは両者が望むところだった。

179cm/178cmのコンセイサン 174cm/183cmのフォスター

 23戦19勝(9KO)2敗1分1無効試合の戦績を残しているコンセイサンは身長179cm、リーチ178cmの大型選手で、長い左ジャブからチョップ気味の右ストレートを打ち下ろす攻撃パターンを持っている。アウトボクシングに頼らず、むしろ中間距離での攻防を好む傾向があるのも特徴といえる。ずば抜けたパワーがあるわけではないが、不規則なフックを強振するため相手にとっては戦いにくいタイプといえそうだ。
 前戦でベルトを失ったフォスターは12年のプロキャリアで25戦22勝(12KO)3敗の戦績を残している。コンセイサンほどではないが174cmと長身で、リーチは183cmとこちらも体格に恵まれている。パワーよりもスピード重視のスイッチヒッターだが、やや攻防分離の傾向がある。1年前の初防衛戦では相手国のメキシコで最終回にドラマチックな逆転TKO勝ちを収め、それを機にブレークが期待されたが、V2戦では故障もあって2対1の際どい判定勝ちに留まった。次戦でコンセイサンに不運ともいえる敗北を喫したことで、すべて振り出しに戻ってしまった印象だ。

総合力で勝るフォスターはジャッジにアピールできるか

 初戦で互いの手の内は知っているため、偵察の時間は不要だろう。
コンセイサンは左ジャブで切り込んでチョップ気味の右に繋げようとし、フォスターは両グローブを高く揚げた構えからスピードのあるワンツーを狙う展開になりそうだ。初戦で痛い目に遭っているフォスターは前回以上にジャッジにアピールするボクシングを心がける必要があるだろう。総合力ではフォスターが上回っていると思われるが、ともに決定打には欠けるため今回も接戦になりそうだ。

<S・フェザー級トップ戦線>


WBA:ラモント・ローチ(アメリカ)
WBA暫定:アルバート・バティルガジエフ(ロシア)
WBC:ロブソン・コンセイサン(ブラジル)
IBF:アンソニー・カカチ(アイルランド)
WBOスーパー:エマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)
WBO暫定:オスカル・バルデス(メキシコ)


 群雄割拠の状態が続いている。WBA王者のラモント・ローチ(29=アメリカ)は昨年11月にエクトル・ルイス・ガルシア(33=ドミニカ共和国)から王座を奪取。今年6月に初防衛を果たし、次戦ではジャーボンテイ・デービス(アメリカ)の持つWBA世界ライト級王座に挑む予定だ。WBA暫定王者のアルバート・バティルガジエフ(26=ロシア)は東京五輪フェザー級金メダリストで、プロでは11戦全勝(8KO)をマークしている。7月の暫定王座決定戦では同じサウスポーのジョノ・キャロル(本名ジョナサン・パトリック/32=アイルランド)に9回TKO勝ちを収めている。
 WBCはロブソン・コンセイサンとオシャキー・フォスターの再戦後、勝者が38戦36勝(32KO)2敗のエデュアルド・エルナンデス(26=メキシコ)の挑戦を受けることになるのか。フォスターとエルナンデスは大激闘を繰り広げているだけにリマッチとなれば注目を集めそうだ。
 IBF王者のアンソニー・カカチ(35=アイルランド)は5月にジョー・コルディナ(32=イギリス)を8回TKOで破り戴冠。しかし、28戦27勝(27KO)1敗のエデュアルド・ヌニェス(27=メキシコ)との指名防衛戦を拒否。代わりに9月に元IBF世界フェザー級王者のジョシュ・ウォーリントン(34=イギリス)と対戦して12回判定勝ちを収めている。次戦でヌニェスの挑戦を受けることになるのか。
 WBOではエマヌエル・ナバレッテ(29=メキシコ)と暫定王者のオスカル・バルデス(33=メキシコ)が団体内統一戦を行うことになっている。両者は昨年8月に対戦し、ナバレッテが大差の12回判定勝ちを収めており、再戦も5対2のオッズが出ているように正王者有利と見られている。
 WBAを除く3団体で挑戦圏内にいる力石政法(30=大橋)は、3月のイタリア遠征で当時WBC6位だったマイケル・マグネシ(30=イタリア)に12回逆転TKO勝ちを収めWBCシルバー王座を獲得。大舞台に上がるタイミングを計っている。元IBF王者の尾川堅一(36=帝拳)も返り咲きの機会をうかがっている。

ライト級10回戦
レイモンド・ムラタラ対ヘスス・ペレス

次期王者候補ムラタラ
3戦ぶりのKO勝ちに期待

 ライト級でWBCとWBOで2位、IBFで4位にランクされる次期世界王者候補、レイモンド・ムラタラ(27=アメリカ)が、前戦で元2階級制覇王者を破って意気上がるヘスス・ペレス(27=メキシコ)と対戦する。
 ムラタラは常にエキサイティングな試合を提供することで知られる強打者で、過去には左構えにスイッチしたこともある。リスクを承知で攻めに行くことが多く、中間距離で繰り出す右ストレートや左フックはタイミングがよく破壊力がある。昨年以降、WBO15位のジェレマイア・ナカティラ(ナミビア)を2回TKO、WBC16位のディエゴ・トーレス(メキシコ)を8回TKO、元IBF世界S・フェザー級王者のテビン・ファーマー(アメリカ)を10回判定で下しており、勢いを増している印象だ。戦績は21戦全勝(16KO)。
 一方のペレスは2016年4月のプロデビュー戦から21連勝をマークしたこともある。その後は元世界ランカーやのちの世界王者ブライアン・ノーマン(アメリカ=現WBO世界ウェルター級王者)らに敗れたため30戦25勝(18KO)5敗の戦績になっているが、今年2月には元2階級制覇王者のジョセフ・ディアス(アメリカ)に競り勝って存在感を示している。前に出ながら左右フックを狙う攻撃型だが、60パーセントのKO率ほどのパワーは感じられない。ちなみに過去の5敗はいずれも判定によるもので、タフネスには自信があるのかもしれない。
 ともに前戦で元世界王者に勝っているが、地力ではムラタラが大きく勝る。速い左ジャブで主導権を握り、距離とタイミングを計りながら右ストレート、左フックを狙うはずだ。ここ2戦は判定勝ちに留まっていたムラタラだが、今回はKO勝ちがノルマの試合といえる。

◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆


WBC世界S・フェザー級タイトルマッチ
ロブソン・コンセイサンvsオシャキー・フォスター

12/2(月)午後9:00 WOWOWライブWOD


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