IBF世界フライ級王座決定戦 アンヘル・アヤラ対デーブ・アポリナリオ
24歳vs25歳 全勝のホープ対決
地の利があるアヤラが7対4で有利
フライ級のIBF王座とWBO王座に君臨していたジェシー・ロドリゲス(アメリカ)がS・フライ級に戻るため2本のベルトを返上。空位になったIBF世界フライ級王座を1位のアンヘル・アヤラ(24=メキシコ)と3位のデーブ・アポリナリオ(25=フィリピン)が争う。「カメレオン」のニックネームを持つアヤラが17戦全勝(7KO)、「ドーベルマン」と呼ばれるアポリナリオが20戦全勝(14KO)。若くて勢いのある選手同士のカードだ。
世界王者経験者ふたりに勝ったアヤラ
アヤラは2019年3月にプロデビューし、その年に6戦、コロナ禍のなか翌年に4戦、2021年に3戦、2022年と昨年は各2戦と比較的コンスタントに試合に臨んできた。17人の対戦相手のなかには世界挑戦経験者のフアン・アレホ(メキシコ)や元WBC世界フライ級王者のクリストファー・ロサレス(ニカラグア)、さらに元IBF世界L・フライ級王者のフェリックス・アルバラード(ニカラグア)らが含まれている。IBFの挑戦者決定戦として挙行されたアルバラード戦は初回に右フックを浴びてダウンを喫するという最悪のスタートだったが、徐々に追い上げていってジャッジ三者が114対113と採点する際どい勝利を収めている。
基本は右構えだが、ときどきサウスポーにチェンジすることもあるスイッチヒッターで、中間距離で振り抜く左右フックと鋭角的なアッパーが主武器といえる。アルバラード戦でダウンを喫したように打たれ強くはなさそうで、まだまだ成長途上にある。
日本で2勝しているアポリナリオ
アポリナリオは世界挑戦経験もあるジョン・マーク・アポリナリオの弟で、アマチュアを経て2017年6月にプロデビュー。ここまで7年間に20連勝を収めている。直近は9勝のうち8KOと倒しまくっている。このなかにはマイナー団体IBOのフライ級王座決定戦で、ギデオン・ブセレジ(南アフリカ)を179秒KOで下した試合も含まれている。2023年6月には大橋ジムとプロモート契約を結び、8月には日本のリングに初登場。ブライアン・モシニョス(メキシコ)との世界ランカー対決を8回判定で制し、さらに今年2月にも後楽園ホールで4回KO勝ちを収めている。
サウスポーのボクサーファイター型で、右ジャブでタイミングを計りながら機を見て踏み込んで左ストレートを打ち込む。近距離で繰り出す左右フックとアッパーはダイナミックだ。ただ、世界前哨戦となった2月の試合では相手の右をカウンターで浴びてダウンを喫しており、防御には課題が残っている。
両者とも前哨戦でダウン KO決着が濃厚
全勝同士の対戦だが、ともに直近の試合でダウンを喫しておりディフェンス面で甘さを露呈している。勢いはあるが、まだまだ成長途上のホープ同士の対決ともいえる。それだけに序盤からスリリングな戦いが見られそうだ。
まずはスイッチヒッターのアヤラが左右どちらの構えでスタートするのか、サウスポーのアポリナリオの右ジャブは機能するのか、などといった点に注目したい。本来はアポリナリオの方が遠い距離で戦う時間が長いタイプだが、敵地ということを意識して積極的に仕掛けていくものと思われる。そうなると中間距離での戦いを好むアヤラとは噛み合いそうだ。ふたりとも打たれ強さには疑問が残るだけにKO決着の可能性が高い。「カメレオン」が自在に戦って勝利をつかむのか、それとも「ドーベルマン」が噛みつくのか。オッズは7対4でアヤラ有利と出ている。
<フライ級トップ戦線の現状>
WBA:ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)
WBC:空位 ※寺地vsロサレスで決定戦
IBF :空位 ※アヤラvsアポリナリオで決定戦
WBO:アンソニー・オラスクアガ(アメリカ/帝拳)
今年に入り1月にユーリ阿久井政悟(29=倉敷守安)がアルテム・ダラキアン(37=アゼルバイジャン/ウクライナ)に12回判定勝ちを収めてWBA王座を奪取。続いてWBC王者だったフリオ・セサール・マルチネス(29=メキシコ)とIBF・WBO2団体王者のジェシー・ロドリゲス(24=メキシコ)が王座を返上。一時は3団体の王座が空位になるという異常事態となった。その後、7月にアンソニー・オラスクアガ(25=アメリカ/帝拳)が加納陸(26=大成)とのWBO王座決定戦で3回KO勝ちを収めて戴冠を果たしている。
WBC王座は10月13日、寺地拳四朗(32=BMB)とクリストファー・ロサレス(29=ニカラグア)で王座決定戦が組まれており、IBFは今回のアンヘル・アヤラ(24=メキシコ)対デーブ・アポリナリオ
(25=フィリピン)の勝者が新王者に認定されることになる。
寺地対ロサレスと同じ日には阿久井対タナンチャイ・チャルンパック(24=タイ)のWBAタイトルマッチが行われる予定になっており、翌14日にはオラスクアガ対ジョナサン・ゴンサレス(33=プエルトリコ)のWBOタイトルマッチが控えている。仮の話だが阿久井とオラスクアガが防衛し、寺地が新王者になった場合は日本勢を中心にして王座統一を目指す「フライ級ウォーズ」が勃発する可能性があるだけに要注目だ。
このほか、サニー・エドワーズ(28=イギリス)対ガラル・ヤファイ(31=イギリス)、ビンス・パラス(25=フィリピン)対京口紘人(30=ワタナベ)の上位ランカー同士の試合も決まっている。風雲急を告げるフライ級トップ戦線から目が離せなくなってきた。
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エキサイトマッチ~世界プロボクシング IBF世界フライ級王座決定戦 アンヘル・アヤラvsデーブ・アポリナリオ
10/7(月)午後9:00
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デーブ・アポリナリオ NAOKI FUKUDA